地域の医師偏在を助長しないよう、改めて専門医制度の整備指針を見直すべき―全自病
2016.11.25.(金)
専門医の養成を行う基幹施設を事実上大学病院に限定するような基準を改め、従来から専門医養成を行ってきた医療機関は連携施設となれるようにするべきである―。
全国自治体病院協議会(邉見公雄会長)は22日、こういった声明(専門医制度整備指針に関する声明)を発表しました。
都市部の専攻医定員は、過去3年間の実績平均を超えないようにすべき
新たな専門医制度は、専門医の認定と、専門医を養成するプログラムの認証を日本専門医機構(以下、機構)が統一した基準で行うことを柱とし、2017年4月からスタートする予定でした。しかし、養成プログラムについて「ハードルが高すぎ、地域の医師偏在を助長する可能性が高い」などの批判が強く(関連記事はこちらとこちら)、機構の新執行部は新制度の全面スタートを1年延期することを決定。その間に、医療現場が指摘されているさまざまな課題を解決することとしています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。
しかし、全自病では機構における議論について「最大の懸念である地域の医師偏在に全く応えていない」と批判し、次のような事項を「専門医制度整備指針」に反映されるよう要望する声明を行ったものです。なお、これらの項目は、日本医師会の横倉義武会長が行った要望と同じ内容です。
(1)基幹施設の基準は、都道府県ごとに大学病院以外の医療機関も含め、複数の基幹施設が認定されるものとする(整形外科では75%、脳神経外科では85%の基幹病院が大学病院となっている)
(2)従来の学会認定制度の下で専門医を養成していた医療機関が専攻医の受け入れを希望する場合は、連携施設となれるようにする
(3)専攻医ローテートは、原則として「6か月未満で所属が変わらない」ようにする(特別な症例を経験するために必要などの事情があれば別)
(4)専攻医の集中する都市部の都府県に基幹施設があるプログラムは、原則として「募集定員が過去3年間の専攻医採用実績の平均を超えない」ようにする
(5)専攻医採用は、基幹施設だけでなく、連携施設でも行えるようにする(連携施設で採用した専攻医に関しては、連携施設で責任をもって管理できるよう指針を改訂すべき)
(6)プログラムの認定にあたっては、各都道府県協議会において、医師会、大学、病院団体などの地域医療関係者の了解を得る
(7)研修期間について、▼妊娠・出産・育児などの理由によって中断することを認める▼6か月までの中断であれば、残りの期間で必要な症例などを埋め合わせることで研修延長をしないですむようにする▼6か月以上の中断であっても、研修復帰後に中断前の研修実績は引き続き有効とする
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