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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

長期的視点に立ち、専門・認定看護師を育成する施設を診療報酬改定で評価

2017.2.6.(月)

 診療報酬制度では専門看護師、認定看護師が配置されていることで算定できる管理料、指導料があります。2016年度診療報酬改定でも、専門看護師・認定看護師配置が施設基準となっている認知症ケア加算1、排尿自立指導料などが新設され、さらに専門看護師、認定看護師への需要が高まっています。

専門・認定看護師の争奪戦が激化

 日本看護協会「認定看護師・専門看護師による診療報酬の算定と配置要件」によると、最もこうした要件に該当する領域(専門・認定)が多いのが「がん患者指導管理料」で、次に「呼吸ケアチーム加算」「緩和ケア診療加算」と続きます。

診療報酬1

 急性期度が高い病院で算定されることが多い「総合入院体制加算」は、2016年度診療報酬改定で加算2(180点)が新設され、加算1(240点)の施設基準が厳格化されました。このため旧来の加算1を算定していた病院では、ハードルが上がった加算1の基準を満たせない場合、加算2あるいは加算3(120点)の算定を考える必要があります。この加算2・加算3を届け出る上でハードルとなるのが「認知症ケア加算1もしくは精神科リエゾンチーム加算を届け出ていること」という規定です。総合入院体制加算の経過措置は今年(2017年)3月31日で切れるため、多くの病院で認知症ケア加算1・精神科リエゾンチーム加算の施設基準を満たす認定看護師の獲得を急いでいます。

 

 では、専門・認定看護師の領域別に、どこが診療報酬で評価されているのかを詳しくみると、専門看護師ではがん看護、認定看護師では皮膚・排泄ケアが圧倒的です。

診療報酬2
 

 一方、専門看護師の領域別取得者数(2017年2月時点)を見ると、最も養成開始が早いがん看護の資格者が飛びぬけて多くなってます(関連記事はこちら)。

専門看護師

 また認定看護師では、認定開始が2001年と比較的早いために感染管理の認定者数が最も多くなっていますが、診療報酬では「感染防止対策加算1」でしか評価されていません。一方で2番目に認定者数の多い皮膚・排泄ケアは認定領域で最も歴史があることからも、取得者も多く、診療報酬制度でも10項目で評価されており、多くの場での活躍が期待されています。

認定看護師
 

 専門看護師、認定看護師数は人口密集地ほど多い傾向にありますが、都道府県の人数に近似直線を引くと、線の上側に位置する地域は他地域と比較して認定看護師が多い地域と言えます。

専門・認定看護師数

 東京都や兵庫県は育成施設や看護大学が多い点を踏まえると、資格を取得した看護師が実際に臨床現場にいるとは限りません。逆に考えれば、愛知県や大阪府では、がん関連の認定看護師が多く、各種加算で求められている人材を確保しやすい地域だと言えそうです。

がん専門・認定

 

 個人的な話ですが、筆者の看護大学卒業論文(今から16年前)のテーマは、専門看護師の職場定着に関するものでした。当時と比較すると、爆発的に専門看護師、認定看護師の数が増え、診療報酬制度でも評価されるようになっていますが、施設内でどのように評価するのかには未だに答えがなく、例えば「看護師長・副看護師長としての評価」「特別職としての評価(手当て)」など様々である。

 2018の次期診療報酬・介護報酬同時改定においても、幅広い分野をつなぐ役割、病棟と在宅をつなぐ役割などが、さらに評価されると考えられ、長期的な視点に立って人材育成に力を入れている施設が恩恵を受けることになるでしょう。

解説を担当したコンサルタント 湯原 淳平(ゆはら・じゅんぺい)

yuhara 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルティング部門マネジャー。看護師、保健師。
神戸市看護大学卒業。聖路加国際病院看護師、衆議院議員秘書を経て、入社。社会保障制度全般解説、看護必要度分析、病床戦略支援、地域包括ケア病棟・回リハ病棟運用支援などを得意とする。長崎原爆病院(事例紹介はこちら)、新潟県立新発田病院(事例紹介はこちら)など多数の医療機関のコンサルティングを行う。「週刊ダイヤモンド」(掲載報告はこちらこちら)、「日本経済新聞」(掲載報告はこちら)などへのコメント、取材協力多数。

   
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