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GemMed塾 看護モニタリング

短期学習でも必ず身に付く、データを軸に医師を動かすプレゼン術―病院ダッシュボード入門講座2016春(3)

2016.8.4.(木)

 GHCは19日、病院経営の現場スタッフに向けて、経営改善活動を推進するためのノウハウを短期集中講座で学ぶ「病院ダッシュボード入門講座2016春」を開催しました。医療ビッグデータの活用を軸としたプレゼンテーションで医師を動かし、さらなる経営改善活動を促すことが本講座の目標です。参加者はそれぞれ素晴らしいプレゼンを披露。適切な情報共有を行うことで、短期集中でも医療・経営の質向上を推進する技術やノウハウを身に付けられる可能性を示しました。

参加した19病院が5グループに分かれてプレゼンしました

参加した19病院が5グループに分かれてプレゼンしました

「それぞれ適確な分析で分かりやすい」

 本講座は、「改善のポイントが瞬時に分かる」が開発コンセプトの次世代型病院経営支援ツール「病院ダッシュボード」のユーザーが対象。特に、導入間もないユーザーに向けたプログラムで、(1)機能を学ぶ、(2)資料の作成方法を学ぶ、(3)プレゼン方法を学ぶ―の3段階に分けて、具体的な改善活動を実践する基礎体力を身に付けるための計3回の講座となります(前回までの開催記事はこちらこちら)。講師はGHCコンサルタント兼カスタマーサポート担当で診療情報管理士の薄根詩葉利が担当しました。

GHCコンサルタント兼カスタマーサポート担当の薄根詩葉利

GHCコンサルタント兼カスタマーサポート担当の薄根詩葉利

 前回までに資料の作成方法を学んだ参加者は、それぞれ自病院の課題についてデータ分析。改善の必要がある項目を選び出し、項目選出の理由とデータの検証結果をそろえた上で、各種の改善提案を行うという内容が共通課題です。約2週間の分析期間で、参加者がそれぞれ作成したオリジナル資料を講師の薄根が確認し、アドバイスなどを行う機会も設けました。薄根は参加者が作成したオリジナル資料について、「それぞれ適確な分析で分かりやすいスライドになっていた」と評価しています。

 参加した19病院は5グループに分かれて、幹部会議や各診療科会議で提案することを想定し、各病院の代表者が5分間のプレゼンテーションを行い、その後、5分間の質疑応答を行いました。どのグループでも活発なディスカッションが展開され、ディスカッション後は各グループから1人の代表者が選出され、参加者全員に対するプレゼン大会を実施しました。

分析結果の積み上げでしっかりとした説得力

 グループ代表者のプレゼンの一部をご紹介します。

一宮市立市民病院業務課兼地域医療連携室の土屋昌弘専任課長

一宮市立市民病院業務課兼地域医療連携室の土屋昌弘専任課長

 一宮市立市民病院の業務課兼地域医療連携室の土屋昌弘専任課長は、赤のシグナルが目立った「内視鏡的胃粘膜切除」を分析。平均在院日数や抗生物質製剤の投与にも課題はありましたが、術前血液検査実施率が全国平均の3倍以上と大幅に高いことが分かりました。DPC導入当初、検査(感染症・血液型など)および心電図・胸部単純の外来化は徹底されており、術前血液検査実施率は良好でしたが、時を経て、多くの検査が入院後に逆戻りしてしまったためです。土屋氏は「今回の発見は氷山の一角。他にもこの様なパスが存在する可能性があるため、改めてパスのチェックが必要」としました。

長野中央病院の白澤貴利経営企画担当課長

長野中央病院の白澤貴利経営企画担当課長

 長野医療生活協同組合長野中央病院は、白澤貴利経営企画担当課長が「冠動脈ステント留置術(急性心筋梗塞)」について分析。平均在院日数は期間II超え率が全国平均より高く、医療資源では血管拡張剤使用率が全国平均より高い一方、後発品使用割合は100%で71%の全国平均を大きく上回っていました。CT/MRI実施回数は0回が多い他院に対して、1回が最も多いことが分かりました。白澤氏は、(1)期間Ⅱ超え症例の具体的内容を確認。退院時期の早期見極めができているか。また、リハビリの実施は(2)血管拡張剤の投与日数について精査(3)DPC包括された処置項目の中身を精査(4)抗生剤投与症例の精査と必要性の検討(5)CT/MRIの実施について、必要性の検討――の5つの提案を通じた改善活動が考えられるとしました。

 それぞれプレゼンを通じて、しっかりとした分析と分かりやすいフレームワークに則った分析結果の積み上げにより、説得力を持った提案内容にまとまりました。

伝えるべきことの1つでも響けば前進

 最後に、GHCマネジャーで「病院ダッシュボード」カスタマーサポート責任者の冨吉則行は、そのほかの「病院ダッシュボード」の活用を通じて実施された改善活動の事例などを紹介。3回に渡って学んだ入門講座の総括として、最も基本的で重要となる診療科ミーティングを実施する際のポイントとして、(1)何のために行うのかを事前に明確に共有する(2)いくつかの約束を行う(3)当該診療科に関わる多職種メンバーを含めてルールを決める――の3つを提示しました。

 その上で冨吉は、「我々コンサルタントでも、100枚前後のスライドを用いて1-1.5時間かけて講演し、講演した内容の3つでも当該診療科の医療従事者に響けば、成功と言えるのではないだろうか。それくらい、医療の現場に伝えるべきことを伝えることは難しい。伝えるべきと考えていたことの1つでも響けば前進と前向きに捉えて、今後も医療と経営の質向上を支える欠かせないキーマンとして活躍してもらいたい」として講演を締めくくりました。

GHCマネジャー兼「病院ダッシュボード」カスタマーサポート責任者の冨吉則行

GHCマネジャー兼「病院ダッシュボード」カスタマーサポート責任者の冨吉則行

連載◆病院ダッシュボード入門講座2016春
(1)自病院の「真の強みと課題」は何か?ベンチマークで瞬時に把握し、改善につなげる
(2)たった1枚のスライドでも病院は変わる、実効性ある資料を最速で作成する手順
(3)短期学習でも必ず身に付く、データを軸に医師を動かすプレゼン術

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