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75-79歳女性の4分の1超、80歳以上女性の3割超が「単独世帯」で生活―2018年国民生活基礎調査

2019.7.11.(木)

 65以上の高齢者がどのような世帯で生活しているのかを見ると、女性では年齢階級が上がるにつれて「単独世帯」が増加し、2018年には80歳以上の女性のうち、3割超が「単独世帯」で生活している。2016年から17年にかけて世帯の所得が減少したことから、「生活が苦しい」との声が増加した―。

 厚生労働省は7月2日に2018年の「国民生活基礎調査の概況」を公表し、こうした状況を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら)(前年の記事はこちら)。

世帯人員数は再び減少、高齢者のほぼ6割が「単独」「夫婦のみ」の世帯

 厚労省は毎年、▼保健▼医療▼福祉▼年金▼所得などの国民生活の基礎的事項を調べ、「国民生活基礎調査」として公表しています。3年に1度、大規模な調査が、中間年には簡易的な調査が行われており、2018年も2017年に続き「簡易的な調査」となりました(2019年に大規模な調査が行われる)。

 まず2018年6月1日現在の全国の世帯総数を見ると、5099万1000世帯で、前年に比べて56万6000世帯増加しました。平均世帯人員は2.44人で、前年から0.03人減少しています。
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 65歳以上の高齢者のいる世帯は2492万7000世帯で、前年に比べて114万世帯・4.8%増加しました。全世帯に占める割合は48.9%で、前年に比べて1.7ポイント増加しています。
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 65歳以上の高齢者のいる世帯について、その内訳を見てみると、最も多いのは「夫婦のみの世帯」で32.3%(前年比0.2ポイント減少)、次いで「単独世帯」27.4%(同1.0ポイント増加)、「親と未婚の子のみの世帯」20.5%(同0.6ポイント増加)、「三世代世帯」10.0%(同1.0ポイント減少)という状況です。ほぼ6割(59.6%)が「夫婦のみ」「単独」世帯となっています。
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 また、65歳以上の者のいる世帯のうち、高齢者世帯(65歳以上の者のみ、これに18歳未満の未婚の者が加わった世帯)は1406万3000世帯で、65歳以上の高齢者のいる世帯の56.4%を占めています(前年から1.2ポイント増加)。その内訳は、▼男性の単独世帯15.8%(同0.3ポイント増加)▼女性の単独世帯32.7%(同0.7ポイント増加)▼夫婦のみの世帯47.4%(同1.4ポイント減少)—などという状況です。女性では、男性に比べて「より高齢の単独世帯」が多くなっています。

高齢女性では年齢階級が上がるにつれ「単独世帯」が増加、80歳以上では3割を超える

 次に「65歳以上の高齢者が、どのような世帯で生活されているのか」を見てみましょう。

65歳以上の高齢者は3688万1000人で、「夫婦のみの世帯で暮らす」人が最も多く39.8%(同0.5ポイント減少)、次いで「子と同居」37.2%(同0.4ポイント減少)、「単独世帯」18.5%(同0.7ポイント増加)などと続いています。

 男女別に見ると、男性では単独世帯で暮らす人の割合が13.5%(同0.6ポイント増加)なのに対し、女性では22.6%(同0.7ポイント増加)を占めています。

さらに年齢階級別に単独世帯で暮らす人の割合を見ると、男性ではすべての階級で10%台前半ですが、女性では▼65-69歳:14.1%(同0.4ポイント減少)▼70-74歳:19.0%(同0.6ポイント増加)▼75-79歳:25.7%(同1.6ポイント増加)▼80歳以上:30.7%(同0.7ポイント増加)―という具合に、高齢になるにつれて単独世帯で暮らす人の割合が増加していきます。全般的には、男性よりも女性の方が長命なため、「夫婦のみ世帯」→「男性配偶者が死亡する」→「女性の単独世帯が増加する」という構図が考えられそうですが、さらに詳しい分析が待たれます。
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 単独世帯ではもちろん、高齢の夫婦のみの世帯では、世帯員が要介護状態となった場合に「在宅生活を継続するのか」「施設等に入所するのか」を緊急の課題として検討しなければいけません(医療でも同様の問題が生じる)。訪問・通所サービスを充実して、住み慣れた居宅での生活を可能な限り長くすることはもちろんですが、「介護保険制度を初め、居宅生活を継続するためのさまざまな支援」について丁寧に、かつ、分かりやすく説明し、高齢者自身が適切に選択できる環境の整備が重要となります。

児童のいる世帯、「子供1人世帯」と「子供が多数の世帯」とに二極化

 次に18歳未満の児童のいる世帯数を見ると、2018年6月1日には1126万7000世帯で、前年に比べて46万7000世帯・4.0%減少しました。

また世帯における児童数の構成を見ると、1人が45.4(同1.1ポイント増加)、2人が40.4(同1.7ポイント減少)、3人以上が14.2%(同0.6ポイント増加)です。「子供が1人の世帯」と「多くの子がいる世帯」との2極化が進んでいる可能性があります。
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「世帯の所得」の減少に伴い、「生活が苦しい」との意識は増加傾向

 最後に所得の状況を眺めてみましょう。2017年の1世帯当たりの平均所得金額は、「全世帯」では551万6000円(前年に比べて8万6000円・1.5%減少)、「高齢者世帯」では334万9000円(同16万3000円・5.1%増加)、「児童のいる世帯」では743万6000円(同3万8000円・0.5%増加)となりました。

 これに伴い、生活が「苦しい」「大変苦しい」と回答した世帯の割合は前年に比べて増加し、2018年6月時点では全体の57.7%(前年に比べて1.9ポイント増加、大変苦しい24.4%、やや苦しい33.3%)に減少しました(2014年:62.4% → 2015年:60.3% → 2016年:56.5% → 2017年:55.8% → 2018年:57.7%)。
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