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2018年度改定率、診療報酬本体プラス0.55%、介護報酬プラス0.54%で決着

2017.12.18.(月)

 来年度(2018年度)の診療報酬改定・介護報酬改定における改定率が12月18日、加藤勝信厚生労働大臣と麻生太郎財務大臣の折衝で正式に決定しました。診療報酬改定の改定率は、薬価・材料がマイナス1.74%、本体がプラス0.55%で、ネットではマイナス1.19%となりました。一方、介護報酬の改定率はプラス0.54%で決着しました。

 来年度(2018年度)は、政府の財政健全化に向けた集中改革期間(2016-18年度)の最終年度に当たり、社会保障関係費の伸びを5000億円までに抑える目安が設定されています。一方、高齢化の進展に伴って、医療・介護ニーズが増えることなどから、8月の概算要求時点では前年度比6300億円増が見込まれ、その差1300億円の圧縮が求められていました。薬価・材料価格の引き下げで国庫負担を1900億円程度削減できることが判明し、社会保障関係費の伸びを約5000億円に抑えつつ、診療報酬本体と介護報酬の改定率がプラスとなりました。

12月18日、麻生太郎財務大臣との折衝後に記者会見した加藤勝信厚生労働大臣

12月18日、麻生太郎財務大臣との折衝後に記者会見した加藤勝信厚生労働大臣

改定率の外枠で「大型門前薬局の評価適正化」、調剤報酬は実質マイナス改定

 診療報酬本体の改定率プラス0.55%は、国費ベースに換算すると600億円分の増加に当たります。各科の改定率は、医科がプラス0.63%、歯科がプラス0.69%、調剤がプラス0.19%で、従前からの「医科:歯科:調剤の比率=1:1.1:0.3」を維持しています。ただし、診療報酬改定率の外枠で、「いわゆる大型門前薬局に対する評価の適正化」(国費ベースで60億円程度の削減)が行われるため、2016年度の前回改定と同様に、調剤報酬は実質マイナス改定になるとみられます(関連記事はこちら)。

 一方、薬価の改定率はマイナス1.65%(国費ベースで約1800億円削減)で、内訳は、▼市場実勢価格との乖離を埋めるといった通常の改定分でマイナス1.36%(同約1500億円削減)▼「薬価制度の抜本改革」でマイナス0.29%(同約300億円削減)―です。

 このうち「薬価制度の抜本改革」の関連では、▽【新薬創出・適応外薬解消等促進加算】について「平均乖離率要件」を撤廃し、「医薬品そのものの革新性・有用性に着目して対象品目を判断する仕組み」へと抜本的に見直す▽後発品の上市後10年経過した長期収載品の薬価を、後発品の薬価を基準として段階的に引き下げる▽費用対効果評価の試行的導入の対象品目の価格を調整する―ことによって医療費を圧縮します。

 材料価格の改定率は、マイナス0.09%(国費ベースで約100億円削減)となりました。

質高い介護サービスなどの評価にプラス1%分の財源投入

 来年度(2018年度)の介護報酬改定の改定率はプラス0.54%で決着しました。厚生労働省は、「質の高いサービス」や「自立支援・重度化防止に資するサービス」を評価するために、プラス1%相当の財源を充てる一方で、マイナス0.5%相当の「給付適正化」(通所介護の、事業所規模やサービス提供時間に応じた基本報酬の細分化など)を行うと説明しています(「質の高いサービス」等を評価するためのプラス1%程度と、「給付適正化」によるマイナス0.5%程度で、差し引きプラス0.54%)。

 麻生財務大臣との折衝後、厚労省内で記者会見した加藤厚労大臣は、医療機関・介護サービス事業所ともに、人件費の増加などで経営が苦しい状況にあることから、診療報酬・介護報酬両方のプラス改定が必要だと指摘。被保険者の保険料負担の過度な増加を生まないように配慮しながら、それぞれの改定率を決めたと説明しました。また、「2025年までに、団塊世代が75歳を超えていく。それに沿った提供体制にしていかなければいけない。それに必要な予算を確保した」と強調しました。

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