医療機関自ら検体検査を行う場合、医師・臨床検査技師を精度確保責任者として配置せよ―社保審・医療部会(2)
2018.6.8.(金)
医療機関自らが検体検査を行う場合、その精度を確保するために医師・臨床検査技師等を「精度確保責任者」として配置し、内部精度管理の実施、外部精度管理調査の受検、適切な研修の実施などに努めることを求める。また遺伝関連検査等を行う場合には、医療機関はもちろん検査業者等においても、遺伝子関連業務の経験を持つ医師・臨床検査技師等を「遺伝子関連検査等の責任者」として配置することなどを求める―。
6月6日に開催された社会保障審議会・医療部会では、このような「医療法等の⼀部を改正する法律の⼀部の施⾏に伴う関係省令の整備に関する省令案」の概要が厚生労働省から報告されました(関連記事はこちら)。
遺伝子関連検査等を実施する場合には、業務経験を持つ医師等を責任者として配置
検体検査について、現在、▼医療機関内での検体検査について品質・精度管理規定がない▼検体検査の分類が法律事項で見直しにくく、技術進歩に追いつかない―などといった課題があります。
そこで、こうした課題を解決するために、2017年の医療法等改正において▼医療機関内での検体検査について品質・精度管理規定を設ける▼検体検査の分類を省令事項とし、遺伝子検査などを追加する―との見直しが行われました。
厚労省は「検体検査の精度管理等に関する検討会」を設置し、具体的な精度管理基準などを議論してきました。4月11日に開催された医療部会では、検討会の取りまとめ案を受け、見直し内容を概ね了承。今般、具体的な省令改正案が、改めて医療部会に報告されたものです。見直し内容はすでにメディ・ウォッチでもお伝えしていますが、改めて確認してみましょう(関連記事はこちら)。
まず「医療機関が自ら検体検査を行う」場合、その精度を確保するために、次のような基準が設けられます。
▽医師または臨床検査技師(歯科医療機関においては⻭科医師または臨床検査技師、助産所においては助産師)を、「検体検査の精度の確保に係る責任者」として配置する
▽精度の確保に係る各種標準作業書(検査機器保守管理標準作業書、測定標準作業書)・日誌(試薬管理台帳、検査機器保守管理作業日誌、測定作業日誌、統計学的精度管理台帳、外部精度管理台帳)などの作成を求める
▽内部精度管理の実施、外部精度管理調査の受検、適切な研修の実施などを実施し、「検体検査の精度の確保」に努める
さらに検体検査の中でも、とくに「遺伝子関連検査・染色体検査」を実施する場合には、次のような特別の精度確保基準も満たすことが求められます。これは、医療機関が自ら遺伝子検査等を行う場合はもちろん、医療機関から委託を受けた検査業者等が実施する場合にも適用されます。
▽原則、遺伝子関連検査等の業務経験を有する医師または臨床検査技師を「遺伝子関連検査・染色体検査の責任者」として配置する。ただし、専⾨性・経験を勘案して他の職種を責任者としてもよい。また、上述の「検体検査の精度の確保に係る責任者」が「遺伝子関連検査・染色体検査の責任者」を兼務してもよい
▽「内部精度管理の実施」(施設内における検査の精密度・再現性などの管理)、「適切な研修の実施」を義務づける
▽「外部精度管理調査の受検」あるいは「施設間における検査結果の相互確認を行う」ことに努める
▽第三者認定(ISO15189)の取得が望ましい
また、医療機関から業務を委託された者が行う検体検査についても、これまで以上に精度を確保する必要があり、▼遺伝子関連・染色体検査の精度の確保に係る責任者の配置(上述)▼精度確保に係る各種標準作業書・日誌等の作成—などを行うことが求められます。
遺伝子関連検査・染色体検査、検体検査の一次分類に昇格
一方、検体検査の分類については、▼現在の科学技術水準に合わせた分類とする▼科学技術の進歩により、新たな検査分類が登場した場合、迅速に分類追加を行えるようにする(従前は法律に分類が定められ、迅速な対応が難しかった)—との見直しが行われます。
詳細は下表のとおりですが、「遺伝子関連検査・染色体検査」を各種検査から抽出し、ひとまとめとする(一次分類にいわば昇格)点が注目されます。例えば「がんゲノム医療」の推進など、患者等の遺伝子を検査し、より効果的・効率的な治療に結びつけるために重要な改正と言えるでしょう。
改正省令は今年(2018年)6月にも公布され、周知期間を半年ほど確保し、今年(2018年)12月頃に施行となる見込みです。
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