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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

介護医療院は2019年3月末で150施設・1万28床、大型施設の転換も―厚労省

2019.5.7.(火)

 今年(2019年)3月末時点で、150施設の介護医療院が開設され、総ベッド数は1万28床となった。京都府や千葉県では、数百床という大型施設が介護医療院に転換している点が注目できる―。

 こうした状況が、厚生労働省が4月26日に公表した「介護医療院の開設状況等(平成31年3月末)」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

 2018年6月末時点と比べて、施設数は7倍強(21施設→150施設、129施設増)に、ベッド数も7倍強(1400床→1万28床、8628床増)となりました(関連記事はこちらこちら)。

医療療養からの転換は41施設・1555床

 介護医療院は、2017年の介護保険法改正で創設された▼医療▼介護▼住まい―の3機能を併せ持つ、新たな介護保険施設です。2018年度の介護報酬改定で単位数や構造・設備基準が設定され、2018年4月から各地で開設がスタートしています。

 開設スタートから丸1年が経過した、2019年3月末の状況を見ると、日本全国では150施設・1万28床が開設されており、施設数・ベッド数ともに2018年6月末から7倍強となりました。

 報酬区分別・転換元別・地域別の内訳をみると、次のような状況です。

【報酬区分別】
▽機能強化型介護療養並みの人員配置等が求められる【介護医療院I型】(775-1332単位):92施設(2018年6月末に比べて79施設増)・6858床(同6077床増)

▽転換型老健施設並みの人員配置等が求められる【介護医療院II型】(731-1221単位):55施設(同47施設増)・3170床(同2551床増)

▽I型とII型の両方を設置している施設(ただし同じフロアでの混在は不可):3施設(ベッド数は上記に含まれている)

 
【転換元別】
▽介護療養(病院)から:91施設(2018年6月末に比べて81施設増)・6491床(同5870床増)

▽介護療養型老健施設(転換老健)から:31施設(同24施設増)・1833床(同1204床増)

▽医療療養(2018年度診療報酬改定後の療養病棟入院基本料1・2)から:26施設(同22施設増)・832床(同735床増)

▽医療療養(2018年度改定後の経過措置型)から:15施設(同14施設増)・723床(同704床増)

▽介護療養(診療所)から:6施設(同5施設増)・111床(同101床増)

▽有床診療所から:4施設(同2施設増)・34床(同10床増)

▽介護療養・医療療養以外の病床から:1施設(同1施設増)・3床(同3床増)

▽新設:1施設(同1施設増)・1床(同1床増)

 
 医療療養からの転換は、合計41施設・1555床となっています。介護療養はもちろん、医療療養から介護医療院への転換は「総量規制」(介護保険制度における地域の介護施設整備上限)の枠外となっていますが、小規模な自治体(町村)では、「医療保険適用の医療療養」から「介護保険適用の介護医療院」へ転換が生じた場合、介護費が急増し、介護保険料の高騰につながるため「転換に極めて後ろ向きである」と指摘されます。

ただし、医療・介護全体でみれば「費用の適正化」につながることとなるため、厚生労働省は全国で自治体関係者を対象とした会議・勉強会を開催しており、今後、理解が進み、医療療養からの転換が進むことに期待が集まります(関連記事はこちら)。
介護医療院開設状況(2019年3月末)1 190426

介護医療院開設状況(2019年3月末)2 190426
 

施設数最多は北海道、ベッド数最多は福岡県、京都・千葉で大型施設の転換が目立つ

地域別の開設状況を見てみると、次のような状況です。

●15施設ある自治体(1道)(施設数が同じ場合、ベッド数の多い順に記載、以下同)
▽北海道:15施設(2018年6月末に比べて13施設増)・761床(同573床増)

 
●10施設ある自治体(1県)
▽山口県:10施設(同8施設増)・622床(同547床増)

 
●9施設ある自治体(2県)
▽富山県:9施設(同8施設増)・598床(同428床増)
▽岡山県:9施設(同8施設増)・361床(同361床増)

 
●8施設ある自治体(1県)
▽福岡県:8施設(同8施設増)・931床(同931施設増)

 
●7施設ある自治体(2県)
▽静岡県:7施設(同6施設増)・552床(同494床増)
▽鹿児島県:7施設(同7施設増)・245床(同245床増)

 
●6施設ある自治体(2県)
▽愛知県:6施設(同5施設増)・307床(同265床増)
▽熊本県:6施設(同6施設増)・215床(同215床増)

 
●5施設ある自治体(1県)
▽徳島県:5施設(同3施設増)・175床(同124床増)

 
●4施設ある自治体(6県)
▽広島県:4施設(同3施設増)・532床(同490床増)
▽群馬県:4施設(同3施設増)・312床(同245床増)
▽兵庫県:4施設(同4施設増)・306床(同306床増)
▽石川県:4施設(同3施設増)・299床(同156床増)
▽高知県:4施設(同4施設増)・240床(同240床増)
▽大分県:4施設(同4施設増)・211床(同211床増)

 
●3施設ある自治体(6県)
▽奈良県:3施設(同3施設増)・444床(同444床増)
▽埼玉県:3施設(同2施設増)・232床(同134床増、ただし2018年9月末から増加せず)
▽長崎県:3施設(同増減なし)・231床(同増減なし、2018年6月末から増加せず)
▽長野県:3施設(同3施設増)・215床(同215床増)
▽島根県:3施設(同2施設増)・148床(同96床増)
▽佐賀県:3施設(同2施設増)・102床(同80床増)

 
●2施設ある自治体(1府6県)
▽神奈川県:2施設(同2施設増)・130床(同130床増)
▽香川県:2施設(同増減なし)・130床(同増減なし、2018年6月末から増加せず)
▽愛媛県:1施設(同1施設増)・125床(同94床増)
▽大阪府:2施設(同2施設増)・97床(同97床増)
▽鳥取県:2施設(同2施設増)・86床(同86床増)
▽福島県:2施設(同2施設増)・35床(同35床増)
▽青森県:2施設(同2施設増)・30床(同30床増)

 
●1施設ある自治体(1都1府10県)
▽京都府:1施設(同1施設増)・466床(同466床増)
▽千葉県:1施設(同1施設増)・320床(同320床増)
▽山梨県:1施設(同1施設増)・114床(同114床増)
▽沖縄県:1施設(同1施設増)・100床(同100床増、2018年6月末から増加せず)
▽福井県:1施設(同1施設増)・80床(同80床増、2018年6月末から増加せず)
▽茨城県:1施設(同1施設増)・60床(同60床増、2018年6月末から増加せず)
▽三重県:1施設(同1施設増)・48床(同48床増)
▽秋田県:1施設(同1施設増)・42床(同42床増、2018年6月末から増加せず)
▽栃木県:1施設(同1施設増)・37床(同37床増)
▽岐阜県:1施設(同1施設増)・36床(同36床増、2018年6月末から増加せず)
▽東京都:1施設(同1施設増)・35床(同35床増)
▽山形県:1施設(同1施設増)・18床(同18床増)

 
●ゼロ施設の自治体(6県)
▽岩手県▽宮城県▽新潟県▽滋賀県▽和歌山▽宮崎県—
 
介護医療院開設状況(2019年3月末)3 190426

介護医療院開設状況(2019年3月末)4 190426
 
 最も施設数が多いのは北海道の15施設、最もベッド数が多いのは福岡県の931床となっています。また、京都府や千葉県では大型施設が介護医療院に転換していることが分かります。

 
 なお、2018年度の介護報酬改定では、介護療養病床や25対1医療療養などから介護医療院への転換を促すために【移行定着支援加算】(1日につき93単位、1年間のみ算定可能)を設けています(関連記事はこちら)。この加算の算定期限は「2021年3月末」までとされており、「最初の転換から1年間を限度」として算定できることから、丸々1年間分を算定するためには「2020年4月1日まで」に転換を行わなければなりません。転換事務にかかる期間を考慮すれば、今秋(2019年10月頃)には、介護医療院への転換状況の全体像が明らかになると思われます(関連記事はこちら)。
2018年度介護報酬改定(介護医療院)2

 
 
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