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GemMed塾 看護モニタリング

電子処方箋、リフィル処方箋機能・重複投薬等チェックにおける口頭同意機能・マイナンバーカードでの医師資格証明機能など追加—厚労省

2024.1.9.(火)

電子処方箋システムについて、「リフィル処方箋機能」、「重複投薬等チェックにおける口頭同意機能」、「マイナンバーカードを活用した電子署名機能」などの追加を近く(2023年12月-2024年1月)行う—。

厚生労働省は12月28日に通知「『電子処方箋管理サービスの運用について』の改正について」を発出し、近くこうした機能を追加することを明らかにしました(厚労省サイトはこちら)。

HPKIカードを用いず、マイナンバーカードで医師が「医師資格の証明」可能に

電子処方箋は、オンライン資格確認等システムのインフラを活用し、これまで「紙」で運用されていた、医療機関から薬局への処方指示(処方箋発行)を「オンライン」で行うもので、大まかな流れは以下のようになります(関連記事はこちら)。

(a)患者が医療機関を受診し、「電子処方箋の発行」を希望する(オンライン資格確認等システムでの資格認証や診察時などに確認、マイナンバーカード以外で受診する場合には口頭で確認する)

(b)医療機関において医師が、オンライン資格確認等システムの中に設けられる【電子処方箋管理サービス】に「処方箋内容を登録」する

(c)医療機関は患者に「電子処方箋の控え」(紙、アプリ)を交付する

(d)患者が薬局を受診し、「電子処方箋の控え」を提示する

(e)薬局において、薬剤師が【電子処方箋管理サービス】から「処方箋内容」を取得し、調剤を行う

(d)患者に薬剤を交付する



このうち(b)および(e)において、患者同意の下で「過去に処方・調剤された薬剤情報」の閲覧が可能になるため、重複投薬や多剤投与、禁忌薬剤の投与などを「リアルタイム」でチェックし是正を図ることが可能になります。

電子処方箋の概要(健康・医療・介護情報利活用検討会1 221019)



昨年1月(2023年1月26日)から全国展開が始まっていますが、導入・運用の状況は「低調」で、「院内処方情報の共有」や「リフィル処方箋への対応」などの改善を求める声も数多く出ています。

そうした中で厚労省は今般、(1)リフィル処方箋機能(2)重複投薬等チェックにおける口頭同意機能(3)マイナンバーカードを活用した電子署名(4)その他—といった機能追加を行い、「利便性の向上」→「導入・運用の促進」を図ることとしています。今後も更なる機能追加・改善が行われていく見込みです。近く(本年(2024年)1月頃まで)システム改修が完了する見込みです。

電子処方箋システム改修等のスケジュール



まず(1)のリフィル処方箋は、「症状が安定している患者に対し、医師が「一定期間内に反復利用できる処方箋」を発行するものです。リフィル処方箋における▼長期処方(データ保存期間)▼異なる薬局での調剤の可能性▼複数回の調剤結果の登録や処方内容と異なる調剤の可能性—に対応可能とするため、「医療機関等のデータ取得・参照可能期間(現行では最大100日)を柔軟化する」「前回の調剤年月日等のリフィル処方箋の制度上求められる情報を登録可能とする」「リフィル処方箋に合わせた重複投薬等チェックの仕組みを導入する」といった電子処方箋の仕組み改修が行われます。

リフィル処方箋対応



また(2)は、現在「患者同意の有無に関わらず重複投薬等チェックを実施し、検知した場合の結果も表示するが、重複投薬等に該当する過去の薬剤情報については同意有の場合のみ表示している」ところ、個人情報保護を前提に、現場負担の軽減・医療安全の向上に向けて▼オンライン資格確認端末で患者が不同意を選択した場合▼オンライン資格確認端末上での同意をとることができない場合(保険証での受診時など)—にも「診察室等で患者が口頭同意を行った場合は、対象薬剤を表示できる」ようにシステム改修を行うものです。より的確に重複投薬等の防止が可能になります。

口頭同意による重複薬剤チェック



さらに(3)は「処方を行う医師等の資格証明」について「HPKIカード」での証明以外にも「マイナンバーカード」での証明を可能とするものです。、

HPKIカードの発行が課題(生産が追い付かない)となっており、「カードレス署名の仕組み」開発が進んでいますが、これと合わせて「マイナンバーカード1枚で患者等が様々な医療・福祉サービスを受けることができ、医師等も医療サービス提供に必要な認証ができる」仕組みを構築するものです。

マイナンバーカードによる医師資格証明1

マイナンバーカードによる医師資格証明2



このほか、▼電子処方箋を活用した処方内容・服薬状況の把握による多剤投与の適正化のメリットの明確化▼各種時点更新、記載内容の適正化—なども行われます。



なお、現場(調剤薬局)からは「すべての調剤業務を電子処方箋で行うためには全薬剤師へのタブレット配布や、電子カルテシステムの大幅改修などが必要で、莫大なコストがかかる。このため、現在は電子処方箋情報を紙にプリントアウトし、それをもとに調剤しており、効率化が進んでない」との声も出ており、こうした点への対応にも期待が集まります(関連記事はこちら)。



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