胃潰瘍等治療薬「アシノン錠75mg」、発がん性物質検出で自主回収
2019.12.4.(水)
▼胃潰瘍▼十二指腸潰瘍▼逆流性食道炎▼急性胃炎・慢性胃炎の急性増悪期の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)―の治療に用いる「アシノン錠75mg」(一般名:日本薬局方ニザチジン)から発がん性物質NDMA(N-ニトロソジメチルアミン)が検出され、製薬メーカーが自主回収を行っていることを12月3日に厚生労働省と東京都が発表しました(都のサイトはこちら)。
ニザチジン・ラニチジン塩酸塩においても発がん性物質NDMAが検出され、多くのメーカーが自主回収をすでに行っています。
製品から許容限度値を超える発がん性物質NDMAを検出
医薬品医療機器等法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、通称、薬機法)は、医薬品や医療機器の回収について「厚生労働大臣(都道府県知事)に報告する」ことを義務付けています(法第68条の11)。
今般、ヒスタミンH2受容体拮抗薬である「アシノン錠75mg」(一般名:日本薬局方ニザチジン)について、海外製造の原薬を使用した製剤に「N-ニトロソジメチルアミン」(NDMA、WHOはヒトに対しておそらく発がん性があると指摘)が許容限度値(0.32ppm)を超えて混入していることをメーカーが自社試験で確認。事態を重く見たメーカー(ゼリア新薬工業)が自主回収を決定したものです。
本事例は「重篤な健康被害・死亡の原因となりうる回収クラスI」と判断されていますが、これまでに国内外において重篤な健康被害が発生したとの報告はありません。
回収対象は、一昨年(2017年)2月23日から昨年(2018年)12月21日までに出荷された1621万8800錠で、89社の卸と、2万2816施設の医療機関に納品されています。対象ロットは下表のとおりです。
ゼリア新薬工業では以下の対応窓口を設置しています。
▼ニザチジン自主回収専用ダイヤル:0120-795-497
▼医療用医薬品専用ダイヤル:03-3661-0277
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