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「かかりつけ医」を持つ人は、持たない人に比べて「生活満足度」が高い—内閣府・一橋大

2023.2.9.(木)

「かかりつけ医を持つ」人では、そうでない人に比べて主観的な生活満足度が高い—。

かかりつけ医を含めた医療提供体制については、「傷病の治療」という面にとどまらず、「医療提供体制が社会全体にどのような影響・効果を及ぼしているのか」も評価していく必要がある—。

内閣府が2月7日に公表した研究論文「かかりつけ医と生活満足度の関係について」から、こうした状況が明らかになりました(内閣府のサイトはこちら)。

10代から70代、5234名を対象にした調査結果をもとに分析

「かかりつけ医機能」に関する議論が熱を帯びています。厚生労働省の社会保障審議会・医療部会では「かかりつけ医機能を発揮するための制度整備」に関する考え方をまとめ(関連記事はこちら)、これを受け厚労省は国会に医療法改正案を上程する考えです。

また、政府の全世代型社会保障構築会議でも「かかりつけ医機能の制度化」に関する考え方をまとめています(関連記事はこちら)。

そうした中、内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官の桑原進氏、一橋大学経済研究所教 授の小塩隆士氏(中央社会保険医療協議会会長)、内閣府経済社会総合研究所上席主任研究官の出口恭子氏、同研究官の村舘靖之氏の4氏は「かかりつけ医の有無」と「生活満足度」との関係を調査・分析。今般、研究成果を内閣のESRI Discussion Paperとして公表しました。

研究では、2021年11月に一橋大学が行ったWEB調査(かかりつけ医の有無)結果(10代から70代の5234名が回答)をもとに、「かかりつけ医のいる者」と「いない者」とで、生活満足度(「生活に満足しているか」を回答者自らがゼロ点から10点の間で評価)がどのように異なるかを分析。そこからは、次のように「かかりつけ医がいる者の方が、そうでない者よりも生活満足度が高い」状況が明らかになりました。

▼かかりつけ医がいる者(1776名、全体の33.9%)の生活満足度は平均で6.06
▼「かかりつけ医」と言われて思い浮かぶ医師がいる者(922名、同17.6%)では5.90
▼かかりつけがいない者(2244名、同42.9%)では5.30
▼わからない者(292名、同5.6%)では5.36



では、「かかりつけ医がいると、生活満足度が高くなる」背景には、どのような要因があるのでしょうか。

この点について本研究では、生活満足度を▼年齢▼性別▼世帯年収▼世帯資産▼正規雇用の有無▼主観的健康▼ストレス▼学歴▼友人等との「交頻度」▼家族・親族以外の「頼りになる人の数」▼交友関係やコミュニティなど社会とのつながりの満足度▼政治・行政・裁判所への信頼性の満足度▼世帯に含まれる祖父・父母・配偶者それぞれの有無—の要素に分解し、それぞれが「かかりつけ医の有無」とどう関係しているかを分析。そこから次のような状況が浮かび上がってきています。

【かかりつけ医の有無との関係が薄い要素】(オッズ比が1以下)
▼正規雇用
▼主観的健康感
▼ストレス
▼困ったときに頼りになる人が全くいない
▼単身

【かかりつけ医の有無との関係が濃い要素】(オッズ比が1以上)
▼年齢
▼友人との交流頻度
▼頼りになる人の数
▼社会との関わり満足度
▼政府等の信頼の満足度
▼同居する祖父母、父母、配偶者がいる



ただし、因果関係までは明らかになっていません。例えば「かかりつけ医がいると、社会とのかかわりが強くなり、満足度が高まる」のか、それとも「社会との関わりが強い人は、医師との意思疎通も得手であり『かかりつけ医』が見つかりやすい」のか、などは分からず、さらなる研究を待つ必要があります。



研究者4氏は「かかりつけ医の存在が、住民・国民の生活満足度と強く関係している」ことを強調したうえで、かかりつけ医機能を含めた医療提供体制について、▼「傷病の治療」にとどまらず、「医療提供体制の在り方が社会全般に与える影響」についても評価する必要がある▼その評価の際には生活満足度などの指標も重要な情報となる—との考えを示しています。



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