Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
診療報酬改定セミナー2024 看護必要度シミュレーションリリース

地域区分単価や福祉用具貸与価格上限にも、消費税率引き上げを反映せよ―介護給付費分科会(2)

2018.11.5.(月)

10月31日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会では、医療・介護関係団体から「来年(2019年)10月の消費増税に向けた対応」に関する意見聴取(第2回目)も行われました(関連記事はこちら)。

10月31日に開催された、「第163回 社会保障審議会 介護給付費分科会」

10月31日に開催された、「第163回 社会保障審議会 介護給付費分科会」

 
 公的介護の費用は消費税非課税となっており、介護事業所・施設(以下、事業所等)が物品等を購入した際に支払う消費税は、利用者・入所者に転嫁できず、事業所等が負担しなければなりません(控除対象外消費税負担)。来年(2019年)10月には消費税率の引き上げ(8%→10%)が予定されているため、この負担が大きくなり、事業所等の経営を圧迫してしまいます。そのため、事業所等の負担増を補填する「特別の介護報酬プラス改定(以下、消費税対応改定)」が行われる見込みなのです。

介護給付費分科会では、医療・介護関係団体から「消費税対応改定」に関する意見を募っており、10月31日には、(1)全国社会福祉法人経営者協議会(2)全国介護付きホーム協会(3)日本福祉用具供給協会—の3団体から意見陳述が行われました。

まず(1)の全国社会福祉法人経営者協議会は、今回の「8%→10%」への対応において、▼課税支出割合に応じた介護報酬の上乗せ(経常経費への対応)▼食費・居住費の基準費用額について、消費税率引き上げや物価動向、給食業務委託費の高騰、施設整備や大規模修繕等に関する建築費上昇分等を踏まえた引き上げ―の2点を要望しました。後者は、他の施設系団体も要望している内容です。2014年度の前回消費税対応改定では「物価下落傾向なども見られる」として据置となりましたが、景気回復の中で物価等が上昇している状況などをどのように捉え、検討していくのか注目すべき点の1つと言えます。

 
また(2)の全国介護付きホーム協会は、▼介護報酬に占める仕⼊れ物件費等の消費税増税分の介護報酬の引き上げ▼地域区分単価の⼈件費割合の引き上げ(現⾏45%を、実態に合わせて80%に引き上げる)—の2点を強く求めています。

介護報酬では、診療報酬と異なり、地域における人件費水準を考慮した「単価」が地域別に設定されています(地域区分単価)。例えば東京23区では人件費が高いため、ほかの自治体と同じ介護報酬のままでは、介護サービス事業所などの経営が苦しくなってしまいます。また、サービスの種類によって人件費の割合が異なります。そこで、▼地域の人件費水準▼サービスごとの人件費割合―に応じて、単価が区分されているのです。

例えば、訪問介護などでは人件費割合は70%に、通所リハビリや小規模多機能型居宅介護などでは人件費割合は55%に、施設系サービスなどでは人件費割合は45%に設定されています。この点、全国介護付きホーム協会は「介護保険施設や特定施設では、【給与費などの非課税費用(収支差額を含む)】が80%程度になっている。この現状を踏まえた人件費割合の見直しを行うべき」と要望しているのです。介護報酬本体の見直しを伴うことになるため、今般の消費税対応改定で見直される可能性は低そうですが、今後の重要検討テーマの1つとなりそうです。
介護給付費分科会(2) 181031の図表
 
また(3)の日本福祉用具供給協会は、▼福祉用具貸与価格上限の見直し▼ゼロ税率課税の実現―の2点を求めています。

前者の「福祉用具貸与価格上限」は、今年(2018年)10月から導入された新たな仕組みです。福祉用具貸与価格は、「事業所の裁量による価格」(つまり言い値)となっているため、まったく同じ製品であるにもかかわらず、一部事業者が極めて高額な貸与価格を設定している事例があることが問題視されています。そこで、2018年度の介護報酬改定で、▼全国の平均的な貸与価格を公表し、福祉用具専門員が、利用者にこれを説明することを義務付ける▼貸与価格に上限を設定する―という2点の見直しが行われました。後者は、保険請求の上限価格を「全国平均価格+1SD(標準偏差)」に定め、上限を超える貸与価格を設定した場合「保険請求を認めない」とするものです。消費税率が引き上げられた場合、貸与価格も高くなることから、「上限価格が引き上げられなければ、保険請求できないケースが増加する可能性がある」のです。実態を踏まえた検討が行われることになるでしょう。
2018年度介護報酬改定(福祉用具貸与)2

 
介護給付費分科会では、こうした意見・要望も踏まえて、消費税対応改定の内容を検討していくことになります(別途、新たな処遇改善論議が進んでいることは、メディ・ウォッチでもお伝えしているとおりです、関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

  
 
診療報酬改定セミナー2024MW_GHC_logo

 

【関連記事】

消費税問題、介護分野でも「個別事業所・施設の補填過不足を調整する」仕組みを四病協が提案―介護給付費分科会(2)

新たな処遇改善加算、「技能・経験ある介護職」「他の介護職」「その他職種」で傾斜配分へ―介護給付費分科会
現在の処遇改善加算に「他職種にも充てられる加算」を上乗せする形も検討―介護給付費分科会(1)
新たな介護職員処遇改善加算、介護福祉士に重点化するとともに、多職種への適用も―介護給付費分科会
2019年10月から、勤続10年以上の介護職員で8万円の賃金アップ―安倍内閣