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社会保障給付費、前年度から1.3%伸び、過去最高の116兆9027億円―2016年度社会保障費用統計

2018.9.6.(木)

 2016年度の社会保障給付費は過去最高の116兆9027億円で、前年度に比べて1兆5020億円・1.3%の伸びとなった。医療給付の伸びが小さくなっているが、2015年度に「超高額医薬品(C型肝炎治療薬のハーボニー錠など)の保険収載によって、前年度に比べて医療給付費が大幅に増加した」ことの反動によるものと考えられる―。

 国立社会保障・人口問題研究所が8月31日に公表した2016年度の「社会保障費用統計」から、このようなことが明らかになりました(社人研のサイトはこちら)(前年度の状況はこちら)。

 また施設整備費などを含めた「社会支出」は、2016年度には前年度比1兆3604億円・1.2%増の119兆6384億円となっています。

社会保障給付費の対GDP比は21.68%で、前年度から0.06ポイント低下

 社会保障費用統計は、年金や医療保険、介護保険、雇用保険、生活保護など社会保障制度に関する1年間の支出(社会保障費)を、▼OECD(経済協力開発機構)基準による「社会支出」▼ILO(国際労働機関)基準による「社会保障給付費」—の2通りで集計したものです。前者の「社会支出」(OECD基準)は、後者の「社会保障給付費」(ILO基準)に比べて、施設整備費など直接個人にわたらない支出も集計範囲に含めています。

 まず、我が国で戦後間もなくから集計されている後者の「社会保障給付費」(ILO基準)について見てみましょう。

 2016年度の社会保障給付費は116兆9027億円で、前年度に比べて1兆5020億円・1.3%増加しました。GDP(国内総生産)に対する社会保障給付費の割合は21.68%で、前年度に比べて0.06ポイント上昇しました。2012年度から13年度、2013年度から14年度、14年度から15年度まで3年度連続で低下していましたが、2016年度には増加に転じています。

 国民1人当たりの社会保障給付費は92万1000円で、前年度に比べて1万3000円・1.4%の増加、1世帯当たりで見ると227万4100円で、前年度に比べて1万6600円・0.7%の増加となっています。
2017年度社会保障費用統計2 180831
2017年度社会保障費用統計3 180831

 部門別に見ると、年金給付が最も多く54兆3770億円(前年度比0.5%増)、次いで医療給付38兆3965億円(同0.6%増)、介護対策給付9兆6045億円(同2.1%増)となりました。社会保障給付費全体に占める割合(シェア)は、▼年金46.5%(同0.4ポイント減)▼医療32.8%(同0.3ポイント減)▼介護8.2%(同0.1ポイント増)—という状況です。
 
 また社会保障給付費を機能別に見てみると、高齢者給付が最も多く55兆5820億円(同0.6%増)で、給付費全体の47.5%(同0.4ポイント減)を占めています。次いで保健医療の36兆7094億円(同0.6%増)が大きく、給付費の31.4%(同0.2ポイント減)を占めています。前年度に比べて「生活保護その他」給付(同16.3%増)、「家族」給付(6.3%増)の増加が目立ちます。

 
 2016年度は医療に関係する給付費の伸びが小さくなっていますが、これは「2015年度には、C型肝炎治療薬ハーボニーなどの超高額薬剤が保険収載され、前年度に比べて医療費が大きく伸びた」ことの反動の影響が大きいと考えられます。今後の動向にも注目する必要があるでしょう(関連記事はこちらこちら)。

 
 さらに、社会保障財源を見てみると、前年度に比べて9.0%・11兆1093億円増加しています。財源の構成(シェア)を見ると、▼社会保険料:51.1%(前年度比3.0ポイント減)▼公費:35.4%(同2.3ポイント減)▼その他収入:13.6%(同5.4ポイント増)—となりました。「その他収入」が大きく伸びていますが、これは公的年金制度の資産運用収入(株式投資など)が大きく増加したことによるもので、「安定財源」とは言えない点に留意が必要です。

施設整備費などを勘案した社会支出の対GDP、英国と同水準の22.19%

 次に、OECD基準に基づく「社会支出」を見てみましょう。先進諸国でも使用されている指標で、国際比較を行う場合にはこちらが有用です。

 冒頭で述べたとおり、社会支出は社会保障給付費よりも広範囲で、施設整備費なども含まれています。2016年度には、前年度に比べて1兆3604億円・1.2%増加の119兆6384億円となりました。

 国民1人当たりで見ると94万2500円(前年度に比べて1万1900円・1.3%増)、1世帯当たりで見ると232万7300円(同1万3500円・0.6%増)となっています。

 社会支出を政策分野別に見ると、▼高齢:55兆7549億円・全体に占めるシェア46.6%(前年度比0.7%増・0.2ポイント減)▼保健:40兆6711億円・34.0%(同0.4%増・0.3ポイント減)▼家族:6兆9747億円・5.8%(同6.4%増・0.3ポイント増)▼遺族:6兆5779億円・5.5%(同1.5%減・0.1ポイント減)―などという状況です。

 
 またGDPに占める社会支出の割合は22.19%(同0.03ポイント増)、国民所得(NI)に占める割合は30.54%(同0.24ポイント増)となりました。社会支出の対GDP比(22.19%)は、英国(2015年度22.65%)とはほぼ同水準で、▼フランス(2015年度32.12%)▼ドイツ(同27.13%)▼スウェーデン(同26.75%)—といった欧州の大陸諸国に近づいてきています。
2017年度社会保障費用統計1 180831

【更新履歴】記事中「GDP(国内総生産)に対する社会保障給付費の割合は21.68%で、前年度に比べて0.06ポイント低下」とありましたが、「0.06ポイント上昇」の誤りです。訂正してお詫び申し上げます。記事は訂正済です。
 
 
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