病院経営は厳しさを増しており「2025年内の緊急支援」が必須、支援対象病院や支援内容をどう考えるべきか—日病・相澤会長
2025.8.26.(火)
病院経営が危機的な状況にあり、日本病院会では「年内の緊急支援」に向けた要望内容を議論している。ただし、例えば「どういった病院を支援対象にするべきか」などの点を含め様々な意見が出ており、まだ内容が固まっていない。さらに議論を深め、9月中にも内容を固めて、政府に要望を行っていく—。
日本病院会の常任理事会(8月23日)で、こうした議論を行ったことが、8月26日に定例記者会見に臨んだ相澤孝夫会長から報告されました。
なお現在、四病院団体協議会(日病、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)で加盟病院を対象に「2025年の経営状況調査」(病院経営定期調査)が行われていますが、データ数をさらに増やす(2025年8月26日時点で25%、約1300病院が回答)ために回答締め切りを当初の「8月22日」から「9月19日」に延長されます(日病サイトはこちら)。

8月26日の記者会見に臨んだ、日本病院会の相澤孝夫会長
緊急支援の対象病院・支援内容には様々な意見、病院経営の課題が多いことの裏返し
Gem Medで報じているとおり、病院経営が非常に厳しい状況にあります。
このため日病では、福岡資麿厚生労働大臣や加藤勝信財務大臣らに宛てて強力な「病院経営支援」を行ってほしいと強く要請しています(関連記事はこちらとこちら)。
その要望内容の1つに「年度内(2025年度)、できれば年内(2025年内)の緊急経営支援」があり、日病では「より具体的な内容」に要望を進化させるための議論を行っています(関連記事はこちら)。
この点について8月23日の常任理事会(日病の会長・副会長・常任理事によるトップ会議)では、様々な意見が出ていることが相澤会長から紹介されました。
例えば「支援対象」については、▼一部の病院のみしか支援しないとなれば、病院団体等の分断を生んでしまわないか▼黒字病院も含めた全病院を対象にすべきだろうか、急性期を担う地域の救急拠点となる病院の経営が特に厳しく、そこに絞った重点的な支援を行うべきではないか▼「急性期を担う地域の救急拠点となる病院」へ支援を重点化するとして、その基準をどう考えるべきか▼病院全体を支援すれば、地域で進んでいる「機能分化」「再編・統合」の動きを阻害してしまうことにならないか▼「経常収支の赤字、黒字」などではなく、当面の経営状況に直結する「キャッシュフロー」に着目して支援対象を絞っていくべきではないか—など、非常に広範な意見が出されています。
また「支援方法、支援内容」については、▼「1床当たり●円」といった支援手法では、新型コロナ関連でも問題が起きたため、別の手法を考えるべきではないか▼病院経営の厳しさは、主に「コスト増」にあり、そこへの支援を考慮してはどうか—など、やはり広範な意見が出ています。
相澤会長は、「様々な意見は、まさに病院経営には大きな課題があることの裏返しであろう。経営継続が困難な病院への支援が本筋であり、さらに議論を深めていくことが必要である」と判断。もっとも、「年内(2025年内)の新たな緊急支援」を求めるとなれば、2025年度補正予算案に含める必要があるため、「遅くとも9月中には内容を固めて、厚生労働省や財務省に要望する」との考えも示しています。
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