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外来診療 経営改善のポイント 看護必要度シミュレーションリリース

医療機関ホームページでの虚偽表示も罰則の対象に―社保審・医療部会(1)

2016.10.20.(木)

 来年(2017年)に医療法を改正し、医療機関のホームページに虚偽・誇大な内容などの不適切な表示がある場合、一定の罰則を課すなどの対応をとることを可能とする―。

 こういった方向が20日に開かれた社会保障審議会の医療部会で確認されました。

 また、厚生労働省は、検体検査の精度・品質向上を目指し、「医療機関が自ら検体検査を行う場合に一定の基準を満たさなければならない」旨の規定を医療法に設けたい考えです。

10月20日に開催された、「第48回 社会保障審議会 医療部会」

10月20日に開催された、「第48回 社会保障審議会 医療部会」

情報提供を阻害しないため、「ホームページは広告ではない」との考えは継続

 医療は人の生命・健康に関わるサービスであることから、医療法では広告に関しては厳格な規制を設けており、広告可能な事項を「施設・設備、従業者に関する事項」「提供される医療内容に関する事項」などに限定するとともに、虚偽・誇大な内容などの記載がある場合には一定の罰則が課されます。

 例えば、医療法第6条の5第3項では「虚偽広告」を禁止しており、これに違反、つまり虚偽の広告を行った場合には、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が課せられます(法第73条第1項)。

 ところで、医療機関のホームページは「検索して閲覧するもの」であることから、広告とは扱われません(バナー広告があり、これとリンクしている場合などは除く)。そのため、「美容医療サービスを提供する医療機関の一部では行き過ぎた広告が行われている」との指摘が古くからあります。厚労省はこれを是正するために、現在「医療機関ホームページガイドライン」(医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針)を定め、医療機関自らが適切な情報提供をするよう促しています。しかし、あくまでガイドラインにとどまっているため「実効性が低い」との批判があり、内閣府の消費者委員会は昨年(2015年)、「医療機関のホームページの適正化」を求める建議を行いました。

 厚労省はこれを重く受け止め、検討会を設置して具体的な方策を検討。20日の医療部会に、次のような対応をとることを提案しました。

(1)医療機関のホームページなどは、引き続き広告に含めない(適切な情報提供がなされなくなってはいけないため)

(2)医療法を改正し、「虚偽・誇大な内容などの不適切な表示に対する規制」を設け、広告と同様の命令および罰則を課せるようにする

 (2)は、医療機関ホームページなどに虚偽内容などがある場合に、前述の「医療法第73条」(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)などを適用できるような改正が想定されています。

 この提案に対し反論は出されず、今後、不適切なホームページなどの是正が進むと期待されます。

 

 また厚労省の検討会では、医療機関ホームページで適正な情報提供が進むよう、医療法改正とは別に、▼新たな規制の内容や違反事例などをガイドラインなどで明確化する▼自治体による「ネットパトロール監視体制」を外部委託によって構築する▼美容医療団体、プロバイダなどを通じて規制遵守を徹底する―ことなども進めるよう求めています。

 この点、厚労省医政局総務課の佐藤伸樹医療政策企画官は、「一般国民が不適切な内容を発見した際、どこに通報すればよいかが明確になるよう、例えば都道府県に通報窓口一覧を作成してもらい、それを厚労省のホームページに掲載することなどを検討している」と説明しています。

 なおネットパトロール監視体制の構築などは医療法改正とは直接関係しないため、極論すれば「自治体が外部事業者と契約し、すぐにでも監視体制を構築する」ことも可能です。

医療機関自らが検体検査を行う場合にも、最低限満たすべき基準を設定

 厚労省は、来年の医療法改正で「医療機関自らが検体検査を行う場合、一定の基準を満たさなければならない」よう求める考えです。

 現在、検体検査は(a)医療機関が自ら院内で実施する(b)受託業者が医療機関内で実施する(ブランチラボ)(c)委託業者が衛生検査所で実施する―という3ケースがあります。このうち(b)(c)のケースについては一定の基準が定められていますが、(a)の医療機関自らが実施する場合については、具体的な基準がありません。

 そこで厚労省は、(b)(c)の基準を目安として、(a)の場合にも基準を満たすことを求めるような根拠規定を医療法に設けたい考えです。

 具体的な基準の内容は現在、研究班で検討されており、今年度末(2017年3月)には明らかになりますが、医療法には専ら「すべての医療機関が満たすべき事項」を定めている点を考慮すると、言わば「ミニマム基準」になるものと見込まれます。

 

 なお、現在、検体検査は▼微生物学的検査▼血清学的検査▼血液学的検査▼病理学的検査▼寄生虫学的検査▼生化学検査―の6つに分類されます(医療法施行令、臨床検査技師等に関する法律)。法律事項となっているため、新たな検査分類を追加するには、当然、法律改正をしなければならないのです。しかし、国会の事情などで法律改正が行われない場合、新たな検査分類について安全性などを確保するための基準が設けられないという事態が生じかねません。

 昨今、遺伝子関連検査など新たな技術が登場する中で、精度管理や安全性などを柔軟かつ迅速に対応することが求められており、厚労省は「臨床検査技師等に関する法律」を改正し、検体検査の分類を下位法規である厚生労働省令などに規定(あわせて新分類として遺伝子関連検査を追加)することも予定しています。

 
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