専門医制度の新整備指針策定に向け、四病協で意見をまとめ、日本専門医機構に伝えたい
2016.12.5.(月)
新たな専門医制度の整備指針案に対して、日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院の4団体で構成される「四病院団体協議会」としての意見・要望をまとめたい―。
11月30日に開かれた四病院団体協議会の総合部会で、こういった点を確認したことが、総合部会終了後の記者会見で日本病院会の堺常雄会長から明らかにされました。
意見・要望は、日本専門医機構の神野正博理事(全日病副会長)と森隆夫理事(日精協常務理事)を通じて、機構の理事会に伝える考えです。
地域医療への配慮を求める点で、四病協も日医・全自病と共通の見解
メディ・ウォッチでもお伝えしているように、日本専門医機構では、2018年4月から全面スタート予定の新専門医制度の骨格となる「専門医制度整備指針」の改訂に向けた議論を行っており、次のような見直し案が浮上しています。
▼研修プロセスを重視する「プログラム制」以外にも、到達目標で評価する「カリキュラム制」も可能にする
▼「研修施設群」の要件を柔軟にし、指導医がいない施設でも一定の条件を満たせば連携施設に準じた施設とし、研修養成施設となることを認める
▼専門医の認定や養成プログラムの1次審査などは各学会が同機構の基準に沿って行い、機構が「基準に則っているか」の2次審査行う
しかし、日本医師会や全国自治体病院協議会では、こうした見直し案によっても「地域医療への配慮が十分とは言えない」とし、例えば「都道府県ごとに大学病院以外の医療機関も含め、複数の基幹施設を認定する」ことなどを求める要望を行っています。
四病協でも、整備指針で「地域医療への配慮」を十分に行うべきという点で意見が一致。各団体で意見・要望をまとめ、それをすり合わせて「四病協として意見・要望」をまとめる方向が確認されています。
記者会見の中で堺・日病会長は、▼医師の地域偏在助長をどうやってストップさせるかを考える必要がある▼領域によっては都道府県において、大学以外に基幹施設がないところもあり、基幹施設の要件を緩和できないかを検討すべき▼出産などで研修を中断せざるを得ない女性医師への配慮を十分に行うべき―といった意見が示されたことが紹介されました。
四病協として意見・要望をまとめた暁には、指針改訂論議をしている日本専門医機構の理事会へ、四病協から参画している理事(神野正博理事:全日病副会長、森隆夫理事:日精協常務理事)を通じて伝えることになります。
なお、受動喫煙防止対策の強化に向けて、「医療機関について敷地内禁煙」を徹底するという方向で議論が進められています。
これについて堺・日病会長は「原則、敷地内禁煙に賛成だが、例えば精神科病棟や緩和ケア病棟など、さまざまな患者ニーズがあり、そこにも一定の配慮が必要である」という点で四病協の認識が一致している点も発表されました。例えば、緩和ケア病棟には末期がん患者が数多く入院していますが、その患者が喫煙者であった場合でも「敷地内では一切の喫煙は許されない」とするのは確かに酷かもしれません。四病協では、こうしたケースに対しては、一定の配慮を求める必要があると考えています。
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