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外来診療 経営改善のポイント 看護必要度シミュレーションリリース

専門医取得が義務でないことやカリキュラム制の設置、新整備指針の中で対応—日本専門医機構

2017.5.15.(月)

 厚生労働省に新たに設置された「今後の医師養成の在り方と地域医療の確保に関する検討会」で指摘された(1)専門医取得は義務ではないことを明確にする(2)地域医療に配慮したカリキュラム制を設置する(3)研修の中心は大学病院のみでなく、症例の豊富な地域の中核病院などを含む(4)都道府県の協議会を随時開催し、運用状況を報告させる—という点について、専門医制度新整備指針の中で対応する—。

 日本専門医機構(以下、機構)は12日の理事会でこうした方向を確認しました。

5月12日、理事会後の記者会見に臨んだ、日本専門医機構の吉村博邦理事長(地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授、中央)と、山下英俊副理事長(山形大学医学部長、向かって右)、松原謙二副理事長(日本医師会副会長、向かって左)

5月12日、理事会後の記者会見に臨んだ、日本専門医機構の吉村博邦理事長(地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授、中央)と、山下英俊副理事長(山形大学医学部長、向かって右)、松原謙二副理事長(日本医師会副会長、向かって左)

検討会の指摘を踏まえ、地域医療へ配慮することを整備指針の中で明確化

 新専門医制度については、2018年度からの全面スタートに向け、機構において、制度の憲法とも言われる整備指針や、各基本領域学会が養成プログラムを策定する際の拠り所となる運用細則を固めるなど着々と準備が進められています。そもそも2017年度からのスタート予定でしたが、「地域・診療科における医師偏在を助長する可能性がある」との指摘を受け、1年間立ち止まって問題点の解決に向けた議論を進めているのです(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

 しかし、全国市長会などから「さらなる地域医療への配慮が必要」との要望が出されたことなどを受け、塩崎恭久厚生労働大臣は「今後の医師養成の在り方と地域医療の確保に関する検討会」の設置を決定。4月26日の検討会では、多くの構成員から「さらなる配慮をすべき」との意見が相次ぎました。

 12日の開かれた機構の理事会では、こうした要望や意見を踏まえ、新整備指針の中で次の4点について対応する方向が確認されています。

(1)専門医取得は義務ではないことを明確にする

(2)地域医療に配慮したカリキュラム制を設置する

(3)研修の中心は大学病院のみでなく、症例の豊富な地域の中核病院などを含む

(4)都道府県の協議会を随時開催し、運用状況を報告させる

 すでに運用細則などで規定されている内容ですが、機構の吉村博邦理事長(地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授)は12日理事会後の記者会見で、「専門医は国民のための仕組みであり、国民にとって分かりやすいものとする必要がある。そこからぶれてはいけない点を理事会で確認した」旨を説明し、整備指針の中でこれらの点を明確にする意義を示しています。ただし、具体的にどのような見直しを行うべきかについて理事会の意見は固まっておらず、6月2日開催予定の次回理事会での意見集約を目指すことになります。

 なお、各学会では運用細則に基づき、研修プログラムの作成に入っています。機構の山下英俊副理事長(山形大学医学部長)は、「指針見直しを待たずにプログラムなどを作成していただく」旨の考えを示しています。円滑なプログラム作成や専攻医募集につなげることが狙いと思われます。

 ただし、例えば(2)の「カリキュラム制」について、現在の運用細則では「基本領域の1つ目の専門医取得における専門研修では、原則として研修プログラム制による研修とする。しかし(中略)専門医育成の教育レベルが保持されることを条件に専門研修カリキュラム制による専門研修を可能とする」とされています。これが、仮に整備指針で「カリキュラム制を必ず設置しなければならない」などの対応が図られた場合、学会の研修プログラムの中にカリキュラム制が組み込まれていなければ、当該研修プログラムを認証することが困難になるでしょう。こうした点をどう調整していくのか注目されます。

総合診療専門医、内科・救急・小児・総合診療1・2で2年半の研修を

 また12日の理事会では、総合診療専門医の研修プログラムについて、▼1年を内科(内科専門医と同等)▼3か月を救急科▼3か月を小児科▼6か月を総合診療科1(中小病院やクリニックにおける、在宅医療も含めた総合診療)▼6か月を総合診療科2(大規模病院における総合診療)―とすることが了承されました。

 機構の松原謙二副理事長(日本医師会副会長)は、「初期臨床研修で外科の研修を受けていない場合には、残り6か月(3年の研修期間から上記の期間を除く)において外科の研修を受けることが推奨される」ことや、「1年間は僻地などでの勤務・研修が望ましい」ことなども固められたことを説明しています。

 
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