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患者の医療機関への感謝の気持ち、不適切なものはホームページ等に掲載禁止―社保審・医療部会(2)

2018.3.1.(木)

 今年(2018年)6月から医療に関する広告規制が見直され、WEBサイト(ホームページなど)も規制の対象となる。また、虚偽・誇大などの広告が規制されることはもちろん、「医療内容や効果に関する体験談」「十分な説明のない術前・術後の写真掲載」なども禁止される。さらに「医療機関に関する患者の言葉」などは、直ちに「体験談」には該当しないが、明らかに不適切なケースは規制の対象となる―。

 2月28日に開催された社会保障審議会・医療部会では、こういった点に関する議論も行われました。この3月にも改正省令・告示・ガイドライン(案はこちら)が提示され、6月から運用されます。

 厚生労働省は不適切な広告についてネットパトロールも実施しており、例えば▼美容医療サービス▼効果の不明瞭ながん治療(いわゆる免疫療法など)―など、不適切事例の多い自由診療はもちろん、保険診療においても不適切な内容がないかを監視しています。

2月28日に開催された、「第60回 社会保障審議会 医療部会」

2月28日に開催された、「第60回 社会保障審議会 医療部会」

医療機関ホームページ等も広告と扱い、広告可能内容などを併せて整理

医療は人の生命・健康に関わるサービスであるため、誤った情報が世に広まることを防止する必要があります。また患者の多くは医療・医学に明るくないため、情報を正しく理解できないケースも少なくありません。このため、医療に関する広告には厳格な規制が設けられていますが、医療機関のホームページは、▼患者が医療機関や医療内容を選択しやすくするための情報提供は十分に行われる必要がある▼患者自身が検索しなければ閲覧できない―ことから「広告とは扱わない」(規制の対象とならない)こととされています。

しかし、美容医療サービスを提供する医療機関などのホームページに代表されるように、消費者トラブルが絶えないため、昨年(2017年)6月に医療法が改正され、次のように「医療機関ホームページも広告に含める」などの見直しが行われました(関連記事はこちらこちら)。

▼医療機関のホームページ等も広告規制の対象とし、虚偽・誇大な表現を禁止するとともに、違反者には罰則を科す

▼一方で、患者に適切な情報提供がなされることも重要であり「広告等可能事項の限定」(医師名や診療科名、提供医療内容などに限定)を解除できる場合を新たに設ける

医療機関ホームページ等の広告規制の対象となる

医療機関ホームページ等の広告規制の対象となる

 
法改正を受け、厚労省の「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」(以下、検討会)では、次のように「こういった事項を広告することは認められない」「こういった事項は広告可能である」という新ルールを規定(ルール改訂)する考えをまとめました(関連記事はこちら)。

(1)虚偽・誇大・比較優良(自院は近隣病院も優れているなど)・客観的事実が証明できない・公序良俗違反・品位を損ねる・法令に違反する広告は禁止する(内容はこれまでと変わらないが、規制の根拠を強めている)
(2)「治療等の内容・効果に関する体験談」の掲載は禁止する
(3)治療等の内容・効果について、患者等を誤認させるおそれのある「治療前または治療後」の写真などの掲載は禁止する
(4)▼WEBサイトのように患者等が自ら求めて入手する情報で、医療機関側が自院について、医療に関する適切な選択に資する情報を提供しようとするものである▼当該情報について、問い合わせ先の記載等により内容について容易に照会が可能である—場合は、広告可能であることを明確にする【広告可能事項の限定解除】
(5)▼自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項▼自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項―の情報提供は広告可能であることを明確にする【広告可能事項の限定解除】
(6)DPCにおける「病院情報の公開」(保険診療係数の加点事項)で求められる事項が、広告可能であることを明確にする【広告可能事項への追加】
(7)▼国際的な医療機能評価であるJCI(Joint Commission International)の行う評価結果▼すべてのISO認定(日本適合性認定協会の認定)―が、広告可能であることを明確にする【広告可能事項への追加】

 (1)から(3)は「広告に掲載してはならない事項」を明確にし、(4)~(7)は「広告可能な事項」を明確にする規定と言えます。ただし、これら全般に言えることとして、「広告可能と不可能の線引きが難しい」という問題があります。例えば(3)では「どこからが説明十分と言えるのか」が明らかではありません。このため厚労省は、今後、事例を収集しながら「○○の事例は説明が不十分と考えられる」「●●の事例は説明が十分である」といった具体例を示しながら線引きを明確化する考えを示しています。

広告禁止事項の全体像、根拠が異なるが、上表の事項はすべて「広告してはならない」

広告禁止事項の全体像、根拠が異なるが、上表の事項はすべて「広告してはならない」

医療内容等以外の体験談、明らかにおかしなものは排除

 上記のうち(2)の体験談(「●●治療を受けたおかげで、こんなに症状が改善しました」などといった患者の声)については、「主観的評価である」「患者への影響が大きい」「著しい誤認を生じさせる可能性が高い」ことなどから広告禁止とされました。医療機関がホームページ等に掲載する場合にとどまらず、例えば「医療機関が費用を払って、個人等のSNS(Facebookやtwitterなど)に掲載を依頼すること」なども禁止対象となります。

医療の内容・効果に関する体験談は、掲載してはならない

医療の内容・効果に関する体験談は、掲載してはならない

 
 この点、規制対象は「患者等の主観・伝聞に基づく治療の内容・効果に関する体験談」とされていますが、中川俊男委員らは「医療機関への感謝の気持ちなどと、体験談との線引きは難しい。膨大な量の感謝の気持ちなどの掲載を認めれば不当な誘導につながる」として対象の拡大を求めました。これを受け、厚労省医政局の武田俊彦局長らは「非常に重要な指摘である。明らかにおかしなものは『虚偽・誇大』広告(上記(1))に該当すると判断することもできる。また明らかにおかしなSNSについては金銭授受がないかをしっかり調べ対応する。実質的に不適切なWEBサイトはすべて排除するよう、危機感を持って対応していく」と明言しました。

 医療機関がホームページ等に「患者からの感謝の声」などを掲載することは、ただちに禁止されるものではありませんが、明らかにおかしなもの(意見・注文などを一切載せず、感謝や賞賛の声のみ掲載するなど)については、個別に「不適切」と判断されることになります。

 
 また(3)は、いわゆる「ビフォー・アフター」の写真などを、十分な説明なく計算することを禁止するものです。説明内容としては▼通常必要とされる治療内容▼費用▼リスク▼副作用―などが例示されていますが、上述したように「どこまで説明すれば十分と判断されるのか」が必ずしも明らかになっていません。今後、具体的事例を集積しながら、判断基準を順次明確にしていくことになります。この点、本多伸行委員(健康保険組合連合会理事)は「PDCAを速く回していくことが重要」と指摘し、厚労省の対応に期待を寄せました。

いわゆる「ビフォー・アフター」写真を十分な説明なく、掲載してはならない

いわゆる「ビフォー・アフター」写真を十分な説明なく、掲載してはならない

患者の医療機関選択に資する情報は、広告を可能とする

 次の(4)(5)の「広告可能事項の限定解除」と(6)(7)などの「広告可能事項」との関係を整理しておきましょう。

 冒頭で述べたように、医療は生命・健康に影響を与え、患者側には必ずしも十分な知識がないことから、誤認等を防ぐために「広告可能な事項」を規定しています。ここでは「▲は可能、◆は可能、◇も可能」といった限定列挙という方式が採られています。

広告可能な事項は限定列挙されている

広告可能な事項は限定列挙されている

 ただし、今般、WEBサイト等を広告に含めることとなったことから、「▲は可能」といった限定列挙をそのまま維持したのでは、有用な情報を患者に十分提供できなくなってしまうのです。医療情報にはさまざまな種類・内容があり、有用な情報を一つ一つピックアップするには膨大な時間・コストがかかり、また「漏れ」(有用な情報だが、可能事項に含まれていない)が生じることもあります。

そこで(4)(5)のように、「患者の誤認させる恐れが少ない」「患者に知らせておくべき」事項については、包括的に「限定を解除」(つまり広告してもよい)しているのです。医療機関側の判断でホームページ等を充実させていくことが、この「限定解除」規定によって可能となり、「患者に有用な情報」を積極的に掲載していくことが求められます。

ただし、例えば▼バナー広告▼検索サイト上でスポンサーとして表示されるもの▼検索サイトの運営会社に対して費用を支払うことで上位に表示される状態にしたもの—などは(4)に該当せず、「広告規制の対象」(つまり禁止)となります。ここでも、実際の運用を通じて「線引き」を徐々に明確にしていくことになるでしょう。

 
 一方、(6)(7)は、広告可能事項を追加するものです。

DPCの保険診療係数(機能評価係数II)においては、「病院情報(診療実績など)を規定に沿って公表した場合には、係数を加点する」(医療機関の収益増になる)仕組みがありますが、公表事項である「平均在院日数(全国)」や「転院率」などは「広告可能事項」に含まれていません。そこで今般、今後のDPC制度改革も睨み、(6)のように「機能評価係数Ⅱにおいて公表が求められる病院情報」がすべて広告可能であることが示されたものです(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

なお、DPCにおける病院情報公表による加点は、「患者に、医療機関選択に資する診療実績情報などを積極的に提供すべきである」との考えに基づく仕組みです。島崎謙二委員(政策研究大学院大学教授)は、こうした状況を踏まえ、【広告してはならない事項】【広告可能な事項】に加え、【広告すべき事項】などの検討も行う必要があるとの見解を示しています。

DPCでは、病院情報を規定に則って公表することで、収益増となる仕組みが用意されている

DPCでは、病院情報を規定に則って公表することで、収益増となる仕組みが用意されている

 
現在、「医療機能情報提供制度(医療情報ネット)」によって、各医療機関の基本情報が整理・公表されています。この仕組みも併せて「患者に提供すべき情報の在り方」などを検討していく可能性も出てきました。

効果不明ながん免疫療法、不適切広告に当たらないか、ネット情報も監視

ところで厚労省は、不適切なWEBサイト等の是正を目的として、昨年(2017年)8月からネットパトロールを開始しています。昨年(2017年)12月までの5か月間で、85の不適切サイトが見つかり、是正を指導。ただし現在は罰則等がない(WEBサイトは原則として広告とは扱われていない)ため、是正は12サイトにとどまっています。

厚労省が実施する不適切ホームページ等に対するネットパトロールの概要

厚労省が実施する不適切ホームページ等に対するネットパトロールの概要

ネットパトロールによって、昨年(2017年)8-12月に85件の不適切サイトが発見され、12サイトで是正がなされた

ネットパトロールによって、昨年(2017年)8-12月に85件の不適切サイトが発見され、12サイトで是正がなされた

 
このネットパトロール事業には、委員から「さらなる強化」を求める声が出ています。例えば山崎學委員(日本精神科病院協会会長)や中川委員は「効果が明らかでない『がん民間療法』(いわゆる免疫療法など)について、保険医療機関が自由診療で実施するケースもあり、重点的に監視すべきである」と、山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は「全国に380程度設置されている医療安全支援センターの職員教育を徹底し、不適切なWEBサイト等を通報するよう相談者に促すような仕組みを設けるべきである」などと提案。厚労省医政局総務課の榎本健太郎課長は「監視対象の重点分野を定めたり、通報への対応を十分に行うなど、実のある取り組みを行う」考えを強く示しています。

 

 

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