介護医療院は2018年9月末で63施設・4583床、6月末から3倍に増加―厚労省
2018.11.2.(金)
今年(2018年)9月末時点で、63施設の介護医療院が開設され、総ベッド数は4583床となった。介護療養と介護療養型老健施設からの転換がほとんどである―。
こうした状況が、厚生労働省が11月1日に公表した「介護医療院の開設状況等(平成30年9月末)」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。
6月末時点と比べて、施設数は3倍(21施設→63施設、42施設増)に、ベッド数は3.3倍(1400床→4583床、3183床増)となり、着実に転換が進んでいます(関連記事はこちら)。
介護療養・転換老健からの転換が多く、医療療養からは一部にとどまる
介護医療院は、2017年の介護保険法改正で創設された▼医療▼介護▼住まい―の3機能を併せ持つ、新たな介護保険施設です。2018年度の介護報酬改定で単位数や構造・設備基準が設定され、この4月から各地で開設がスタートしました。
この9月末(2018年9月末)の状況を見ると、日本全国では63施設・4583床が開設されており、3か月前(2018年6月末)の3倍の施設数・ベッド数になりました。
もっとも、2017年の病床機能報告結果からは「一般病棟・療養病棟から、全国で約1万6000床が介護医療院への転換を希望している」(2023年度の意向)ことが分かっており、「転換意向はあるが準備中」であるのか、「転換意向がある、準備も完了しているが、自治体(市町村)の認可が下りない」のか、詳しく見ていく必要もありそうです(関連記事はこちら)。
報酬区分別・転換元別・地域別の内訳をみると、次のような状況です。
【報酬区分別】
▽機能強化型介護療養並みの人員配置等が求められる【介護医療院I型】(775-1332単位):35施設(2018年6月末に比べて22施設増)・2425床(同1743床増)
▽転換型老健施設並みの人員配置等が求められる【介護医療院II型】(731-1221単位):26施設(同18施設増)・2059床(同1440床増)
▽I型とII型の両方を設置している施設(ただし同じフロアでの混在は不可):2施設(ベッド数は上記に含まれている)
【転換元別】
▽介護療養(病院)から:32施設(2018年6月末に比べて22施設増)・2549床(同1928床増)
▽介護療養型老健施設(転換老健)から:20施設(同13施設増)・1382床(同753床増)
▽医療療養(2018年度診療報酬改定後の療養病棟入院基本料1・2)から:12施設(同8施設増)・383床(同286床増)
▽医療療養(2018年度改定後の経過措置型)から:5施設(同4施設増)・235床(同216床増)
▽有床診療所から:2施設(同増減なし)・24床(同増減なし)
▽介護療養(診療所)から:1施設(同増減なし)・10床(同増減なし)
医療療養からの転換が、合計17施設・618床あります。介護療養はもちろん、医療療養から介護医療院への転換は「総量規制」(介護保険制度における地域の介護施設整備上限)の枠外となっていますが、小規模な自治体(町村)では、「医療保険適用の医療療養」から「介護保険適用の介護医療院」へ転換が生じた場合、介護費が急増し、保険料が高騰してしまうため「転換に極めて後ろ向きである」と指摘されます(下図表のように、医療療養から介護医療院への転換に一定の制限を掛けている自治体もある)。現在、厚生労働省で対応が練られており、今後の動きに注目する必要があります(関連記事はこちらとこちら)。
施設数最多は北海道・山口県の6施設、ベッド数最多は広島県の492床
【地域別】
●6施設ある自治体(2道県)(ベッド数の多い順に記載、以下同)
▽北海道:6施設(同4施設増)・440床(同252床増)
▽山口県:6施設(同4施設増)・369床(同294床増)
●5施設ある自治体(1県)
▽岡山県:5施設(同5施設増)・270床(同270床増)
●4施設ある自治体(1県)
▽富山県:4施設(同3施設増)・317床(同147床増)
●3施設ある自治体(6県)
▽広島県:3施設(同2施設増)・492床(同450床増)
▽静岡県:3施設(同2施設増)・282床(同224床増)
▽埼玉県:3施設(同2施設増)・232床(同134床増)
▽長崎県:3施設(同増減なし)・231床(同増減なし)
▽愛知県:3施設(同2施設増)・219床(同177床増)
▽徳島県:3施設(同1施設増)・109床(同58床増)
●2施設ある自治体(6県)
▽群馬県:2施設(同1施設増)・217床(同150床増)
▽石川県:2施設(同1施設増)・203床(同60床増)
▽香川県:2施設(同増減なし)・130床(同増減なし)
▽大分県:2施設(同2施設増)・104床(同104床増)
▽鹿児島県:2施設(同2施設増)・88床(同88床増)
▽佐賀県:2施設(同1施設増)・74床(同52床増)
●1施設ある自治体(12府県)
▽奈良県:1施設(同1施設増)・238床(同238床増)
▽沖縄県:1施設(同1施設増)・100床(同100床増)
▽福井県:1施設(同1施設増)・80床(同80床増)
▽茨城県:1施設(同1施設増)・60床(同60床増)
▽長野県:1施設(同1施設増)・58床(同58床増)
▽福岡県:1施設(同1施設増)・58床(同58床増)
▽島根県:1施設(同増減なし)・52床(同増減なし)
▽秋田県:1施設(同1施設増)・42床(同42床増)
▽大阪府:1施設(同1施設増)・39床(同39床増)
▽岐阜県:1施設(同1施設増)・36床(同36床増)
▽愛媛県:1施設(同増減なし)・31床(同増減なし)
▽青森県:1施設(同1施設増)・12床(同12床増)
●ゼロ施設の自治体(19都府県)
▽岩手県▽宮城県▽山形県▽福島県▽栃木県▽千葉県▽東京都▽神奈川県▽新潟県▽山梨県▽三重県▽滋賀県▽京都府▽▽兵庫県▽和歌山県▽鳥取県▽高知県▽熊本県▽宮崎県—
最も施設数が多いのは北海道と山口県の6施設、最もベッド数が多いのは広島県の492床、2018年6月末に比べて最も施設数が増加したのは岡山県の5施設増、同じく最もベッド数が増加したのは広島県の450床増、という状況です。
【関連記事】
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