【18年度介護報酬改定答申・速報2】看護体制強化加算に上位区分―介護給付費分科会
2018.1.26.(金)
お伝えしているとおり、2018年度介護報酬改定の全容が明らかになりました(関連記事はこちら)。本稿では、訪問看護や訪問介護など訪問系サービスの改定内容をお伝えします。
目次
要支援者への訪問看護、基本報酬引き下げ
訪問看護の基本報酬は、要支援者に実施する場合(介護予防訪問看護)と要介護者に実施する場合(訪問看護)とで単位数がそれぞれ設定されることになります。
【訪問看護】(要介護者が対象)
○訪問看護ステーションの場合
▼「所要時間20分未満」311単位/回(同1単位・0.3%増)▼「所要時間30分未満」467単位/回(同4単位・0.9%増)▼「所要時間30分以上1時間未満」816単位/回(同2単位・0.2%増)▼「所要時間1時間以上1時間30分未満」1118単位/回(同1単位・0.1%増)
○病院または診療所の場合
▼「所要時間20分未満」263単位/回(同1単位・0.4%増)▼「所要時間30分未満」396単位/回(同4単位・1.0%増)▼「所要時間30分以上1時間未満」569単位/回(同2単位・0.4%増)▼「所要時間1時間以上1時間30分未満」836単位/回(同1単位・0.1%増)
【介護予防訪問看護】
○訪問看護ステーションの場合
▼「所要時間20分未満」300単位/回(現在と比べて10単位・3.2%減)▼「所要時間30分未満」448単位/回(同15単位・3.2%減)▼「所要時間30分以上1時間未満」787単位/回(同27単位・3.3%減)▼「所要時間1時間以上1時間30分未満」1080単位/回(同37単位・3.3%減)
○病院または診療所の場合
▼「所要時間20分未満」253単位/回(同9単位・3.4%減)▼「所要時間30分未満」379単位/回(同13単位・3.3%減)▼「所要時間30分以上1時間未満」548単位/回(同19単位・3.4%減)▼「所要時間1時間以上1時間30分未満」807単位/回(同28単位・3.4%減)
要支援者に対する訪問看護で、「排泄の援助」や「認知症・精神障害に対するケア」などの実施割合が低いことを踏まえた報酬設定となっており(関連記事はこちら)、利用者の多くを要支援者が占める事業所では、減収が避けられません。要介護者である利用者の確保が求められるといえます。
理学療法士等の訪問は、要介護者が対象でも報酬減
さらに、訪問看護ステーションにおける「理学療法士等による訪問の場合」の基本報酬が引き下げられ、訪問介護であれば「296単位/回」(同6単位・2.0%減)、介護予防訪問看護であれば「286単位/回」(同16単位・5.3%減)となり、理学療法士等による訪問看護の実施件数が多い事業所は大きな打撃を受けます。なお、理学療法士のみでの訪問看護については、訪問看護計画の策定にあたって「看護師のアセスメントがなく、連携もしてない」不適切なケースもあることが分かっています(関連記事はこちら)。
ターミナルケア加算算定者が年5名以上の事業所、看護体制強化加算が倍に
高い医療ニーズを持つ利用者に対応する事業所の評価【看護体制強化加算】には上位区分が創設され、次の2区分となります。
▼看護体制強化加算(I)(月600単位):▽緊急時訪問看護加算(計画にない緊急訪問時に算定)を算定した利用者が5割以上▽特別管理加算(「真皮を越える褥瘡」などで特別な管理を要する利用者に算定)を算定した利用者が3割以上▽ターミナルケア加算(利用者が在宅で死亡した場合などに算定)の算定者が年5名以上
▼看護体制強化加算(II)(月300単位):▽緊急時訪問看護加算を算定した利用者が5割以上▽特別管理加算を算定した利用者が3割以上▽ターミナルケア加算の算定者が年1名以上
なお、「緊急時訪問看護加算を算定した利用者の割合」と「特別管理加算を算定した利用者」は現在、3か月間の実績で算出していますが、暦月ごとの実績変動の影響を抑えるため、6か月間の実績に変わります。
利用者の自立促す訪問介護は基本報酬アップ
訪問介護の基本報酬は、利用者の自立を促す「身体介護中心型」では引き上げられ、利用者の家事を代行するような「生活援助中心型」では引き下げられます。
【身体介護中心型】
▼「所要時間20分未満」165単位/回(現在と比べて変化なし)▼「所要時間20分以上30分未満」248単位/回(同3単位・1.2%増)▼「所要時間30分以上1時間未満」394単位/回(同6単位・1.5%増)▼「所要時間1時間以上1時間30分未満」575単位/回(同11単位・2.0%増)▼「所要時間が1時間から30増すごとの加算」83単位(同3単位・3.8%増)
【生活援助中心型】
▼「所要時間20分以上45分未満」181単位/回(同2単位・1.1%減)▼「所要時間45分以上」223単位/回(同2単位・0.9%減)
なお厚生労働省は、介護従事者を増やすために、「生活援助中心型」の訪問介護に特化した研修過程を今年(2018年)4月に創設する方針です(関連記事はこちら)。この研修では、短い研修時間で「『生活援助中心型』の訪問介護に必要な知識」などだけを習得させます。事業所にとっては、▼この研修修了者を雇用して「生活援助中心型」訪問介護を担わせる▼介護福祉士等は「身体介護中心型」訪問介護に特化させる―という役割分担を進めることが、増収・増益につながると言えます。
集合住宅への訪問、15%減算される場合も
集合住宅居住者に対する訪問系サービスへの減算(集合住宅減算)が厳格化され、「事業所と同一敷地内または隣接敷地内に所在し、50人以上の利用者が居住する建物」に住む利用者への訪問では、所定単位数が15%(現在は10%)減算されます。移動コストが小さくて済むことを踏まえた減算措置です。
ほか、利用者が▼事業所と同一敷地内または隣接敷地内に所在する▼20人以上の利用者が居住する―のいずれかに当てはまる建物に住んでいる場合は、所定単位数が10%減算されます。これらのケースでは現在も、「利用者の住居が有料老人ホームなどの場合」に限って10%減算が適用されますが、改定後は、マンションのような一般住宅に住む利用者であっても減算される点に留意が必要です。
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