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診療報酬改定セミナー2024 看護モニタリング

なぜ、高度急性期の4割が導入するのか―事例で学ぶ、病院経営データ分析入門(4)

2018.1.30.(火)

 ベンチマーク分析に基づく院内の改善活動は、病院が提供する医療の質や経営にどのような影響を与えるのか――。その具体的な内容を、「病院ダッシュボード」のユーザー事例をメディ・ウォッチでご紹介させていただいた記事を振り返りながら紐解いていく連載企画。今回は、増収増益の用途におけるソリューションとして、特に看護必要度対策やDPCII群病院の維持における病院ダッシュボード活用の事例を見ていきます。そこには、高度急性期病院の4割が導入する理由が隠されています。

「看護必要度ショック」を追い風に

 ついに始まった病院大再編時代。病床の削減や機能分化などを検討する急性期病院が少なくない中、大垣市民病院は逆に入院基本料を10対1から7対1へ「昇格」させました。本格スタートからわずか半年で、すべての職種が積極的に「重症度、医療・看護必要度」のデータ最適化に取り組む院内改革を実現したためです。

 病院ダッシュボードの「看護必要度分析」には、長年のコンサルティングの経験とノウハウが凝縮されています。相澤病院では、看護必要度データとDPCデータの突合分析で明らかになった現状把握を出発点に、看護師の意識変革を狙った教育と、データ精度向上を目指した「ゲートキーパー」と呼ばれる仕組みを導入。同院の看護必要度データの精度は、大幅に改善していきました。

 7対1の施設基準である「重症度、医療・看護必要度」の厳格化(看護必要度ショック)を乗り越えるためには、看護部の努力だけでなく、医事課や手術室など院内全体での連携が極めて重要である――。

 コンサルティングがベースにあるからこそ、大垣市民病院の事例だけではなく、市立敦賀病院と日産厚生会玉川病院からも、こうした有益な実例が次々と発表されています。

10月27日にGHCが開催した看護必要度セミナー、平日午後にも関わらず100名余りの病院関係者に参加いただきました

10月27日にGHCが開催した看護必要度セミナー、平日午後にも関わらず100名余りの病院関係者に参加いただきました

看護部だけでなく、医事課や手術室と連携することで看護必要度ショックを乗り越える―GHC看護必要度セミナー

 「看護必要度分析」の具体的な利用イメージについては、「2分で分かる『看護必要度ショック』の乗り越え方」をテーマに動画を作成しましたので、こちらをご確認ください。

II群維持に欠かせないツール

 過去、DPCII群病院に届かなかったものの、病院ダッシュボードを用いた改善活動を通じて、II群へ昇格し、II群を維持し続けている病院があります。富山県立中央病院です。

 診療密度が足りなかった同院は、クリニカルパスの順守を徹底し、在院日数の短縮を推進。II群へ昇格するとともに、さらなるパスの徹底と在院日数の短縮に取り組みました。並行して集患対策も進めたことで患者数も増加。今では診療密度の基準は大幅にクリアしていたため、安心してII群維持の報告を受けています。

 II群病院には、大きく4つの実績要件(診療密度、臨床研修の実施、高度な医療技術の実施、重症患者に対する診療の実施)を満たすことが課されています。そのため、岩手県立中央病院でも、「病院ダッシュボード」を使い、定期的に指数をモニタリングしてきました。

 まずは「平均在院日数を短縮することで、1日当たりの診療密度を高める」という視点に立ち、例えば心臓カテーテル検査のクリティカルパスを2泊3日から1泊2日へ短縮した場合のシミュレーションでは、これによって診療密度が51ポイントアップことを確認。循環器科の医師らに協力を求めてパスを見直しました。また、患者の状況を鑑みながら、心臓カテーテル検査の外来実施も進めています。

主にII群維持に病院ダッシュボードを活用しているとする岩手県立中央病院の望月泉院長

主にII群維持に病院ダッシュボードを活用しているとする岩手県立中央病院の望月泉院長

データ軸にパス見直し、および入院医療の外来化を推進、II群病院の維持に貢献―病院ダッシュボードユーザー会

連載◆成功事例で学ぶ、病院経営データ分析入門
(1)改革の突破口はベンチマークにあり
(2)急性期一本か機能分化か、決断どうする?
(3)「初の成功例」に最適なのはコスト削減
(4)なぜ、高度急性期の4割が導入するのか
(5)強みが明確になれば、患者は集まる
(6)専門コンサルによる勉強会で使いこなせる
(7)トップランナーからの学びでさらなる飛躍を

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