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専門医整備指針の改訂案に対する全自病の声明、同様の見解である―日病・堺会長

2016.11.29.(火)

 新たな専門医制度の整備指針案に対して、日本医師会の横倉義武会長や全国自治体病院協議会の邉見公雄会長が「地域医療への更なる配慮」を求める要望などを出しているが、日本病院会も同様の見解である―。

 日本病院会の堺常雄会長は、28日に開いた定例記者会見でこういった考えを明らかにしました。

 総合診療専門医については、基本領域を「家庭医」「病院の総合診療医」共通のプログラムとし、サブスペシャリティ領域で個別のプラグラムを設定することなども提案しています。

11月28日の定例記者会見に臨んだ、日本病院会の堺常雄会長

11月28日の定例記者会見に臨んだ、日本病院会の堺常雄会長

日病執行部の中にはプロフェッショナルオートノーミーの限界を指摘する声も

 「地域の医師偏在を助長しないようにすべき」との医療現場の指摘を受け、新たな専門医制度の全面スタートが1年延期(2018年4月から)されました。日本専門医機構の新執行部は、この1年の間に課題を解決することとし、新専門医制度の骨格となる「整備指針」の改訂に向けた議論を行っています。18日には機構の吉村博邦理事長(地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授)から、次のような改訂方向が報告されています。

▼研修プロセスを重視する「プログラム制」以外にも、到達目標で評価する「カリキュラム制」も可能にする

▼「研修施設群」の要件を柔軟にし、指導医がいない施設でも一定の条件を満たせば連携施設に準じた施設とし、研修養成施設となることを認める

▼専門医の認定や養成プログラムの1次審査などは各学会が同機構の基準に沿って行い、機構が「基準に則っているか」の2次審査行う

 これに対し、日医の横倉会長や全自病の邉見会長は「地域医療への配慮が十分でない」とし、「都道府県ごとに大学病院以外の医療機関も含め、複数の基幹施設を認定する」「ことなどを求める要望を行っています。

 28日の日病定例記者会見で堺会長は、「質の担保」を前提として、指導医がいない施設も養成施設となれることを認めてよいのではないかなどの感想を述べた上で、「日医や全自病と同様の見解である」ことを表明しました。ただし「定数の設定」や「マッチングの導入」は是非とも必要としています。

 また日病の常任理事会では「専門医の質の担保」が重視され、「医師の地域偏在など専門医の『量』の議論だけでなく、長いスパンで『質』の担保を図る必要がある。地域偏在については専門医制度だけでは解決できないが、入り口(地域別・診療科別などの定数)をコントロールしていく必要がある」との意見が出されたことが紹介されました。なお定数については、「個別サブスペシャリティ領域の定数を設定し、それを積み上げて基本領域の定数を考えるべき」との指摘も出ています。

 なお、専門医制度は日本専門医機構と学会とが協働して制度構築・運用していくことになっていますが、日病の常任理事会では「プロフェッショナルオートノーミーと言いながら、さまざまな課題を解決できていない現実がある。行政の関与を一定程度認めるべきではないか」との指摘も一部出されたといいます。

 さらに堺会長は、専門医制度をめぐる動向を俯瞰して「大学や学会への回帰という先祖返りが起きているように見える。国家的な視点、地域医療の視点を持った議論が必要ではないか」とコメントしています。

総合診療専門医は「家庭医」と「病院総合診療医」の2タイプ、サブスペで特化した研修を

 また堺会長は総合診療専門医について、大きく「家庭医」と「病院で総合診療に携わる医師」の2タイプがあることを改めて強調。両者の業務は重なる部分もあれば、異なる部分もあります。例えば、へき地で家庭医として活躍する医師はお産(分娩)に携わる機会が少なくないですが、病院で総合診療に携わる医師ではごくごく限られます(専ら産科医師が対応するため)。また、地域包括ケア病棟などで総合診療に携わる医師は、在宅患者の急変等に対応する機会があり、家庭医に比べて、より「救急医療との連携」が必要となってきます。堺会長は、病院の総合診療医に特に求められる役割として、▼外科における術前術後の管理▼地域包括ケア病棟における入院患者の総合管理▼ERでの初期対応▼初期研修医を含めた若手医師の教育・研修―などを例示しています。

 日本専門医機構では総合診療専門医の養成も1年延期しており(2018年度から機構プログラムでの養成開始)、2017年度については日本プライマリ・ケア連合学会による家庭医療専門医の養成プログラムを受講した専攻医について「不利にならないような配慮を行う」としています。この点について堺会長は、▼1階部分(基本領域)は両者(家庭医と、病院の総合診療医)に共通するプログラム▼2階部分(サブスペシャリティ領域)はそれぞれに特化したプログラム―という形の仕組みなども検討する必要性を強調しました。

  
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