病院の食事療養費は30年近く据え置かれており、「物価高騰に対応できる適正水準」への引き上げと「抜本改革」が必要—四病協
2023.7.19.(水)
入院時食事療養費は30年近く据え置かれたままであり、昨今の物価・光熱水費・人件費急騰の中で「給食の継続・維持」が極めて困難な状況である。現在は病院が赤字をかぶって「患者への適切な食事提供」を行っているが、このままではそれも困難になる—。
事態の打開に向けて「入院時食事療養費の抜本改革」「改革までの間、入院時食事療養費の適正水準への引き上げ」を行うべきである—。
日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会で構成される四病院団体協議会が7月12日に、加藤勝信厚生労働大臣に宛てて、こうした内容を盛り込んだ「入院中の食事療養に関する要望書」を提出しました(日病サイトはこちら)(関連記事はこちら)。
入院時食事療養費、1994年以降、30年近く実質的な据え置きとなっている
医療、とりわけ入院医療においては「食事による栄養補給」が治療の重要な1要素です。このため、医療保険からも「入院時食事療養費」が給付されますが、Gem Medでも繰り返し報じているとおり、入院時食事療養費の金額は30年近く据え置かれたままです(1994年以降、実質的に据え置かれている)。
一方、食事提供にかかるコストは「食材費をはじめとする諸物価の高騰」「人件費の上昇」「光熱水費の上昇」などにより上昇を続けており、病院の食事担当部門は「非常に厳しい状況」にあります(外部委託する場合でも同様)。
昨今の諸物価・光熱水費・人件費急騰の中で、赤字状況がさらに厳しさを増していることは想像に難くありません。
病院でも「給食業務の効率化」「食事種類の集約化」「セントラルキッチン方式の導入」「新たな調理システムの導入」などの努力を行っていますが、抜本的な解決には至っていません。
四病協では、入院時食事療養費について「諸物価・光熱水費・人件費急騰が進む中でも30年近く据え置かれたままである」「1食当たりとなり『提供回数にかかわらず必要となる固定費』を無視した仕組みになってしまった」という課題があることを指摘し、次のような抜本的な見直しが必要であると強く要望しています。
(1)治療として必要な臨床栄養管理を含む病院給食制度を抜本的に改革する
(2)改革に必要な調査研究を速やかに遂行する
(3)抜本的な改革が行われるまでの間、入院中の食事療養に必要な費用について「適正な額」に改正する
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