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病腎移植を先進医療として承認、「医学的に妥当性なし」とのガイドライン記述を修正―厚労省

2017.12.28.(木)

 腎臓がん患者から病腎を摘出し、がん部分を除去して他者に腎移植する、いわゆる「病腎移植」は、関係学会の推薦する外部委員がドナーの適格性判断に加わることや、一例ごとに厚生労働省に詳細を報告することなどを条件に「先進医療として実施する」ことが認められており、臓器移植法の運用ガイドラインを修正する—。

 厚生労働省は12月26日に、こういった内容を盛り込んだ通知「『臓器の移植に関する法律』の運用に関する指針(ガイドライン)の一部改正について」を発出しました。同日から施行されています。

「有効性・安全性が予測されるときの臨床研究」以外での実施は不可

 病腎移植については、宇和島徳洲会病院(愛媛県)で実施されていたことを大きくクローズアップされ、その後、2012年に同院から先進医療申請がなされましたが、当時の先進医療専門家会議は「医学的、倫理的、実施手続き的に問題がある」として「否認」していました。

ガイドラインでも「いわゆる病腎移植については、『現時点では医学的に妥当性がない』とされており、医学・医療の専門家において一般的に受け入れられた科学的原則に従い、有効性・安全性が予測されるときの臨床研究として行う以外は行ってはならない」旨の規定がなされていました。

しかし、今年(2017年)10月の先進医療技術審査部会(未承認医薬品などを用いた先進医療Bの安全性・有効性を審査する厚労省の会議)で、病腎移植について、下記の条件を満たせば、「先進医療として実施してよい」との判断が下されました。

▼ドナーの適格性判断を行う修復腎移植検討委員会に、最新の標準治療の知識を有する、当該技術の関係学会(日本移植学会、日本臨床腎移植学会、日本泌尿器科学会、日本腎臓学会、日本透析医学会)が推薦する外部委員が参加すること

▼レシピエント選定の過程も客観性・公平性が保たれるよう、手続きを明確にすること

▼試験開始後5症例程度については1例ごとに厚労省に実績報告し、報告内容について先進医療技術審査部会で審議すること

▼実施責任医師の要件については、専門資格を持った者(泌尿器科専門医、移植認定医、または腎臓専門医)とすること

 これは、病腎移植の医学的妥当性が一定程度認められたことを意味します。厚労省は、ガイドラインにある「現時点では医学的に妥当性がない」旨の記述を削除するとともに、実施後に「適正な評価」を行わなければならないことを追記しました。

ただし、自由診療であっても安易に実施することは許されず、「医学・医療の専門家において一般的に受け入れられた科学的原則に従い、有効性・安全性が予測されるときの臨床研究として行う以外は行ってはならない」との考えが維持されている点に留意が必要です(保険診療と併用する先進医療で実施する場合には、当然、実施計画などを厚労省に提出し、審査・承認を受けなければならない)。

 
 また通知では、新専門医制度のスタートを控えて、専門医の研修施設が従前の「基幹施設・研修施設・関連施設」の3分類から、「基幹施設・連携施設・関連施設」の3分類に見直されたことを受け、臓器提供施設の1要件を「日本脳神経外科学会の研修施設」から、「日本脳神経外科学会の連携施設」に修正しています。連携施設は、新専門医制度の研修施設類型の1つで「常勤の指導医が勤務しており、少なくとも到達目標のある項目について、特に研修することが可能な施設」です(関連記事はこちら)。

海外での臓器移植、「生命維持に不可欠」なケース以外では医療保険の使用不可

 厚労省は12月22日に、通知「臓器移植に係る海外療養費の取扱いについて」も発出しています。

我が国の医療保険(健康保険組合や協会けんぽ、国民健康保険など)加入者が海外で医療機関にかかった場合には、事後に、自分の加入する医療保険に申請することで医療費の一部が払い戻されます(海外療養費、原則3割負担となる)(関連記事はこちら)。

ただし、日本国内で治療が受けられるにもかかわらず「あえて海外で治療を受ける」場合や、日本国内で保険適用されていない医療行為(例えば日本で未承認の抗がん剤治療など)などは、海外療養費の対象とはなりません。

この点、海外での臓器移植には、さまざまなケースがあり、厚労省は今般、次の要件をいずれも満たす場合には「海外療養費の支給対象となる」ことを明確にしました。

(1)臓器移植を必要とする被保険者等がレシピエント適応基準に該当し、海外渡航時に日本臓器移植ネットワークに登録している状態であること

(2)当該被保険者等が移植を必要とする臓器に係る、国内における待機状況を考慮すると、海外で移植を受けない限りは生命の維持が不可能となる恐れが高いこと

 
なお、医療保険者が(1)(2)の該当性を判断できるよう、臓器移植の費用を海外療養費として申請する場合には、▼日本臓器移植ネットワークの登録証明書の写し▼(1)(2)の状態にあることに関し、主治医(学会認定の移植認定医)による海外施設への紹介状の写しに、部門長または施設長がサインしたもの▼海外の施設に入院していた間の経過記録の写し―を併せて提出することが必要です。

 

 

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