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2025年度薬価中間年改定の内容を実質決定、インフル流行踏まえ解熱鎮痛薬等も急遽不採算品再算定の対象に—中医協総会(2)

2025.1.16.(木)

来年度(2025年度)の薬価中間年改定では、薬価引き下げの対象品目をカテゴリ別に決定するとともに、「新薬創出・適応外薬解消等促進の累積控除」や「医療上の必要性が高い医薬品についての不採算品再算定」を実施する—。

なお、現下のインフルエンザ流行状況に鑑みてアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛剤等についても不採算品再算定の対象に急遽組み込むこととする—。

1月15日に開催された中央社会保険医療協議会の薬価専門部会と総会で、こうした内容が固められました(同日の中医協総会における入院時食事療養費の引き上げ等に関する記事はこちら)。

2月頃の中医協で「薬価算定の基準」見直し内容として正式に了承したうえで、4月(2025年)から新たな薬価基準が適用される見込みです。

インフル流行踏まえ解熱鎮痛薬等も急遽「不採算品再算定」の対象とし、薬価を引き上げ

Gem Medで報じているとおり、来年度(2025年度)の薬価中間年改定については、▼12月20日に福岡資麿厚生労働大臣・加藤勝信財務大臣・林芳正内閣官房長官の3大臣協議で方針を決定(厚労省サイトはこちら)→▼同日の中医協薬価専門部会で、この方針を踏まえた「骨子のたたき台」を了承→▼12月25日の中医協薬価専門部会・総会で「骨子」を了承—という形で内容が詰められてきています。

1月15日の中医協薬価専門部会と総会では、既に了承された「骨子」をベースに、より具体的な「令和7年度薬価改定に係る薬価算定基準の見直し」内容を固めました。

重複となりますが、大枠は以下のようになっています。

【薬価引き下げの対象】
(1) 新薬のうち新薬創出・適応外薬解消等促進加算の対象品目
→平均乖離率(5.2%)の1.0倍(=乖離率5.2%)を超える品目

(2) 新薬のうち、新薬創出・適応外薬解消等促進加算の対象「外」品目
→平均乖離率(5.2%)の0.75倍(=乖離率3.9%)を超える品目

(3) 長期収載品
→平均乖離率(5.2%)の0.5 倍(=乖離率2.6%)を超える品目

(4) 後発品
→平均乖離率(5.2%)の1.0倍(=乖離率5.2%)を超える品目

(5) 1967年以前収載品
→平均乖離率(5.2%)の1.0倍(=乖離率5.2%)を超える品目

【薬価引き下げの方式(新薬価(引き下げ後)の計算方法】
▽改定方式は「市場実勢価格加重平均値調整幅方式」とし、以下の算出式で算定した値を改定後薬価とする(ただし、改定前薬価(税込み)が上限)

新薬価=
▼医療機関・薬局への販売価格の加重平均値(税抜の市場実勢価格)
×
▼1+消費税率(地方消費税分含む)

▼調整幅(改定前薬価の2/100)



【適用する算定ルール】
(a) 基礎的医薬品
2024年度薬価改定で基礎的医薬品とされたものと組成・剤型が同一のものに適用
→乖離率の要件(全ての既収載品の平均乖離率以下)を満たさないものは対象外とする(乖離率の大きな、つまり大幅値引きを行って販売しているものには適用しない)

(b)最低薬価
→最低薬価を、賃金上昇などを踏まえて引き上げた(概ね3%程度)うえで適用する(1996年以来の引き上げ)
→引き上げた最低薬価を下回る価格の基礎的医薬品については、「引き上げ後の最低薬価」と同水準までその薬価を引き上げる

最低薬価の引き上げ1(中医協(2)1 250115)

最低薬価の引き上げ2(中医協(2)2 250115)



(c)不採算品再算定
→対象は、基礎的医薬品とされたものと組成・剤形区分が同一である品目▼安定確保医薬品のカテゴリA・Bに位置付けられている品目▼厚生労働大臣が増産要請を行った品目—などとする

(d)新薬創出・適応外薬解消等促進加算
→「加算」「累積額控除(新薬創出等加算対象品目等を比較薬にして算定された品目の取扱いも含む)」の両方を適用する

(e)後発品等の価格帯ルール
2024年度薬価改定における「価格帯集約」の考え方を踏襲して適用する

(f)既収載品の外国平均価格調整
2024年度薬価改定の考え方に基づいて適用する

(g)既収載品の薬価改定時の加算
2024年度薬価改定の考え方に基づいて適用する
●対象品目(21成分・45品目)はこちら



「長期収載品の薬価の改定」「市場拡大再算定」「その他の既収載品の算定ルール」については、来年度(2025年度)中間年改定では適用されません(長期収載品についてはこの10月(2024年10月)から選定療養費が導入され、その効果を見る必要があること、市場拡大再算定はイノベーション評価に逆行する可能性が高いことなどを勘案)。



なお、(c)不採算品再算定の「など」には、現下の状況(インフルエンザが猛威を振るうなど)に鑑みて▼解熱鎮痛薬(急性上気道炎等の解熱・鎮痛に用いる、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム)▼止血剤(咽頭痛、扁桃炎、咽喉頭炎の症状を抑える、トラネキサム酸)—が該当することが厚生労働省保険局医療課の清原宏眞薬剤管理官から報告されました(基礎的医薬品・安定確保医薬品A・Bと同様に取り扱う)。もっとも、今後、対象薬剤の拡大は基本的に行われない見込みです。

解熱鎮痛剤なども不採算品再算定の対象とする(中医協(2)3 250115)

インフルエンザの猛威(中医協(2)4 250115)



このほか、後発品の安定供給に力を入れるメーカーを評価する指標の見直し内容も示されています。この点について森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は「後発品の品目数に着目することは理解できるが、バイオシミラーなどに特化した後発品メーカーの登場も予想され、そうしたメーカーへの配慮も行うべき」と提案しています

後発品の企業評価指標1(中医協(2)5 250115)

後発品の企業評価指標2(中医協(2)6 250115)

後発品の企業評価指標3(中医協(2)7 250115)

後発品の企業評価指標4(中医協(2)8 250115)

後発品の企業評価指標5(中医協(2)9 250115)

後発品の企業評価指標6(中医協(2)10 250115)



なお、1月15日の中医協総会では、以下の新たな医療機器の保険適用も承認されています(本年(2025年)3月1日に保険適用予定)。

▽脳血管の屈曲等により通常の方法ではカテーテルを含む血管内治療機器の送達が困難な症例に対して、目的病変へ血管内治療機器を到達することを可能とする「Medilizer AGD システム」(償還価格:28万4000円)

▽頸動脈狭窄患者において、経頸動脈的に血管にアクセスし、頸動脈血管形成術・ステント留置時の塞栓を防止するために使用する「ENROUTE 経頚動脈ニューロプロテクションシステム」(償還価格:56万円)



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