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2018年度改定に向け、医療部会でも基本方針論議スタート—社保審・医療部会(2)

2017.9.19.(火)

 2018年度の次期診療報酬改定に向けて、社会保障審議会の医療部会でも「基本方針」策定議論が始まりました。医療保険部会と歩調を合わせて、次期改定における重点事項などを定め、中央社会保険医療協議会での具体的な点数設定論議に引き継ぎます。

9月15日に開催された、「第53回 社会保障審議会 医療部会」

9月15日に開催された、「第53回 社会保障審議会 医療部会」

2025年の先を見据えた大所高所に立った議論が必要

 繰り返しになりますが、診療報酬改定に向けた議論は、▼基本方針を社会保障審議会の医療保険部会と医療部会で策定する▼改定率は内閣が予算編成過程で決定する▼基本方針と改定率に沿って、具体的な点数設計を中央社会保険医療協議会で行う—という役割分担が行われています。

 すでに医療保険部会では9月6日から基本方針策定論議がスタートし、ほぼ同時に医療部会でも議論が開始された格好です。9月15日の医療部会では、厚生労働省保険局医療介護連携政策課の黒田秀郎課長から、(1)健康寿命の延伸、人生100年時代を見据えた社会の実現(2)地域包括ケアシステムの構築(3)医療・介護現場の新たな働き方の実現、制度に対する納得感の向上―という3つの基本認識と、(i)地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携(ii)新しいニーズにも対応できる安心・安全で質の高い医療を実現・充実する(iii)医療従事者の負担を軽減し、働き方改革を推進する(iv)効率性・適正化を通じて制度の安定性・持続可能性を高める—という4つの基本的視点が示されています。

2018年度の次期診療報酬改定基本方針に向けて、厚労省が示した「叩き台」(その1)

2018年度の次期診療報酬改定基本方針に向けて、厚労省が示した「叩き台」(その1)

2018年度の次期診療報酬改定基本方針に向けて、厚労省が示した「叩き台」(その2)

2018年度の次期診療報酬改定基本方針に向けて、厚労省が示した「叩き台」(その2)

 医療部会では、総論的な意見が数多く出されましたが山崎學委員(日本精神科病院協会会長)は、「社会保障がどれだけ大変なのかという基本認識を委員間で共有しなければ、自分の守備範囲に関する意見の言い合いになってしまう」とコメントした点が注目されます。診療報酬改定財源が厳しい中では、いわゆる「パイの奪い合い」(例えば調剤報酬を減らし、医科に回してほしいなど)が生じがちです。しかし、2025年に向けて高齢者が増加し医療・介護ニーズが急増しますが、その先には人口減少による医療ニーズの減少が待ち構えています。こうした難局に立ち向かうためには、立場を超えた「大所高所に立った議論」が必要でしょう。山崎委員はこの点を強調しているものと言えそうです。

 また黒田医療介護連携政策課長の示した基本認識などからは、2018年度改定では「効率化」が極めて重要なキーワードになると厚労省が考えていることが伺えます。ともすると、国家財政再建のために医療費を含めた社会保障費の伸びを抑制する点ばかりが強調されます(もちろん最重要視点の1つであることに疑いはない)が、高齢化と併せて少子化が進行し、「医療の支え手不足が深刻化する」点を忘れてはいけません。本多伸行委員(健康保険組合連合会理事)は、「高齢者が急増する一方で、若年者が減少しており、仮に医療費が増えなくても、1当たりの負担が増えていく点を明確にすべき」と訴えています。相澤孝夫委員(日本病院会会長)も「高齢者の急増と少子化の進行という2点は欠かせない」と強調しています。

 さらに今後の医療提供体制を考える上では、「働き方改革」も最重要テーマの1つとなります。勤務医にも、罰則付き時間外労働制限規定が適用されることになっており、2018年度改定でも「勤務医を初めとした医療従事者の負担軽減」「チーム医療の推進」「タスクシフト、タスクシェア」などを意識することになります。この点について相澤委員は「つぎはぎ的な負担軽減策では、本来の趣旨が見えなくなってしまう。一度きっちり整理する必要がある」と訴えました。また釜萢敏委員(日本医師会常任理事)は、「働き方改革によって、医療安全の面や、救急医療がこれまでと同じように受けられなくなる可能性などについて、国民側がしっかり理解し、受け止めているのか。働き方改革の影響も十分に考えた対応をとることが求められている」と指摘しています。

 なお働き方改革に関しては、猪口雄二委員(全日本病院協会会長)や邉見公雄委員(全国自治体病院協議会会長)らが「地域の医療提供体制が崩壊しないようにしなければならない」と強調したのに対し、阿真京子委員(知ろう小児医療守ろう子どもたちの会代表)から「地域医療のために、個々の医師が犠牲になってよいのだろうか」との見解を示しています。例えば、今のような救急医療体制を守るためには、働き方改革に伴って「医師の大幅増員」が必要となりますが、人件費増をどのように考えるべきなのか。逆に、医師の増員が不可能であれば、現在のような迅速な救急医療提供を一定程度あきらめなければならないケースが出てくると思われますが、患者はそれを甘受できるのか。もちろん、特例の設定やタスクシフト・シェアなども進めながら両者のバランスをとることになりますが、こうした点を幅広く議論していくことが必要でしょう(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

  

 

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