薬価・材料価格制度の見直し案を決定、14成分の医薬品が市場拡大算定―中医協総会 第384回(2)
2018.1.17.(水)
新薬創出・適応外薬解消等促進加算について、要件を厳格化した上で制度化するとともに、長期収載品について価格逓減ルールを導入し、後発品への置き換えを促進する。また、長期間の使用実績に基づいて、保険収載後に医療材料の機能区分を設定し直す新ルールを導入する—。
1月17日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、このような薬価制度、保険医療材料制度の見直し案が了承されました。厚生労働省は見直し内容に沿って、2月上旬に通知を発出し、新たな薬価、保険医療材料価格は3月上旬に告示される見込みです。
目次
新薬創出等加算を厳格化、使用実績踏まえた機能区分申請ルールを新設
薬価制度、材料価格制度の見直し案については、中医協の薬価専門部会、保険医療材料専門部会で議論を進め、薬価制度については昨年(2017年)12月20日に(関連記事はこちらとこちら)、材料価格制度については同じく12月15日に骨子案が了承されました(関連記事はこちら)。
今般、骨子案をベースとした見直し案が厚生労働省から示され、それぞれ中医協の部会と総会で了承されました。2月上旬に厚労省保険局長通知として各都道府県知事らに発出されます。見直し項目は膨大ですが、次のような項目が目玉と言えます。また医薬品・材料に共通する「目玉」項目として、「費用対効果評価」の導入も忘れることはできません。
【薬価制度改革】
▼新薬創出・適応外薬解消等促進加算について、品目要件の厳格化(▼希少疾病用医薬品▼開発公募品▼加算適用品▼革新性・有用性のある新規作用機序医薬品―などに限定)、企業要件の厳格化(▼新薬の収載実績▼開発要請への対応実績―などをポイント化し、ポイント合計が「上位25%程度」未満のメーカーが製造する製品については、加算を減額する)を行うとともに、制度化する
▼長期収載品の価格について、後発品出現の5年後からZ2ルール(後発品への置き換え率に応じた引き下げ)を行い、Z2適用から5年後に後発品置き換え率に着目した新たなG1・G2ルールを適用する
【G1】後発品置き換え率が80%以上の品目は「後発品価格の2.5倍」とし、2年ごとに段階的に価格引き下げを行い、6年度に「後発品と同価格」とする
【G2】後発品置き換え率が80%未満の品目は「後発品価格の2.5倍」とし、その後、2年ごとに、G1より緩やかに価格を引き下げ、最終的に「後発品価格の1.5倍」とする
▼1年に4回、NDB(National Data Base)を活用して、効能効果追加などがなされた医薬品の市場をウォッチし、「市場が大幅に拡大した」製品については、通常の薬価改定を待たずに薬価を引き下げる
【保険医療材料制度】
▼製品導入時には評価できなかった部分について、「使用実績を踏まえて、保険収載後に新規機能区分の該当性について再度評価を行うことができる」仕組みを創設する(既存製品いついても、2年間に限り再申請を可能とする)
▼「迅速な保険導入に係る評価」の試行を継続するが、要件である「審査期間のうちの申請者側の期間」を、実績を踏まえて▽新医療機器の優先品目90日以内(現在は150日以内)▽新医療機器の通常品目180日以内(同240日以内)▽改良医療機器の臨床あり105日以内(同150日以内)—に短縮する
▼外国価格との乖離を解消するための「外国価格調整」について、現在の3倍ルールを「2.5倍ルール」に、2倍ルールを「1.8倍ルール」に厳格化する
オプジーボやボトックスなど14医薬品、市場拡大再算定ルールなどに基づく価格引き下げ
1月17日の中医協総会には、厚労省保険局医療課の中山智紀薬剤管理官から14成分の医薬品について、2018年度に市場拡大再算定・用法用量変化再算定を行うことが報告されました。
▼市場拡大再算定:▽抗パーキンソン剤のトレリーフ錠など▽精神神経用剤のサインバルタカプセル▽下剤のアミティーザカプセル▽慢性/持続性の免疫性(特発性)血小板減少性紫斑病治療に用いるレボレード錠▽抗がん剤のアフィニトール錠など▽骨格筋弛緩剤のボトックス注用▽解毒剤のブリディオン静注▽分子標的治療薬のリツキサン注▽骨髄異形成症候群治療剤のビダーザ注射用—の9成分・18品目
▼特例拡大再算定(巨額再算定):▽消化性潰瘍用剤のネキシウムカプセル▽類薬であるタケキャブ錠―の2成分・4品目
▼用法用量変化再算定:▽メラノーマから非小細胞肺がんに効能追加が行われたオプジーボ▽類薬であるキイトルーダ▽類薬であるバベンチオ―の3成分・5品目
インフルエンザ検査をより迅速に行う技術、新たに先進医療に導入
また1月17日の中医協総会には、厚労省保険局医療課の古元重和企画官から先進医療に関する報告も行われました。
まず、新たに「インフルエンザ疑い患者」に対する、「糖鎖ナノテクノロジーを用いた高感度ウイルス検査法による感染症診療および院内感染対策支援」が先進医療として、保険診療との併用が可能となります。既に先行の臨床研究で「インフルエンザの早期診断法として有用である」ことが明らかになっており、300症例を対象とする先進医療の中で、「発症からどの程度の時間帯において、既存の迅速診断キットよりも有効となるのか」などを探っていきます。
また2016年7月から2017年6月までの先進医療実績も報告され、ここ5年間を見ると「実施医療機関、患者数は増加しているが、総金額は300億円弱で横ばい状態である」ことが分かりました。
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