介護医療院、2018年6月末時点で21施設・1400床に―厚労省
2018.8.6.(月)
今年(2018年)6月末時点で、21施設の介護医療院が開設され、総ベッド数は1400床となった。介護療養と介護療養型老健施設からの転換がほとんどである―。
こうした状況が、厚生労働省が8月2日に公表した「介護医療院の開設状況等(平成30年6月末)」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。
介護療養・転換から老健から「介護医療院」への転換がほとんど
介護医療院は、2017年の介護保険法改正で創設された▼医療▼介護▼住まい―の3機能を併せ持つ、新たな介護保険施設です。2018年度の介護報酬改定で単位数が設定され、この4月から各地で徐々に開設が進んでいます。
この6月末(2018年6月末)の状況を見ると、日本全国では21施設・1400床が開設されています。報酬区分別・転換元別・地域別の内訳をみると、次のような状況です。
【報酬区分別】
▽機能強化型介護療養並みの人員配置等が求められる【介護医療院I型】(775-1332単位):781床
▽転換型老健施設並みの人員配置等が求められる【介護医療院II型】(731-1221単位):619床
※同じ施設の中でI型とII型の両方を設置することが可能である(ただし同じフロアでの混在は不可)
【転換元別】
▽介護療養型老健施設(転換老健)から:629床
▽介護療養(病院)から:621床
▽医療療養(2018年度改定後の療養病棟入院基本料1・2)から:97床
▽有床診療所から:24床
▽医療療養(2018年度改定後の経過措置型)から:19床
▽介護療養(診療所)から:10床
【地域別】
▽長崎県:231床
▽北海道:188床
▽富山県:170床
▽石川県:143床
▽香川県:130床
▽埼玉県:98床
▽山口県:75床
▽群馬県:67床
▽静岡県:58床
▽島根県:52床
▽徳島県:51床
▽愛知県:42床
▽広島県:42床
▽愛媛県:31床
▽佐賀県:22床
このうち【転換元別】に見ると、医療療養からの転換が一定程度あります。しかし、小規模な自治体(町村)では、「医療保険適用の医療療養」から「介護保険適用の介護医療院」へ転換が生じた場合、介護費が急増し、保険料が高騰してしまうため「転換に極めて後ろ向きである」と指摘されます(下図表のように、医療療養から介護医療院への転換に一定の制限を掛けている自治体もある)。この点に関連して、日本慢性期医療協会の武久洋三会長は「医療療養から介護医療院への転換は重要だが、自治体の苦労も分かる。介護保険の実務を市町村に残したまま、財政を都道府県単位とすることで、こうした問題を解決できるのではないか」と提案しています。ただし厚労省は「介護保険の地域保険としての趣旨や制度の建付け(地域住民自らが、望ましい介護サービス量と費用負担を考える)を踏まえ、慎重に検討する必要がる」と述べるにとどめており、今後の動向に注目する必要があります(関連記事はこちらとこちら)。
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