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診療報酬改定セミナー2024 看護モニタリング

我が国の平均寿命はコロナ禍で短縮し男性81.05年、女性87.09年に、老衰による死亡が増加―2022年簡易生命表

2023.7.31.(月)

2022年の我が国の平均寿命は、男性が前年より0.42年短くなって81.05年に、女性が同じく0.47年短くなって87.09年となり、いずれの年齢階層でも「短く」なってしまった。この背景には「猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症」や「老衰」が大きく影響している—。

「老衰」による死亡増が依然目立っており、男性では死因第3位、女性では死因第2位となっている—。

悪性新生物・心疾患・肺炎・脳血管疾患の死亡率の減少傾向は続いている―。

このような状況が、厚生労働省が7月28日に発表した2022年の「簡易生命表」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

コロナ・老衰の影響で前年に比べて男性は0.42年、女性は0.47年も平均寿命が短縮

簡易生命表は、「ある年の1年間(今回であれば2022年)の死亡状況が今後とも変化しない」と仮定したうえで、▼各年齢の人が1年以内に死亡する確率▼平均してあと何年生きられるかという期待値―などを「死亡率」や「平均余命」などの指標(生命関数)で見える化したものです。

戦争や大災害などを除いて、医療費と最も相関の高い要素は「年齢」です。また介護費も「年齢」と極めて大きな関係があります。つまり、国民の年齢構成が高くなれば、医療費・介護費は増加する傾向にあるのです。このため医療保険制度・医療提供体制など、社会保障制度の在り方を考える上で、生命表は極めて重要な基礎資料となります(もちろん年金制度ではまさにダイレクトに関連する)。

2022年の平均寿命(ゼロ歳時の平均余命)を見てみると、男性は81.05年で、前年に比べて0.42年短縮。女性は87.09年で、同じく0.47年短縮しています。ゼロ歳から90歳まで、5歳刻みに平均余命を前年と比較すると、男女とも年齢区分階級で前年から「短縮」しています。

平均余命の動き(2022年簡易生命表1 230728)



従前、基本的に「平均寿命は延伸」してきましたが、▼2020年初めから流行している新型コロナウイルス感染症の影響▼老衰などの死亡率の変化—が寿命短縮に影響していると厚労省は分析しています。

死因別の平均余命への寄与度、棒グラフが下にのびるほど「命を短くする方向」に寄与している(2022年簡易生命表2 230728)



また諸外国と比較すると、我が国は▼男性ではスイス(81.6年)・スウェーデン(81.34年)、オーストラリア(81.30年)・香港(81.27年)に次いで第4位▼女性は香港(87.16年)に次いで第2位—の長寿国となっています。ただし、国によって平均寿命の作成方法などが異なるため、厳密な比較はできない点に留意が必要です。

諸外国の平均余(2022年簡易生命表3 230728)

「老衰」による死亡、男性で死因第3位、女性で死因第2位

次に死因を見てみましょう。2022年の死亡確率(ゼロ歳時)上位は次のようになっています。男女とも「老衰」による死亡率の増加が続いており、女性では「死因第2位」に、男性では「死因第3位」となっています。一方、がん・心疾患・脳血管疾患・肺炎といった疾患による死亡率は低下しており、「医療水準の向上」や「生活習慣改善等による予防の効果」と見ることができます。

【男性】
第1位:悪性新生物 26.30%(前年比1.36ポイント低下)
第2位:心疾患 14.28%(同0.10ポイント低下)
第3位:老衰 7.45%(同0.04ポイント増)
第4位:脳血管疾患 6.55%(同0.31ポイント低下)
第5位:肺炎 5.646.25%(同0.61ポイント低下)

【女性】
第1位:悪性新生物 19.34%(同0.52ポイント低下)
第2位:老衰 18.68%(同0.12ポイント低下)
第3位:心疾患 15.79%(同0.41ポイント低下)
第4位:脳血管疾患 6.97%(同0.59ポイント低下)
第5位:肺炎 4.14%(同0.42ポイント低下)

死因別死亡率(2022年簡易生命表4 230728)



▼悪性新生物▼心疾患▼脳血管疾患—の3疾患を合計した死亡確率(ゼロ歳児)は、男性では47.13%(前年に比べて1.77ポイント低下)、女性では42.10%(同1.42ポイント低下)となり、いわゆる3大死因による死亡はさらに減少してきています。

また死因第1位を独走する悪性新生物についても、男女ともに死亡確率が下がっています。この背景には▼検診受診率の向上(早期発見)▼医学・医療の進歩(画期的な新薬等の開発)▼国民の生活習慣の改善―などが総合的に関係していると考えられます。



また、これらの死因を克服することが出来た場合、理論的には平均余命が長くなると考えられます。厚労省は、疾患克服で2022年のゼロ歳時における平均余命(平均寿命)が次のように延伸すると推計しています。

【悪性新生物】 男性3.19年、女性2.74年
【心疾患】 男性1.41年、女性1.19年
【脳血管疾患】 男性0.66年、女性0.58年
【肺炎】 男性0.38年、女性0.26年

▼悪性新生物▼心疾患▼脳血管疾患—の3疾患すべてを克服すると、男性で5.26年(前年に比べて1.23年短縮)、女性で4.51年(同0.77年短縮)、平均寿命が長くなる計算です。

特定死因を除去した場合の平均余命の延び(2022年簡易生命表5 230728)



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