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診療報酬改定セミナー2024 看護必要度シミュレーションリリース

介護医療院は2020年6月末で515施設・3万2634床に、医療療養からの転換が増加―厚労省

2020.8.24.(月)

今年(2020年)6月末時点で、515施設の介護医療院が開設され、総ベッド数は3万2634床となった。介護療養からの転換が最も多いが、医療療養からの転換も増えてきており「自治体の介護医療院への理解」が進んでいる可能性がある—。

最も施設数が多いのは福岡県の32施設で、介護医療院が未整備の自治体はなくなった―。

厚生労働省が8月17日に公表した「介護医療院の開設状況等(令和2年6月末)」から、こうした状況が明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

医療療養(病院)からの転換は97施設・3483床で、施設数ベースで第2位に

介護医療院は、▼医療▼介護▼住まい―の3機能を併せ持つ新たな介護保険施設として2017年の介護保険法改正で創設されました。2018年度の前回介護報酬改定で単位数や構造・設備基準等が設定され、2018年4月から各地で開設がスタートしています。

今年(2020年)6月末の状況を見ると、日本全国では515施設・3万2634床が開設されています。日本介護医療院協会の鈴木龍太会長は「2020年3月末と比較し、増加のペースが加速した」とコメントしています。

報酬区分別・転換元別・地域別の内訳を見ると、次のような状況です。

【報酬区分別】
▽機能強化型介護療養並みの人員配置等が求められる【介護医療院I型】(775-1332単位):346施設・2万3985床

▽転換型老健施設並みの人員配置等が求められる【介護医療院II型】(731-1221単位):164施設・8649床

▽I型とII型の両方を設置している施設(ただし同じフロアでの混在は不可):5施設(ベッド数は上記のそれぞれに含まれている)

【転換元別】
▽介護療養(病院)から:336施設・2万2748床

▽医療療養(2018年度診療報酬改定後の療養病棟入院基本料1・2)から:97施設・3483床

▽介護療養型老健施設(転換老健)から:86施設・4256床

▽介護療養(診療所)から:36施設・378床

▽医療療養(2018年度改定後の経過措置型)から:33施設・1399床

▽有床診療所の医療療養から:17施設・181床

▽新設:4施設・28床

▽介護療養・医療療養以外の病床から:3施設・49床

▽老人性認知症疾患療養病棟(精神病床)から:2施設・112床

2020年6月末の介護医療院の施設数(介護医療院の開設状況(2020年6月末)1 200817)

2020年6月末の介護医療院のベッド数(介護医療院の開設状況(2020年6月末)2 200817)



「医療療養(病院)からの転換」が、施設数ベースでは「転換老健からの転換」を抜き、第2位に浮上しています。

小規模な自治体(町村)では、「医療保険適用の医療療養」から「介護保険適用の介護医療院」への転換が生じた場合、介護費が急増し、介護保険料の高騰につながってしまうため、「転換に極めて後ろ向きである」と指摘されています。

この点、▼医療療養から介護医療院への転換も、介護療養・転換老健からの転換と同じく、「総量規制」(介護保険制度における地域の介護施設整備上限)の枠外となっていること▼医療・介護全体で考えれば「費用の適正化」につながること▼介護医療院は、「当該市町村の高齢患者のみを受け入れる施設」ではなく、「より広域から要介護高齢者を受け入れる」こと(施設整備=保険料の高騰ではない)―などが自治体にも理解されてきている(厚労省が全国で自治体関係者向けの勉強会やブロック会議を開催している)ことが、医療療養からの転換増につながっていると考えられます。

ただし、経過措置型の医療療養(20対1未満など)では、介護医療院への転換が進んでおらず、日本介護医療院協会の鈴木会長は「今後も増加の見込みはなく、経過措置からは介護医療院が選択肢として選ばれなかった」と分析しています。

介護医療院の開設ペースが上がってきてる(日本介護医療院協会の鈴木会長作成図表より)

施設数・ベッド数ともに最多は福岡、介護医療院は全都道府県で1施設以上開設

地域別の開設状況を見てみると、次のような状況です(施設数が同じ場合にはベッド数の多い順に記載)。

●32施設ある自治体
▽福岡県:2162床

●30施設ある自治体
▽熊本県:1383床

●27施設ある自治体
▽高知県:1614床

●24施設ある自治体
▽北海道:1436床
▽鹿児島県:1049床

●23施設ある自治体
▽山口県:1682床

●22施設ある自治体
▽富山県:1325床

●21施設ある自治体
▽広島県:1621床

●19施設ある自治体
▽静岡県:1763床

●16施設ある自治体
▽東京都:1496床
▽愛知県:1295床
▽兵庫県:987床

●15施設ある自治体
▽京都府:2146床
▽岡山県:544床
▽徳島県:517床

●14施設ある自治体
▽石川県:959床

●11施設ある自治体
▽新潟県:1043床
▽福島県:465床
▽大分県:382床

●10施設ある自治体
▽千葉県:834床

●9施設ある自治体
▽島根県:568床
▽群馬県:524床
▽長崎県:378床
▽愛媛県:366床
▽鳥取県:354床

●8施設ある自治体
▽埼玉県:673床

●7施設ある自治体
▽大阪府:516床
▽長野県:406床
▽佐賀県:271床
▽青森県:219床

●6施設ある自治体
▽神奈川県:403床
▽香川県:386床
▽和歌山県:289床
▽福井県:276床

●5施設ある自治体
▽奈良県:560床
▽岐阜県:212床

●4施設ある自治体
▽三重県:224床

●3施設ある自治体
▽滋賀県:280床
▽秋田県:255床
▽沖縄県:181床
▽宮城県:131床
▽山形県:59床

●2施設ある自治体
▽茨城県:87床
▽岩手県:74床
▽宮崎県:69床
▽栃木県:56床

●1施設ある自治体
▽山梨県:114床

介護医療院が未整備の自治体はなくなり、すべての都道府県で1施設以上の介護医療院が整備されている状況です。



日本介護医療院協会の鈴木会長は、▼もともと介護療養病床が多い地区で介護医療院への移行も多く進んでいる傾向がある▼都道府県で対応がまちまちで、申請から開設までに時間がかかっている例もあったようだが、ようやくスムーズな開設ができるようになったのではないか―とコメントしています。

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