Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

改革の突破口はベンチマークにあり―成功事例で学ぶ、病院経営データ分析入門(1)

2017.12.7.(木)

 ベンチマーク分析に基づく院内の改善活動は、病院が提供する医療の質や経営にどのような影響を与えるのか――。その具体的な内容を、「病院ダッシュボード」のユーザー事例をメディ・ウォッチでご紹介させていただいた記事を振り返りながら紐解いていく連載企画。初回は、病院の経営データ分析を軸に、大改革を実現した病院の事例記事を紹介するとともに、病院ダッシュボード活用の概観を確認します。

累損57億円から一転、V字回復

 県立病院最多の岩手県で、20ある県立病院の中核を担う岩手県立中央病院(岩手県中=岩手県盛岡市)。盛岡医療圏の約半数の救急患者を受け入れ、年間5500件の手術を施行し、高品質な医療と経営を維持し続ける同院ですが、かつては累積損益57億円の経営危機に見舞われていました。それが一転、医療の質も経営の質も国内屈指の優良病院へ大改革した背景には、病院職員が同じ方向を向き、経営努力をすると同時に、ベンチマーク分析を軸とする徹底したデータ分析の取り組みがありました(詳細は以下の記事を確認)。

事務職員からデータサイエンティストへ

 2015年4月17日付の「日本経済新聞」。朝刊1面に「裏方が決める、質も高まる―治療方針どうする」という見出しで、「データサイエンティスト」として新たな活躍を始めつつある病院の事務職員や医師以外の医療専門職の活躍が伝えられました。

 具体的な事例として、旭川赤十字病院の会議の一場面を掲載。自病院の診療記録を他病院の記録とベンチマーク分析した上で、「抗生物質の使用量が他の病院より多いのはなぜか」と、事務職員が医師に尋ねる場面があることを紹介しました。旭川赤十字病院は、古くからデータ分析を軸に経営改善を繰り返してきた「名門」(関連事例紹介『コスト削減・DPC対応で12億円の改善』)。今やその名門の事務職員は、単なる事務職員から一変し、データサイエンティストとして医療と経営の質を向上するための主戦力として活躍しています(詳細は以下の記事を確認)。

スピーディに具体的な改善活動へつながる

 岩手県立中央病院や旭川赤十字病院は、どのようにして経営改革を実現してきたのでしょうか。その手段の一つとしてあるのが、病院経営に特化したデータ分析システム「病院ダッシュボード」です。

 病院ダッシュボードは、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)が開発した次世代型病院経営支援システムです。自院が、他院と比べてどのような立ち位置にあるのか、さらに自院の強みや改善すべき点などを容易に把握することができます。しかも、GHCのコンサルティングノウハウをベースに「チェックすべき重要項目」を整理し、経験の浅い職員でもポイントを外さずに分析できるように設定されています。例えば、ユーザーからは以下のような感想をいただいています。

 「スピーディに病院の現状や課題を可視化し、院内で共有。具体的な改善に向けた取り組みを積み重ねることで、実際に、病院経営における重要な指標が向上していることも確認できた」

 重要な経営指標となるデータを、他病院とベンチマーク分析した上で、誰でも瞬時に、視覚的に分かりやすく改善のポイントを把握できるのが、病院ダッシュボードの強み。把握した課題を医師に投げかけることで、院内全体の経営改革に結びつけることができます。

 例えば、平均在院日数や期間II超え症例割合などの重要指標を、▽上位25%(青)▽下位25%(赤)▽その中間(黄色)―の3色で表示。改善度合いが「色」で把握でき、モチベーションアップにもつながります(詳細は以下の記事を確認)。

急性期病院の課題解決にマッチ

 DPCを導入している急性期病院にとっては、以下の重要な点などを短時間で確認することが可能です。

  1. 急性期病院の心臓部ともいえる手術室の稼働が低くないか、時間や曜日によるバラつきがないか
  2. 医療材料の購入価格を把握し、他院とのベンチマークを行っているか
  3. 在院日数の短縮や、無駄な検査・投薬の適正化をするために、パスの見直しや標準化を進めているか
  4. 看護部門、薬剤部門、リハビリ部門、栄養部門などで加算の算定漏れがないか
  5. 機能評価係数IIの向上に向けた戦略的な取り組みを行っているか

 分析時間を大幅に削減できるとともに、経営会議などで用いる資料も簡単に作成が可能。例えば、次のような資料が病院ダッシュボードを活用すれば容易に作成・提示することができます。

  1. 平均在院日数を短縮すれば診療密度が上がる構造
  2. 自院とDPCII群病院との「1日当たり包括範囲出来高実績」の違い▽自院における、術式別の「外保連手術指数」
  3. 医療圏において、主要疾患の症例シェア(他院と自院がどれだけの患者を受け入れているか)
  4. 自院の診療科別の在院日数の状況

 詳細は以下の記事をご確認ください。

JA長野厚生連佐久総合医療センターの須田茂男・診療情報管理課主任、「病院ダッシュボードを活用して資料を作成し、診療科部長ヒアリングへ臨んでいる」ことなどを発表

JA長野厚生連佐久総合医療センターの須田茂男・診療情報管理課主任、「病院ダッシュボードを活用して資料を作成し、診療科部長ヒアリングへ臨んでいる」ことなどを発表

16年度改定はマイナス必至、エビデンスに基づいたマネジメント・診療内容の改善が必要不可欠―病院ダッシュボード体験会

 病院ダッシュボードは、院内のさまざまな経営課題を解決するため、14年以上の専門コンサルティングの経験とノウハウを凝縮させたシステムです。12月4日には、よりスピーディに、より使いやすく全面リニューアルし、「病院ダッシュボードχ(カイ)」として生まれ変わりました。次回からは、具体的な経営課題での活用事例について確認していきます。

連載◆成功事例で学ぶ、病院経営データ分析入門
(1)改革の突破口はベンチマークにあり
(2)急性期一本か機能分化か、決断どうする?
(3)「初の成功例」に最適なのはコスト削減
(4)なぜ、高度急性期の4割が導入するのか
(5)強みが明確になれば、患者は集まる
(6)専門コンサルによる勉強会で使いこなせる
(7)トップランナーからの学びでさらなる飛躍を

病院ダッシュボードχ 病床機能報告MW_GHC_logo