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診療報酬や人材確保、医療提供体制改革等への「提言」充実、提言力強化に向けて「日病会員の増加、組織力強化」が極めて重要—日病・相澤会長

2024.5.27.(月)

地方・都会を問わず「病院経営は極めて厳しい」との声が非常に多く、診療報酬や人材確保、医療提供体制改革などに向けて、厚生労働省などへ「提言」を強化していく。こうした提言力強化にあたっては「日病会員の増加、組織力強化」が極めて重要である—。

日本病院会の2024年度社員総会が5月25日に開催され、相澤孝夫会長がこうした考えを述べました。

5月25日開催された2024年度日本病院会社員総会で挨拶した相澤孝夫会長

「数の力」の重要性を、厚労相提言の際などに痛感

物価高騰、光熱水費の高騰が続く中、収益の大半を公定価格である診療報酬で賄う病院の経営は厳しさを増しています。また、企業が賃上げ傾向にある中では「看護師をはじめとする医療従事者の確保」も難しい状況となっています。

一般企業のように「物価高騰、人件費増に対応するために価格を引き上げる」ことなどは病院の判断ではできないため、日病では、さまざまな機会をとらえて、武見敬三厚生労働大臣を筆頭とする厚労省幹部に「診療報酬、とりわけ入院料の引き上げ」や「看護師確保に向けた取り組みの充実」などを要望・提言してきています。

そうした中で相澤会長は「数の力、組織の力が極めて重要であると痛感している」との思いを強調しました。

例えば、昨年(2023年)3月には「病院経営が厳しい中で、10年以上据え置かれている入院基本料の引き上げが必要な状況である」ことを、同じく6月には「病院において看護職員確保・定着が非常に難しくなっている」ことを厚労相に進言したが、「現場の声というには、サンプルが少なすぎる(前者は1800病院程度の声、後者は560病院程度の声)」と指摘されたといいます。

このため、例えば前者の入院基本料引き上げに関しては、医療現場に広く「嘆願書」提出を求め、結果、日病会員以外も含めた「4605通」の嘆願書が集まったといいます(つまり日本の全病院の6割弱)。これを携えて、改めて厚労相に入院基本料引き上げを要請、その際「これほど多くの嘆願書はこれまでになかったのではないか。病院の厳しい状況が十分に分かる」と理解が得られたといいます。

こうした状況を踏まえて相澤会長は「やはり『数』が重要であると痛感した」と強調し、日病会員増(=日病の発言力の強化)に向けて、▼各種研修会▼情報提供―などの充実にこれまで以上に取り組み、「日病に加盟することのメリット」を高めていく考えを強く述べました。ちなみに、本年(2024年)4月時点で、前年度(2023年度)に比べて日病会員病院は「45施設・7136床」の増加(2555施設・66万9659床)となっています。



このほか、相澤会長は、武見厚労相に対し、看護師などの賃金アップを目指す【ベースアップ評価料】については「▼賃金改善計画書などの作成が極めて煩雑で、難しい▼病院は多くのスタッフによる組織的運営を行っており、『医療に従事する職員』はベースアップ評価料で賃金引上げが可能だが、それ以外のスタッフの賃上げには、原則としてベースアップ評価料を充当できず、病院が自腹で対応しなければならない—などの高いハードルがあり、結果、届け出が厚労省の思惑通りに進んでいない」こと、医療DXの入り口となるマイナ保険証(マイナンバーカードによる医療機関受診)については「多くの苦労をして窓口に顔認証付きカードリーダーシステムの設置・院内システムの改修を行うなどの対応をしたが、マイナ保険証では対応が困難な患者が少なくなく(例えば公費負担医療受給患者では、マイナンバーカードで資格確認をした後、公費負担医療受給者証を窓口に改めて提示しなければならず二度手間になるなど)、1枚では受診ができない)、医療現場が非常に困っている」ことなどを進言したことも報告しました。

2023年度には、上記のほか「かかりつけ医機能報告制度に向けた提言」なども行っており、今後も政策提言の強化が進められる見込みです。

2024年度には、このほか▼病院経営管理士の養成強化と、実際のマネジメント業務への参画推進▼医療の質向上に向けた「QIプロジェクト」参加施設の充実▼診療情報管理士の養成充実▼県支部の拡充—などに特に力を入れていく考えを相澤会長は述べています。



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