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診療報酬改定セミナー2024 看護モニタリング

来年度(2023年度)薬価中間年改定の骨子固まる!9300品目の薬価を下げるが、安定供給・イノベーション評価にも配慮—中医協総会(2)

2022.12.22.(木)

来年度(2023年度)の薬価中間年改定では、国民負担の軽減を目指して「乖離率4.375%超の品目」(平均乖離率の0.625倍超、医薬品全体の48%・約9300品目)について薬価引き下げを行う—。

ただし、医薬品の安定供給確保・イノベーション評価の視点から「すべての不採算品(約1100品目)について薬価を引き上げる」「新薬創出・適応外薬解消等促進加算の対象品目のうち、薬価が下がってしまうものに対する臨時特例的な価格下支え」を同時に行う—。

12月21日に開催された中央社会保険医療協議会の総会および薬価専門部会では、このような来年度(2023年度)の中間年薬価改定骨子が了承されました。

実勢価格を踏まえた薬価引き下げのみを行えば「4900億円程度の薬剤費圧縮」となりますが、不採算品再算定や新薬創出等加算の臨時特例などで圧縮額は「3100億円程度」に減少。国費の縮減額は「733億円程度」と見込まれます。

2023年度薬価中間年改定の影響額・対象品目(中医協総会(2)1 221221)

2023年度薬価中間年改定の全体像(中医協総会(2)2 221221)

新薬創出等加算の臨時特例により、対象品目の薬価を強力に下支え

Gem Medで報じているとおり、来年度(2023年度)の中間年薬価改定に向けた議論が、12月16日の加藤勝信厚生労働大臣・鈴木俊一財務大臣・松野博一内閣官房長官の3大臣合意、同日の薬価専門部会で決着。

さらに12月21日の加藤勝信厚生労働大臣・鈴木俊一財務大臣による来年度(2023年度)予算案編成に関する折衝を経て、同日の中医協で細部を詰めた「骨子」が了承されました。

すでに薬価専門部会で決定されている内容と重なりますが、骨子は次のような内容です。

【対象品目・改定方式】
▽乖離率4.375%超(平均乖離率(7.0%)の0.625 倍超)の品目を対象とする(医薬品全体の約48%・約9300品目)

▽市場実勢価格加重平均値調整幅方式とし、「市場実勢価格(医療機関・薬局への販売価格の加重平均)」×「1+消費税」+「調整幅2%」で計算する(通常の薬価改定と同じ計算式)

【適用ルール】
(1)基礎的医薬品(▼医療上の位置付けが確立し、広く臨床現場で使用されていることが明らかである▼乖離率が全既収載品の平均乖離率を超えない—などの要件を満たす医薬品について、最も販売金額が大きい銘柄に価格を集約し、その薬価を維持する)

(2)最低薬価(剤形ごとにかかる最低限の供給コストを確保するため、成分に関係なく剤形ごとに薬価の下限を設定する)

(3)不採算品再算定(急激な原材料費の高騰、安定供給問題に対応するため、急激な原材料費の高騰で不採算となっている全品目(不採算状況調査の1100品目)について薬価を引き上げる
→通常「成分規格が同一である類似薬の全てが該当する場合に限って適用する」旨の適用制限があるが、今回は適用しない(1品目のみ不採算で、類似薬が不採算でない場合にも、再算定が行われ、薬価が引き上げられる)

→対象となる約1100品目の中には「薬価引き下げの対象品目・約570品目」が含まれており、これらは「薬価引き下げを行った後に、不採算品再算定(薬価の引き上げ)を行う」ことになる

不採算の状況(薬価専門部会1 221207)

不採算の原因調査結果(薬価専門部会2 221207)



(4)新薬創出・適応外薬解消等促進加算(加算のみ)
→新薬創出等加算の対象品目のうち「薬価が下がるもの」について、イノベーションに配慮し、通常加算を行った後、「改定前薬価と加算適用後価格の差の95%を、当該加算適用後の価格に上乗せ」する(「従前の薬価と遜色ない水準」が維持される)

2023年度薬価改定では、新薬創出等加算品でも薬価が下がってしまう品目に対する臨時特例措置を行う(中医協・薬価専門部会1 221216)


(5)後発品等の価格帯集約

(6)既収載品の外国平均価格調整(薬価収載時に参照できる外国価格がないなど一定の要件を満たす品目について薬価改定の際に1回に限り外国平均価格調整を行う、今後の中間年改定で本ルールを恒常的に適用するか否かは決まっておらず、別に検討される)

2023年度改定では「収載後の外国平均価格調整」も行う(中医協・薬価専門部会2 221216)



(7)「新薬創出等加算の累積額控除」「長期収載品に関する算定ルール(G1・G2)」は適用しない(関連記事はこちら
→2024年度の次期通常改定において、「国民皆保険の持続可能性」と「イノベーションの推進」を両立する観点から、新薬創出等加算や長期収載品の見直しに向けた検討を行う

(8)その他の既収載品の算定ルールについては、評価に一定の時間を要する ことなどから、令和5年度改定において適用しない

このほか、▼医薬品安定供給上の課題について、「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」での議論も踏まえ、2024年度改定に向けて検討を行う▼中間年改定(診療報酬改定がない年の薬価改定)の在り方を含め引き続き検討を行う—ことも確認されています。

既に薬価専門部会などで議論された内容であること、関係大臣間で合意済の内容であることから、薬価専門部会・総会でこの骨子が了承されました。



なお、医薬品をめぐる当面の最大の課題は「安定供給の確保」です。上記(3)の不採算品再算定を中心に「安定供給確保、供給不安解消に向けた薬価上の手当て」が行われますが、「医療現場において、医薬品確保・処方変更などにかかる負担が急激に増大している」点に鑑みた「一般名処方加算などの引き上げ」論議が中医協総会で行われています。



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