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専門医制度新整備指針、基本理念に「地域医療への十分な配慮」盛り込む―日本専門医機構

2016.12.19.(月)

 日本専門医機構は16日に社員総会を開催し、専門医の「新整備指針」を了承しました。すでに9日の理事会で概ねの了承を得ており、今般、社員総会の議を経て、最終決定となったものです(若干の文言修正は残っている)た後、制度の骨格となる基本理念に、「医師の地域偏在等を助長することがないよう、地域医療に十分配慮する」ことを盛り込んでいます。

 今後、指針に沿って各学会・基本領域で「運用細則」や「整備基準」を定め、これに則って研修プログラムの策定(4-5月頃)、専攻医の募集開始(6月頃)が行われることになります。

研修プログラムの認定、事前に都道府県協議会との協議を行う

 専門医新整備指針は、新たな専門医制度の憲法にも位置づけられるものです。その序文では、▼新たな専門医の仕組みは、機構と各基領域学会が連携して構築する▼仕組みを柔軟に運用する▼各領域学会は、学術的な観点から責任をもってプログラムを構築する▼機構は、そのプログラムを検証・調整し、標準化を図る―ことといった具合に、「機構と学会が役割分担しながら、連携を図っていく」ことが強調されています。

 また、専門医制度確立の基本理念について、これまで▽専門医の質を保証できる▽患者に信頼され、受診の良い指標となる▽専門医が公の資格として国民に広く認知される▽医師が、プロフェッショナルとしての誇りと患者への責任を基盤として、自律的に運営する―制度としていたものを、次のように改めました。

(1)プロフェッショナルオートノミーに基づいた専門医の質を保証・維持できる

(2)国民に信頼され、受診にあたり良い指標となる

(3)専門医の資格が国民に広く認知される

(4)医師の地域偏在等を助長することがないよう、地域医療に十分配慮する

 このうち(4)は、日本医師会や病院団体などが強く要望していたもので、「新専門医制度の全面スタート1年延期」の引き金となった点です。この点を具体化するために、新整備指針では、随所で「地域医療への配慮」に触れており、例えば次のような配慮を行うことを明確にしています。

▼専門医制度は医療提供体制に深く関わっており、地域医療の重要性から基本領域学会専門医の運用においては、地域における医師偏在を解消することに努める

▼「大学病院以外の医療施設も、研修施設群の基幹施設となれる」基準を設ける

▼機構は、基本領域学会と協同して、研修プログラム制による専攻医登録をする際に医師の都市部への偏在助長を回避することに努める

▼専門研修プログラムを形成する研修施設群は、原則として単一の専門研修基幹施設と複数の専門研修連携施設から構成される。地域による特殊性を基本領域学会において配慮する

▼専攻医の集中する都市部の都府県に基幹施設がある研修プログラムの定員等については、都市部への集中を防ぐため、運用細則で別途定める

▼地域医療を維持するために必要な施設において常勤の専門研修指導医を置くことが困難な場合、研修連携施設に準ずる施設を基幹施設の承認のもと研修プログラムに組み入れ、これらの施設での研修も各領域が定める期間、指導医が不在であっても研修として認めるように基幹施設の責任において配慮する

▼従来の学会認定制度において専門医を養成していた医療機関が、専攻医の受入れを希望する場合は、専門医育成のため質の低下をきたさない範囲で基幹施設の承認のもと基幹施設の責任で連携施設となれるものとする

▼専門研修プログラムの認定に際しては、地域分布に配慮を行うため、機構は、各領域の研修プログラムを承認するに際して、行政、医師会、大学、病院団体からなる各都道府県協議会と事前に協議し決定する

 

 このほか、▽基本領域学会専門医の研修では、原則として「研修プログラム制」(到達目標を、年次ごとに定められた研修プログラムに則って研修を行い、専門医を養成するもので、基幹施設と連携施設で研修施設群を作り循環型の研修を行う)による研修を行う▽サブスペシャルティ学会専門医では、研修プログラム制、研修カリキュラム制のいずれも可能とする―といった事項なども明確にしています。

 
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