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光熱水費・人件費が急騰する中、医療機関経営を維持するために緊急の財政措置が必要—日病協

2023.2.10.(金)

急騰する光熱水費・人件費により医療機関経営は大きく圧迫されている。地域医療を守るために、緊急の「財政措置」を政府で講じてほしい—。

日本病院会や日本私立医科大学協会、地域医療機能推進機構など15の病院団体で構成される「日本病院団体協議会」が2月9日、こうした内容を盛り込んだ「病院における医療提供コストの急激な上昇に対しての要望書」を加藤勝信厚生労働大臣に宛てて提出しました(日本病院会のサイトはこちら)。

公定価格である診療報酬の下では、一般企業のような「コスト増の価格への転嫁」は不可能

長引くウクライナ情勢などの影響で「光熱水費」の高騰が続いています。入院医療を提供する病院では、このコスト増が非常に大きくなっています。「傷病と闘う患者」の治療の場である医療機関においては、「節電」などにも限界があります。また光熱水費以外にも「給食を含む委託費の上昇」「諸物価の上昇」が相次いでいます。

一方、保険医療機関では「コスト増を料金に反映させる」(=値上げ)ことは行えません。保険医療機関では、収益の大部分が公定価格である診療報酬であるため、民間企業のように「コスト増を企業努力で吸収しきれなくなったため、商品の価格に転嫁する(=値上げ)」ような対応は行えないのです。したがって、一般企業等に比べてコスト増の影響度合いが極めて深刻となります(関連記事はこちら)。

また、人件費の高騰も続いていますが、やはりコスト増を料金(診療報酬の一部)に反映させられない保険診療中では、人件費を上げることに大きな制約があり「賃金競争で一般企業に勝てず、医療機関において人材確保が困難になってきている」状況にあります。

こうした状況を放置すれば地域医療提供体制が崩壊しかません。

そこで日本病院団体協議会(日病協)は、こうした病院経営環境の急変に対応できるよう次のような取り組みを行ってほしいと加藤厚労相に強く要望しています(関連記事はこちら)。

▽医療機関が、光熱費を含む「医療提供に必要なコストの上昇」に対応できるよう、必要な財政措置を講じてほしい

▽医療機関が、医療従事者に対して適切に処遇を改善できるよう、必要な財政措置を講じてほしい



上述のように、保険医療機関において収益の大部分は公定価格である診療報酬です。このため物価や人件費が急騰する中では「診療報酬による対応」を行うことが必要です。行程価格の下では、保険医療機関が物価等の急騰に「自らの努力で対応する」ことは極めて困難なためです。

しかし、診療報酬全体の改定には述べるまでもなく多大なエネルギーと時間が必要となります。そこで、日病協では「現下の極めて厳しい状況」に迅速・柔軟に対応できるような財政措置」(補助金なども含めて)を強く要請しています。



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