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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

医療機関併設型の小規模な介護医療院、人員基準を緩く―介護給付費分科会 第157回(1)

2018.1.18.(木)

 今年(2018年)4月に創設する介護医療院の指定基準の人員基準について、医療機関併設型であれば人員基準を緩める。入所定員数が19人以下であれば、さらに基準を緩和する―。

 社会保障審議会・介護給付費分科会は1月17日、来年度(2018年度)の介護報酬改定に向けて、こうした運営基準改正案を了承しました。介護サービス事業所の指定基準(運営基準)は、厚生労働省令を踏まえて、指定権者である自治体が条例などで定めています。条例改正が今年(2018年)4月に間に合うように、厚労省は近く省令を改正します。

1月17日に開催された、「第157回 社会保障審議会 介護給付費分科会」

1月17日に開催された、「第157回 社会保障審議会 介護給付費分科会」

単位数などの具体案は次回会合で明らかに

 介護報酬は3年に一度改定され、見直し論議は社会保障審議会・介護給付費分科会で行われます。分科会では、各介護サービスについて、▽報酬(単位数)▽算定要件(報酬を得るためにどのような行為を行うのか)▽運営基準(報酬を得るために、どのような人員配置や設備整備が必要なのか)—の3項目を議論し、見直し内容を固めます。このうち運営基準は自治体(都道府県や市町村)の条例で定められることから、4月からの新報酬に間に合うように条例改正をする必要があり、報酬・算定要件よりも先に「見直し案を確定する」必要があるのです。

 運営基準改正の大まかな方向性は、昨年(2017年)12月1日に介護給付費分科会で取りまとめられ、同日から12月30日までパブリックコメント(意見募集)に掛けられていました(関連記事はこちら)。260件程度の意見が集まりましたが、厚労省は「方向性を修正すべきものはなかった」と判断。1月17日に示された運営基準改正案(介護医療院は、運営基準の新設案)は、介護給付費分科会が取りまとめた方向性に沿った内容になっています。

 報酬(単位数)や算定要件については、介護給付費分科会が昨年(2017年)12月18日に審議報告を取りまとめており、厚労省が次回会合で具体案を示します(関連記事はこちら)。

併設型小規模介護医療院は医師や薬剤師の配置不要

 1月17日に了承された運営基準改正案は、おおむね昨年(2017年)12月にメディ・ウォッチがお伝えしたとおりですが、より詳細な基準が明らかになっています。本稿では、2018年度の次期介護報酬改定で新設される介護医療院の基準を詳しくお伝えします。

介護医療院の運営基準は、昨年(2017年)11月22日の介護給付費分科会で示された「イメージ案」のとおりに設定される。ただし「併設型小規模介護医療院」に限った基準緩和などは1月17日に明らかになった

介護医療院の運営基準は、昨年(2017年)11月22日の介護給付費分科会で示された「イメージ案」のとおりに設定される。ただし「併設型小規模介護医療院」に限った基準緩和などは1月17日に明らかになった

 介護医療院の役割は、長期療養が必要な要介護者を入所させ、▼療養上の管理▼看護▼医学的管理の下での介護▼機能訓練―などを提供することと規定されます。介護医療院のベッドは「療養床」と呼称されます。重篤な身体疾患を有する人や、身体合併症を有する認知症高齢者らを受け入れる「I型療養床」と、その他の「II型療養床」に分類され、1施設の介護医療院が、I型療養床とII型療養床の両方を持つこともできます。介護医療院に配置すべき人員の基準は、次のように規定されます。

▼医師:常勤換算で、I型では入所者48人に対して1人以上(最低3人)、II型では入所者100人に対して1人以上(最低1人)
▼薬剤師:常勤換算で、I型では入所者150人に対して1人以上、II型では入所者300人に対して1人以上
▼看護職員:常勤換算で、I型・II型にかかわらず、入所者6人に対して1人以上
▼介護職員:常勤換算で、I型では入所者5人に対して1人以上、II型では入所者6人に対して1人以上
▼理学療法士、作業療法士または言語聴覚士:適当数
▼栄養士:入所定員が100人以上であれば1人以上
▼介護支援専門員:I型・II型にかかわらず、入所者100人に対して1人以上(最低1人)
▼診療放射線技師:適当数
▼調理員、事務員その他の従事者:適当数

 ただし介護医療院が病院・診療所に併設されている場合、医師数については「最低3人」という規定が免除されます。また、「病院・診療所に併設されている」「入所定員が19人以下」の両方を満たす介護医療院は、「併設型小規模介護医療院」と位置付けられ、▼併設する病院の医師や薬剤師、理学療法士らが入所者に対応できる場合は、介護医療院には配置しなくてもよい▼介護職員は、I型療養病床であっても「入所者6人に対して1人以上」でよい―のような緩い基準が適用されます。

近隣医療機関との連携を条件に検査設備など免除

 構造・設備に目を移すと、介護医療院では、▼療養室▼診察室▼処置室▼機能訓練室▼談話室▼食堂▼浴室▼レクリエーションルーム▼洗面所▼便所▼サービス・ステーション▼調理室▼洗濯室または洗濯場▼汚物処理室―を設置することが求められます

 療養室については、「1室4人以下・1人当たり8平米以上」「地階に設けない」ことが必要ですが、療養病床から介護医療院に転換する場合に限って、全面的な改築などまでの間、1人当たり床面積が「6.4平米以上」に緩和されます。

 また、診察室には臨床検査や調剤のための設備、処置室には画像診断のためのエックス線装置を備えることが求められます。ただし、病院の現行規定と同様に、検体検査業務の外部委託が認められます。また、転換老健から介護医療院に転換する場合には、▼近隣の医療機関で臨床検査やエックス線撮影が行えるのであれば、臨床検査のための設備はなくてもよい(エックス線装置も同様)▼近隣の薬局で調剤を行えるのであれば、調剤のための設備はなくてもよい―ことになりました

 ほか、▼廊下幅1.8メートル以上(中廊下は2.7メートル以上)である▼療養室などが2階以上にある場合、屋内の直通階段とエレベーターを1つずつ以上設ける―といった基準もありますが、いずれも療養病床や転換老健から転換するケースでは緩和され、▼廊下幅1.2メートル以上(中廊下は1.6メートル以上)▼屋内の直通階段を2つ以上設ける(各階の床面積がそれぞれ50平米以下であれば1つ以上)―が基準となります。

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