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皮膚バリア機能の生合成機構を解明、アトピーや魚鱗癬などの新治療法開発に期待―東京都

2017.3.3.(金)

 皮膚の最も外側の細胞である「表皮角化細胞」が作り出す特殊な酵素が、皮膚のバリア機能に必須の脂質成分であるアシルセラミドの生合成に関わる―。

 東京都は1日、世界初となるこうした研究成果を公表しました。魚鱗癬やアトピー性皮膚炎などの難治性皮膚疾患の新たな診断法や治療薬の開発につながることが期待されます(東京都のサイトはこちらこちら)。

PNPLA1という酵素が、皮膚バリア機能の要となるアシルセラミド合成に関わる

 本研究は、東京都医学総合研究所、名古屋大学、理化学研究所、米国バンダビルド大学の共同で、AMED(日本医療研究開発機構)の研究開発課題・日本学術振興会研究費の一環として実施されました。

 皮膚のもっとも外側にある「表皮角化細胞」はセラミドを主成分とする脂質(角質細胞間脂質)を形成し、いわゆる「皮膚バリア機能」を保っています。セラミドの中でも特殊な構造を持つアシルセラミドの生合成や代謝が乱れると皮膚バリア機能が損なわれ、難治性皮膚疾患である▼魚鱗癬▼アトピー性皮膚炎―などの原因となります。

 これまでアシルセラミドの生合成に関わる酵素の実体は不明でしたが、本研究では「ヒト魚鱗癬の原因遺伝子の一つとして報告されている特殊な酵素PNPLA1」がアシルセラミド合成酵素であることを発見したものです。

 具体的には、PNPLA1が欠損したマウスと野生型マウスについて、皮膚の脂質の網羅的比較解析を実施。結果、PNPLA1欠損マウスの皮膚ではアシルセラミドがほぼ完全に消失し、その代わりに前駆体(ω水酸化セラミド)が蓄積していることが判明。また欠損マウスの表皮角化細胞を試験管の中で(in vitro)で培養すると、表皮角化細胞に特徴的な遺伝子発現が著しく損なわれていたものの、アシルセラミドを培地に加えると遺伝子発現が回復しました。こうした結果を踏まえ、「PNPLA1がアシルセラミド合成酵素そのものであり、この酵素が欠損するとアシルセラミドの合成低下により表皮角化細胞の恒常性が乱れ、皮膚バリア機能が保てなくなる」と結論付けています。

 今後は、▼皮膚のPNPLA1量やアシルセラミド量を、難治性皮膚疾患診断のためのバイオマーカーとする▼PNPLA1の発現量や機能を向上させる薬物を難治性皮膚疾患の新規予防法・治療法につなげる―ことが期待されます。

    

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