オプジーボ、腎細胞がん・古典的ホジキンリンパ腫治療に用いる際のガイドラインを通知—厚労省
2017.4.20.(木)
厚生労働省は18日、通知「抗PD-1抗体抗悪性腫瘍剤に係る最適使用推進ガイドラインの策定に伴う留意事項の一部改正について 」を発出しました(厚労省のサイトはこちら。
画期的な抗がん剤のオプジーボ点滴静注(ニボルマブ製剤)について、「腎細胞がん」と「古典的ホジキンリンパ腫」の治療に用いるに当たっての最適使用推進ガイドラインが固まったことを踏まえ、保険診療上の留意事項を定めたものです(関連記事はこちら)。
治療責任者には腎細胞がんの薬物治療に関する研修が求められる
オプジーボは、免疫チェックポイント阻害剤として、各種のがんに対する優れた治療効果が期待されますが、一方で超高額な薬価が設定されたため、中央社会保険医療協議会は緊急的・特例的に薬価を引き下げることを決定(2017年2月1日から)しました。あわせて「適切な施設・医師の下で、有効性・安全性の確認された患者にのみ投与すべき」ことを定めた『最適使用推進ガイドラン』(以下、ガイドライン)を作成し、各医療機関に適正使用を求めることとしています。
12日に開催された中央社会保険医療協議会・総会には、▼腎細胞がん▼古典的ホジキンリンパ腫—の治療にオプジーボを用いる際のガイドライン案および留意事項通知案が報告されました。今般の通知は、これを正式に通知するものです。
ガイドラインの内容は、これまでに示されている▼根治切除不能な悪性黒色腫(メラノーマ)▼切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん▼頭頸部がん—における内容と大きく変わりませんが、「医師要件」「患者要件(対象患者)」「定期的な有効性の評価」について次のように定めています。
◆医師要件
治療責任者に関して「初期研修後に5年以上のがん治療の臨床研修を行い、うち2年以上『がん薬物療法を主とした臨床腫瘍学』の研修を行っている」こと、あるいは腎細胞がん治療・古典的ホジキンリンパ腫治療のそれぞれにおいて次のような要件を満たすこと
▽腎細胞がん:初期研修後に4年以上の臨床研修を行い、うち2年以上「腎細胞がんの薬物療法を含むがん治療」の臨床研修を行っている
▽古典的ホジキンリンパ腫:初期研修後に4年以上の臨床研修を行い、うち3年以上「造血器悪性腫瘍のがん薬物療法を含むがん治療」の臨床研修を行っている
◆患者要件
【腎細胞がん】
▽有効性あり:血管新生阻害作用を有する抗悪性腫瘍剤(アキシチニブ、スニチニブ、ソラフ ェニブ、パゾパニブなど)を含む化学療法歴を有する根治切除不能・転移性の腎細胞がん患者
▽投与対象外(有効性未確立):○化学療法未治療の患者・サイトカイン製剤のみの治療歴を有する患者○術後補助化学療法○他の抗悪性腫瘍剤(サイトカイン製剤を含む)との併用
【古典的ホジキンリンパ腫】
▽有効性あり:自家造血幹細胞移植およびブレンツキシマブに抵抗性または不耐容の再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫患者
▽投与対象外(有効性未確立):○化学療法未治療の患者○他の抗悪性腫瘍剤との併用
◆定期的な有効性の評価
▽腎細胞がん:臨床試験で「投与開始から1年間は8週間ごとに有効性の評価を行っていた」ことを参考に、定期的な画像検査での効果確認を行う
▽古典的ホジキンリンパ腫:臨床試験で「投与開始から6か月以内は8週間ごと、以降は 投与開始から1年間までは12週間ごとに有効性の評価を行っていた」ことを参考に、定期的な画像検査での効果確認を行う
留意事項通知では、施設要件のいずれ(がん診療連携拠点病院であるのか、特定機能病院であるのか、など)に該当するか、医師要件のいずれ(上記)を満たしているのかを、レセプトの摘要欄に記載することを指示しています。
既に腎細胞がん治療などにオプジ―ボを用いている患者、当面、使用を認める
ところで、既に腎細胞がん治療などにオプジーボを用いている医療機関がある(腎細胞がんへの適応は2016年8月、古典的ホジキンリンパ腫への適応は2016年12月)ため、留意事項通知では、次のような経過措置を認めています。下記に該当する場合には、上記の施設要件などを満たしていなくとも、当面、腎細胞がん・古典的ホジキンリンパ腫治療にオプジーボを用いることが可能です。
▼2017年4月17日以前に既に本製剤の投与を受けている「根治切除不能または転移性の腎細胞がんの患者」または「再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫の患者」については、医学薬学的に本製剤の投与が不要となるまでの間は投与が認められる(レセプトの摘要欄に『投与中患者』である旨と、当該患者に初めて本製剤を投与した年月日を記載する)
▼2017年4月17日以前に本製剤の「根治切除不能または転移性の腎細胞がん」または「再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫」に係る使用実績がある保険医療機関において、本製剤を初めて投与する必要が生じた患者に対しては、2017年6月30日までの間は投与開始が認められ、また、医学薬学的に本製剤の投与が不要となるまでの間は投与が認められる(レセプトの適用欄に『使用実績有』の旨と、当該患者に初めて本製剤を投与した年月日を記載する)
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