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外来診療 経営改善のポイント 2024年度版ぽんすけリリース

地域医療へ配慮し、国民に分かりやすい専門医制度を目指す—日本専門医機構がQ&A

2017.5.19.(金)

従前、各学会が独自に運用していた専門医制度を、国民に分かりやすく標準化するために新専門医制度が創設された。地域医療確保へのさまざまな配慮を行うと同時に、柔軟な仕組みを導入している—。

日本専門医機構は17日、新専門医制度の詳細をかみ砕いて解説する「概説とQ&A」(平成29年5月12日版)を公開しました(機構のサイトはこちら)。

新専門医制度の概要や養成方法などを分かりやすく解説

新専門医制度の来年度(2018年度)からの全面スタートに向けて日本専門医機構では、熱のこもった議論が続けられています。その中で「一部に、新専門医制度や機構に対する誤解がある」ことが分かり、国民や専攻医を含めた関係者に向けて、分かりやすいQ&Aを作成し、順次改訂していくこととしたものです(関連記事はこちら)。

今回公表されたのは初版(平成29年5月12日版)では、▼専門医制度とは何か、なぜ必要か▼従来の専門医制度と新制度との違いと、その理由▼日本専門医機構とは何か▼専門医の養成方法▼専門医の更新方法▼専攻医を受け入れる施設の対応—などについて解説しています。

例えば、専門医制度とは何かについて、神の手を持つスーパードクターではなく(もちろんこういった医師も必要)、「それぞれの専門領域で、その領域の専門研修を受け、患者から信頼される標準的な医療を提供できる医師」であることを明確化。

従来は、各学会が独自に専門医を養成・認定していましたが、国民に分かりやすくするために「専門医制度の標準化」が必要とされたこと、新制度では学会と日本専門医機構が連携して、専門医の養成・認定を行うことを明確化。

養成方法については、▼基本領域ではプログラム制を原則とする▼サブスペシャルティ領域ではプログラム制・カリキュラム制のいずれでもよい—点にも言及。プログラム制とは「定められた年限と研修施設で、必要な症例数などを経験し、専門医資格を取得する仕組み」、カリキュラム制とは「年限や研修施設を定めず、必要な症例数などを経験し、専門医を取得する仕組み」です。カリキュラム制は、「地域医療に従事しながら、自身の状況にあわせて、5年、10年と時間をかけて専門医資格を取得する」ことが可能ですが、日本専門医機構では「若いうちに集中的に標準的な知識・技術を学ぶことが重要」との考えから、基本領域についてはプログラム制を基本に据えています(関連記事はこちら)。

ただし、厚生労働省に設置された「今後の医師養成の在り方と地域医療の確保に関する検討会」において全国市長会副会長の立谷秀清構成員(相馬市長)らから、カリキュラム制の設置を求める指摘も出ており、今後の議論によっては「基本領域においても必ずカリキュラム制を設置すること」という見直しが行われる可能性もゼロではありません。そうした場合、Q&Aも改訂されることになるでしょう(関連記事はこちらこちら)。

また研修施設については、次の3つに分類されることを説明しています。

▼基幹施設:それぞれの領域のほとんどの到達目標を経験できる施設(要件は各領域学会が「専門医制度新整備指針」に基づいて定める)

▼連携施設:少なくとも到達目標のある項目について、特に研修することが可能な施設(常勤の指導医勤務が必要)

▼関連施設:専門医研修の継続的な指導体制が整っており適切な研修が行えると判断される施設(常勤の指導医が勤務していなくてもよい)

このうち基幹施設の要件が厳しく「大学病院しか基幹施設になれないのではないか」との指摘が出たことを受け、「専攻医の採用実績が年間350名以上の領域(当面、内科、外科、小児科、整形外科、麻酔科、精神科、産婦人科、救急科)については、原則として、大学病院以外でも基幹施設になれる基準とする」ことを説明しています。もっとも、医師の少ない地域で基幹施設が複数できれば、専攻医も症例も分散してしまうため、日本専門医機構と学会、さらに都道府県協議会(専門医研修に関する協議を行う、都道府県、医師会、大学、病院団体などからなる組織)とで調整を続ける」ことも明確にされています(関連記事はこちらこちら)。

さらに地域医療への配慮(医師偏在を助長しないように)として、▼東京▼神奈川▼愛知▼大阪▼福岡―の大都市では、「過去5年間の都市部の専門医採用実績の平均値を超えない」ことを原則とする(医師数の減少している外科と産婦人科、採用実績の少ない病理、臨床検査は除く)ことも示しました。
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