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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

小児における「同種造血幹細胞移植の前治療」などにブスルフェクスを用いる場合、新たな投与方法を保険診療で可能に―厚労省

2021.2.3.(水)

「ブスルファン」(販売名:ブスルフェクス点滴静注用60mg)について、小児における▼同種造血幹細胞移植の前治療▼ユーイング肉腫ファミリー腫瘍および神経芽細胞腫における自家造血幹細胞移植の前治療―に関して、新たな投与方法を保険診療で可能とする—。

厚生労働省は1月29日に通知「公知申請に係る事前評価が終了した医薬品の保険上の取扱いについて」を発出し、こうした点を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら)。

小児で2種類、成人で2種類の投与方法が保険診療の中で認められる

欧米の先進諸国で使用できる医療用医薬品が我が国で保険診療において使用できない―。こうした「ドラッグ・ラグ」が、日本国民が最新の医療技術へのアクセスを阻害するとして、かねてより問題視されています。

厚労省はドラッグ・ラグの解消に向けた取り組みを積極的に進めており、例えば「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、我が国では未承認・適応外となっているが医療上の必要性の高い医薬品について製薬メーカーに開発要請を行うなどしています。また、未承認・適応外薬の開発促進に向けて、2010年度の薬価制度改革で新薬創出・未承認薬解消等促進加算を創設し、2018年度の薬価制度抜本改革では「制度化」を行い、改善を続けています。

あわせて、医療保険制度の中でドラッグ・ラグ解消に強力にアプローチするために、2010年8月25日の中央社会保険医療協議会・総会で「適応外使用とされている医薬品について、薬事・食品衛生審議会の事前審査で『公知申請を行っても差し支えない』と判断された場合には、翌日から自動的に保険適用とする」という特別ルールが創設されました。

保険診療の中では、安全性・有効性を確保するために、医薬品は「効能・効果が認められた傷病の治療」以外に用いることはできません。仮にその他の治療に用いれば保険外診療(自由診療)となり、当該一連の治療全体が全額患者負担となるのが原則です。「この医薬品は異なる傷病の治療に効果があるのではないか」と考えられる場合には、治験などを実施してエビデンスを揃え、薬食審で効能・効果追加の承認を得ることが原則です。安全性・有効性が確認されていない治療を、限られた公的財源(保険料、税)で賄うことは好ましくないからです。

ただし治験等を実施してエビデンスを構築し、審査を受けるには相当の時間が必要です。このため、原則をあまりに厳格に適用すれば、「今まさに疾病と闘っている患者」が最新の医療技術(医薬品)にアクセスするチャンスが大きく阻害されてしまうのです(事実上、我が国では最新医療技術(医薬品)にアクセスできなくなる)。

そこで中医協は、「医療保険の原則」と「最新の医療技術へのアクセス」とのバランスに配慮して上記の特例ルールを創設。▼適応外使用であれば、既に「人体への安全性」は他疾病に関して審査済である▼海外の論文など(公知)で一定の有効性・安全性が確保され、それをもとに薬食審の事前審査で「公知申請を認めて良い」と判断された場合には、必ず後に効能・効果追加が認められている―ことなどに鑑みた特例ルールです。本特例ルールにより「公知申請を認めてよいとの事前審査から、実際に効能・効果追加が行われるまでの期間」分(概ね6か月程度とされる)、保険収載を前倒しすることが可能となります(ドラッグ・ラグの短縮)。

今般、この特例ルールにより次の用法用量を保険診療の中で用いることが認められました。

●「ブスルファン」(販売名:ブスルフェクス点滴静注用60mg)

▽現在認められている効能・効果
・同種造血幹細胞移植の前治療
・ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、神経芽細胞腫、悪性リンパ腫における自家造血幹細胞移植の前治療

▽今般、新たに認められた効能・効果に対する用法用量
・同種造血幹細胞移植の前治療、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍および神経芽細胞腫における自家造血幹細胞移植の前治療における「小児に対する新たな投与方法」(D法)

【D法】
以下の体重別の投与量を3時間かけて点滴静注する。本剤は1日1回、4日間投与する。
▽9kg未満:体重1㎏につき4.0㎎
▽9kg以上16kg未満:同4.8㎎
▽16kg以上23kg以下:同4.4㎎
▽23kg超34kg以下:同3.8㎎
▽34kg超:同3.2㎎



結果、小児には次の2つの投与方法(従前からの【C法】と、今般追加された【D法】)が認められることになる。

【C法】
以下の体重別の投与量を「2時間」かけて点滴静注する。本剤は6時間ごとに1日4回、4日間投与する。
▽9kg未満:体重1㎏につき1.0㎎
▽9kg以上16kg未満:同1.2㎎
▽16kg以上23kg以下:同1.1㎎
▽23kg超34kg以下:同0.95㎎
▽34kg超:同0.8㎎

【D法】(上述どおり)
以下の体重別の投与量を「3時間」かけて点滴静注する。本剤は1日1回、4日間投与する。
▽9kg未満:体重1㎏につき4.0㎎
▽9kg以上16kg未満:同4.8㎎
▽16kg以上23kg以下:同4.4㎎
▽23kg超34kg以下:同3.8㎎
▽34kg超:同3.2㎎



なお、成人に対しては従前どおり次の2つの投与方法(【A法】、【B法】)が認められています。

【A法】
1回「体重1㎏あたり0.8mg」を2時間かけて点滴静注する。本剤は6時間ごとに1日4回、4日間投与する

【B法】
1回「体重1kgあたり3.2mg」を3時間かけて点滴静注する。本剤は1日1回、4日間投与する



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