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老衰による死亡がさらに増加、女性では「がん」を抜き死因第1に、平均寿命は男性81.09年、女性87.14年―2023年簡易生命表

2024.7.29.(月)

2023年の我が国の平均寿命は、男性が前年より0.04年長くなって81.09年に、女性が同じく0.05年長くなって87.14年となり、いずれの年齢階層でも「延伸」モードに戻った。猛威を振るっていた新型コロナウイルス感染症の落ち着きなどが大きく影響している—。

「老衰」による死亡増が依然目立っており、女性では「がん」を抜き、死因第1位となった—。

悪性新生物・心疾患・肺炎・脳血管疾患の死亡率の減少傾向は続いている―。

このような状況が、厚生労働省が7月26日に発表した2023年の「簡易生命表」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

コロナの落ち着きで、男性は0.04年、女性は0.05年平均寿命が延伸

簡易生命表は、「ある年の1年間(今回であれば2023年)の死亡状況が今後も変化しない」と仮定したうえで、▼各年齢の人が1年以内に死亡する確率▼平均してあと何年生きられるかという期待値―などを「死亡率」や「平均余命」などの指標(生命関数)で見える化したものです。

戦争や大災害などを除き、医療費と最も相関の高い要素は「年齢」です。また介護費も「年齢」と極めて大きな関係があります。つまり、国民の年齢構成が高くなれば、医療費・介護費は増加する傾向にあります。このため医療保険制度・医療提供体制など、社会保障制度の在り方を考える上で、生命表は極めて重要な基礎資料となります(もちろん年金制度ではまさにダイレクトに関連する)。

2023年の平均寿命(ゼロ歳時の平均余命)を見てみると、男性は81.09年で、前年に比べて0.04年延伸。女性は87.14年で、同じく0.05年延伸しています。ゼロ歳から90歳まで、5歳刻みに平均余命を前年と比較すると、男女とも年齢区分階級で前年から「短縮」しています。

平均余命の推移(2023年簡易生命表1 240726)



従前、基本的に「平均寿命は延伸」してきましたが、▼2020年初めから流行している新型コロナウイルス感染症の影響▼老衰などの死亡率の変化—により、2021年・22年「平均寿命は短縮」していました。2023年に入り、再び「延伸」に転じており、この点からも「コロナ禍から平時に戻りつつある」状況が伺えそうです。

平均余命への死因別寄与度(2023年簡易生命表2 240726)



また諸外国と比較すると、我が国は▼男性ではスイス(82.3年)、スウェーデン(81.58年)、ノルウェー(81.39年)、オーストラリア(81.22年)につぎ、またイタリア(81.09年)と並んで第5位▼女性は第1位—の長寿国となっています。ただし、国によって平均寿命の作成方法などが異なるため、厳密な比較はできない点に留意が必要です。

男性の平均余命、国別比較(2023年簡易生命表3 240726)

女性の平均余命、国別比較(2023年簡易生命表4 240726)

「老衰」による死亡、女性で「がん」を抜いて死因第1位に

次に死因を見てみましょう。2023年の死亡確率(ゼロ歳時)上位は次のようになっています。男女とも「老衰」による死亡率の増加が続いており、女性では「がん」を抜いて「死因第1位」となりました。がん・心疾患・脳血管疾患については死亡率が年々低下しており、「医療水準の向上」や「生活習慣改善等による予防の効果」と見ることができます。

【男性】
第1位:悪性新生物:25.93%(前年比0.37ポイント低下)
第2位:心疾患 14.24%(同0.04ポイント低下)
第3位:老衰 7.93%(同0.48ポイント増)
第4位:脳血管疾患 6.30%(同0.25ポイント低下)
第5位:肺炎 5.68%(同0.04ポイント増)

【女性】
第1位:老衰 19.61%(同0.93ポイント増)
第2位:悪性新生物 19.09%(同0.25ポイント低下)
第3位:心疾患 15.44%(同0.35ポイント低下)
第4位:脳血管疾患 6.73%(同0.24ポイント低下)
第5位:肺炎 4.24%(同0.10ポイント増)

死因別死亡確率(2023年簡易生命表5 240726)



▼悪性新生物▼心疾患▼脳血管疾患—の3疾患を合計した死亡確率(ゼロ歳児)は、男性では46.47%(前年に比べて0.66ポイント低下)、女性では41.26%(同0.84ポイント低下)となり、いわゆる3大死因による死亡はさらに減少してきています。

また「がん」については、男性では死因第1位ですが、女性では「第2位」となりました。男女ともに死亡確率が下がっており、この背景には▼検診受診率の向上(早期発見)▼医学・医療の進歩(画期的な新薬等の開発)▼国民の生活習慣の改善―などが総合的に関係していると考えられます。



また、これらの死因を克服することが出来た場合、理論的には平均余命が長くなると考えられます。厚労省は、疾患克服で2022年のゼロ歳時における平均余命(平均寿命)が次のように延伸すると推計しています。

【悪性新生物】 男性3.16年、女性2.69年
【心疾患】 男性1.42年、女性1.17年
【脳血管疾患】 男性0.65年、女性0.57年
【肺炎】 男性0.39年、女性0.27年

▼悪性新生物▼心疾患▼脳血管疾患—の3疾患すべてを克服すると、男性で6.06年(前年に比べて0.05年短縮)、女性で4.96年(同0.11年短縮)、平均寿命が長くなる計算です。

特定死因を除去した場合の平均余命の延び(2023年簡易生命表6 240726)



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