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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

「かかりつけ医機能報告」制度が2025年4月からスタート、都道府県は市町村との連携・協議の場設置、報告受療準備など進めよ—厚労省

2024.10.21.(月)

来年(2025年)4月から「かかりつけ医機能報告」制度などが施行されます。「まず、かかりつけ医を受診し、そこから基幹病院の専門外来を紹介してもらう。専門外来での治療が一定程度終了した後には、かかりつけ医に逆紹介を行う」という外来医療の流れ・機能分化を推し進めると同時に、地域包括ケアシステムの中で極めて重要な役割を果たす「かかりつけ医機能を持つ医療機関」の明確化を図る狙いがあります。

制度施行に向けた準備を進めるため、厚生労働省は10月18日に自治体向けの説明会(第1回)を開催しました(厚労省サイトはこちら)。



まず「かかりつけ医機能報告」制度は複雑な仕組みですが、大枠は次のように整理できます(関連記事はこちらこちら)。

▽ほぼすべての医療機関(特定機能病院、歯科診療所を除く)が、毎年度、次のような事項をG-MISを用いて都道府県知事に報告する(最初の報告は再来年(2026年)1-3月)
・かかりつけ医にかかる研修を修了した医師や総合診療専門医を配置しているか否か
・17診療領域のどれに対応しているか
・高血圧症など日常的な40程度の疾患へ対応できるか、患者の相談に応じられるか
など

医療機関の報告内容1(1号機能)

医療機関の報告内容2(2号機能)



▽都道府県は医療機関から報告された内容を整理して公表し、国民・住民の医療機関選択をサポートする

▽地域の関係者で、医療機関からの報告内容をベースに「この地域では、どのようなかかりつけ医機能が不足しているのか」「かかりつけ医機能を地域で充実するためにどうすればよいのか」などを協議して、機能充実を図っていく

かかりつけ医機能が発揮される制度整備1

かかりつけ医機能が発揮される制度整備2



説明会では、「かかりつけ医機能の制度化が必要とされる背景」、「かかりつけ医機能報告制度の詳細」について解説が行われたほか、自治体サイドで重要となる「医療機関からの報告を受領する業務の詳細」(下表)や「協議の場の設置」の考え方が示されました。

かかりつけ医機能報告受領等に向けた都道府県の準備



「協議の場」は、上述のように、地域の関係者が膝を突き合わせて「この地域で、かりつけ医機能を地域で充実するためにどうすればよいのか」、より具体的には「24時間の往診体制をどう整えていくか」「入退院支援ルールをどう構築・運用するか」などを議論する会議体と言えます。

参加者については、「地域のキーパーソン」の参加が重要であることを強調し、例えば次のような者が示されました。もっとも地域によって医療・介護提供の状況は異なることから、こうした例示を参考に、都道府県の医療部局が介護部局、市町村、医療・介護関係者等と相談し、「どのような者に協議の場に参加してもらうべきか」を詰め、依頼することが重要となります。
【24時間往診体制を検討する場合】
→地域医師会の在宅担当理事、在宅医療を行う診療所、訪問看護ステーションなど

【入退院支援ルールを検討する場合】
→後方支援病院の病院長・地域連携室長、在宅医療を提供する医師など



さらに、次のような点に留意して「協議の場」を設置することが重要となります。

▽既存の場(例えば地域域医療構想調整会議、地域ケア会議、在宅医療・介護連携会議など、都道府県、市町村、医師会等主体は問わず)で同様の趣旨・内容を協議している、または協議可能な会議体がないか確認する(会議体が乱立すれば協議が非効率となってしまうため)。
→医療分野だけではなく、都道府県・市町村の介護・福祉分野を含めた会議体の現状把握が重要

▽同様の会議体がある場合は、かかりつけ医医機能に関する「協議の場」として活用できないか検討する
→その場合、参加者についても追加・変更する必要があるかを検討する
→既存の会議をそのまま活用する場合には、地域の具体的な課題や具体的方策について協議が可能かどうか精査することが必要となる

▽かかりつけ機能を協議するにあたって適切な会議体がない場合は、都道府県の介護部局、市町村や医療・介護関係者等と相談しながら、協議の場の在り方を検討し、新たな協議の場の立ち上げを含めて検討する

なお、「この人にも参加してもらおう、あの人にも参加してもらおう」と無計画に参加者を増やしていくことは危険です。キーパーソンが出席しないことは困りますが、「会議に全市町村の参加を呼びかけたところ、関係者が多くなりすぎ、形式的な会議となって協議が進まない」事態も生じうる点に留意が必要です。



さらに説明会では、自治体サイドからの疑問に対し、厚労省から次のような考え方が示されています。

▽都道府県の予算において、現在の医療機能情報提供制度に係る各都道府県の運用と同様の準備を行ってほしい(報告業務に関して「医療機能情報提供制度」と同様の業務スキームでシステム上も実装していくため)
→「地域関係者との協議の場開催に関する経費」や「運営等の業務を支援するコーディネーターに係る経費」も考えられる



▽「かかりつけ医機能を有する医療機関のモデル」(下図)は、「各医療機関が有するかかりつけ医機能や、地域におけるかかりつけ医機能発揮のための連携の形などは、地域によりさまざまである」ことを示したもの
→イメージの一助となるよう、今後、国で「地域におけるかかりつけ医機能に関する取り組み事例集」をまとめ、様々な地域の姿(モデル)を示していくので、都道府県ではこれらも参考に「地域地域でどのような姿にしていくのか」を検討してほしい



▽かかりつけ医機能報告制度の実施主体は都道府県であるが、市町村も「在宅医療などに関する身近な地域における課題を把握し、それを協議の場で提言する」など、都道府県と市町村が協働しながらかかりつけ医機能を確保するための方策を検討することが重要である
→もっとも市町村の「協議の場」への関わり方は、その規模等によっても異なるため、地域の実情に応じて都道府県と市町村で協議しながら進めていくことが必要となる



▽報告対象医療機関は、特定機能病院と歯科医療機関を除く全ての医療機関である
→かかりつけ医機能報告制度は、医療機能情報提供制度の報告業務スキームに合わせる予定
→現在の医療機能情報提供制度において、各医療機関のアカウントは既に払い出されており、当該アカウントにかかりつけ医機能報告の権限も国において付与する予定なので、かかりつけ医機能報告制度として新規でのアカウント発行の業務は不要となる(新規開設等の場合は新規アカウント発行が必要)
→医療機能情報提供制度とかかりつけ医機能報告制度は報告期間が同時期となる予定で、両制度をまとめて定期報告の案内等を行っていただくことも可能とする予定
→問い合わせ対応については医療機能情報提供制度と同様に、医療機関から各都道府県にあった照会で各都道府県で対応が困難な場合には、国にエスカレーションし国において回答を整理することで、各都道府県の問い合わせ対応を支援するスキームを整備していく予定



▽報告業務においては「医療機関がG-MISに入力した内容」を都道府県が確認するが、そこでは▼記載漏れや明らかな入力誤りがないかといった事務的な確認▼地域におけるかかりつけ医機能の充足状況を確認する観点から、報告された2号機能(在宅医療提供を行っているか、時間外対応を行っているかなど)を有するかどうかの確認—を行う
→報告内容に疑義がある場合には、適宜医療機関の担当者に確認を取り、必要に応じて修正を促すといった業務を想定している
→確認結果は「協議の場」に報告し、協議に活用する



▽報告された「2号機能」の確認結果、地域の「協議の場」での結果」などを公表するためのテンプレート様式を国で示す予定



▽協議の場の圏域については、自治体の規模や地域の実情等によっても異なり、▼協議テーマ▼市町村の規模▼これまでの取り組む内容—などよりさまざまなパターンがある
→まず都道府県と市町村とで協議しながら「既存の取り組み」や「現状の課題把握」などを進め、両者で調整しながら協議の場の単位を検討することが必要となる



▽協議の場での検討開始は「2026年度から」と考えられ、事前に会議体の体制確認などを進めてほしい



▽協議の場では、医療機関からの「かかりつけ医機能報告に基づくデータ」のほか、「都道府県医療計画等で把握しているデータ」、「市町村で把握している介護関係のデータ」、「日常生活圏域のデータ」など、既存の様々なデータも活用することが重要となる



さらに、厚労省は▼システムを用いたかかりつけ医機能報告業務における庁内体制等の確認・検討▼市町村との緊密な連携▼医療分野だけではなく、介護・福祉分野を含めた会議体の現状把握—を都道府県に求めています。

かかりつけ機能報告制度に関する都道府県の準備等スケジュール



病院ダッシュボードχ 病床機能報告MW_GHC_logo

 

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