要支援者の訪問・通所介護、引き続き「法人税法上の医療保健業」として取り扱う―厚労省
2016.8.2.(火)
介護保険制度から市町村の行う地域支援事業へ移管された「要支援者への訪問・通所介護サービス」事業について、引き続き法人税法上は「医療保健業」として取り扱う―。
厚生労働省は7月29日の事務連絡「介護サービス事業に係る法人税法上の取扱いについて」の中で、こうした考えを明らかにしました。
なお、熊本地震に対処するために要介護認定の有効期間の延長なども認めています。
小規模の地域密着型通所介護も、法人税法上の「医療保健業」として取り扱う
2014年の介護保険制度改革により、要支援者に対する訪問・通所介護サービスが、市町村の実施する地域支援事業に移管することになりました。現在、移行中で完全移行は2017年4月とされています(関連記事はこちらとこちら)。
今般、厚労省はこの移管される訪問・通所介護サービスについて、「新たなサービスを提供するものではない」点を確認した上で、▽要支援者が要介護状態となることの予防・軽減・悪化防止、自立した日常生活支援を目指して、医療との連携を図って実施するもの▽ケアプランの作成過程などを通じて確保するもの―であることから、「基本的考えに変更はない」ことを強調しています。
こうした考えの下でこれらの事業については、引き続き、法人税法上の「医療保健業」として取り扱うことが明確にされました。ただし、事業の実態に応じて「請負業」などに該当すると判断することも可能です。
また、あわせて地域密着型通所介護(利用定員19人未満の小規模通所介護)についても、これまでの通所介護と基本的な考え方は変わらないため、引き続き、法人税法上の「医療保険業」として取り扱われることも明確にされています。
熊本地震で災害受けた市町村、要介護(支援)認定の有効期間延長を認める
ところで今般の熊本地震により、介護サービス事業所のみならず、介護保険の事務を取り扱う自治体も大きな被害を受けました(関連記事はこちらとこちら)。そこで、厚労省は事務負担を軽減するために次の2点の取扱いを認める特別省令を7月28日に施行しました。要介護認定の有効期間延長が可能となります。
(1)熊本地震によって災害救助法が適用された市町村の区域内に住所を有する被保険者などの要介護(支援)認定期間について、従来の期間に「新たに12月間」までの範囲で市町村が定める期間を合算できる
(2)当該措置は、2016年4月14日-2017年3月31日までの間に(1)の適用がないとしたならば満了する要介護(支援)認定有効期間に適用する
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