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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

特定機能病院の院長は「選考会議」で選出、医療機関ホームページでの虚偽表示など禁止―改正医療法

2017.6.16.(金)

 特定機能病院の管理者(病院長)の選任に当たっては、選考会議などを設置し、そこでの審査を経て「適切な能力・経験を有する者」を選ばなければならない。医療機関のホームページも広告規制の対象とし、虚偽広告や比較広告をした場合に罰則の対象とする。「持分なし」医療法人への移行に向けた、厚生労働大臣の移行計画認定期限を2020年9月まで延長する—。

こうした内容の改正医療法が14日に公布されました。厚生労働省医政局長は同日に、その旨を周知する通知「『医療法等の一部を改正する法律』の公布について」を発出しました(厚労省のサイトはこちら)。各改正項目によって施行期日が異なりますので、ご留意ください。

医療機関ホームページを広告に加え、虚偽広告などを禁止する規定などを改正医療法に盛り込んだ

医療機関ホームページを広告に加え、虚偽広告などを禁止する規定などを改正医療法に盛り込んだ

 

医療機関ホームページも広告、ただし患者のための表示可能事項を明示

 今般の医療法改正の内容は、社会保障審議会・医療部会での議論をベースとしており、メディウォッチでも、その内容は順次お伝えしてきました(関連記事はこちらこちら)。改正内容を、ポイントを絞って改めて振り返ってみましょう。

 まず、医療機関のホームページの位置づけについて、これまで「広告規制」の対象外とされてきましたが、この方針を転換し「広告である」としました。併せて、虚偽広告や比較広告を禁止し、ホームページ内容の適正化を図る考えです。「公布から1年以内」に施行されるので、早急なホームページ内容の点検を行う必要があります。

 具体的には、広告の定義を「医業・歯科医業・病院・診療所に関して『文書その他いかなる方法によるを問わず』、広告その他の医療を受ける者を誘引するための手段としての表示」とし、▼虚偽の広告▼比較広告(他の病院・診療所と比べて優良である旨の項目)▼誇大広告▼公序良俗に反する広告—を行うことを禁止しました。施行期日は政令で定められますが、遅くとも「来年(2018年)6月13日まで」にスタートします。

ただし、医療機関ホームページには、患者・地域住民にとって有用な情報が少なくないため、▼医師・歯科医師である旨▼診療科名―などの広告可能事項以外についても広告できます。改正法では「広告がされても医療を受ける者による医療に関する適切な選択が阻害されるおそれが少ない場合として厚生労働省令で定める」としており、具体的な表示可能内容は今後、明らかにされます。

あわせて、助産師・助産所に関しても同様の規定が設けられます。

特定機能病院の院長、選考会議などで選出することが必要

 特定機能病院のガバナンス強化も、改正法の重要事項です。一部の特定機能病院で医療事故が相次いだことを受け、厚労省は一昨年からガバナンス強化に向けた方策(医療安全に関する外部監査委員会の設置などを指定要件に加えるなど)を取っており、今般の改正内容もその流れを汲むものです(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちら)。特定機能病院のガバナンス強化は、「公布から1年以内」に施行されます。

 例えば、特定機能病院の承認要件に、「医療の高度の安全を確保する能力を有する」ことを追加するほか、病院長の選任方法について「開設者(例えば学長など)が、選考のための合議体(選考会議など、厚生労働省令で含めるべき構成員を規定)で審査を行い、その結果を踏まえて『特定機能病院の管理・運営に関する業務遂行に必要な能力・経験を有する者』を選ばなければならない」との規定が設けられました。教授会による互選などは認められなくなります。

 また、特定機能病院の開設者に対して、▼病院長の管理・運営権限を明らかにする▼医療安全確保に関する監査委員会を設置する▼病院長の業務執行が法令に適合することなどを確保する体制を整備する—ことを義務付けたほか、病院長に対して、▼医療の高度の安全を確保する▼管理・運営上重要な事項(厚生労働省令で規定)は勤務する医師・歯科医師・薬剤師・看護師などで構成される合議体の決議に基づく—よう指示しています。

持分なし医療法人への移行を促進

 また、医療法人の非営利性担保に向けて「持分あり医療法人」から「持分なし医療法人」への転換が推進されていますが、推進方策の1つである「持分なし法人への移行に関する厚生労働大臣の認定期限」を2020年9月30日まで延長することが決まりました(関連記事はこちら)。

 
認定を受けた場合、持分なし法人への移行期間(最大3年)において▼出資者の相続に係る相続税を猶予・免除する▼出資者間のみなし贈与税を猶予・免除する―という税制上の特例措置を受けられます

さらに今般の改正では、認定要件に「法人運営に関し、社員、理事、監事、使用人その他の法人関係者に対し 特別の利益を与えないこと」などが追加されます(詳細は厚生労働省令で規定)。この規定は今年(2017年)10月から施行されます(期限の延長は、もちろん6月14日から適用)。

法令違反の程度に応じて、都道府県知事が段階的・柔軟に対応

 また従前の医療法では、医療法人に対しては法令違反などへの段階的な、柔軟な対応(立入検査、改善措置命令、業務停止命令、役員解任勧告、認定取り消し)を可能としていますが、それ以外の、例えば自治体病院や社会福祉法人などの規定は硬直的(いきなり閉鎖命令など)なものでした。

 そこで今般の改正では、医療法人以外の医療機関に対しても、法令違反の程度などに応じて段階的、柔軟な対応がとれるような見直しが行われました。具体的には、次のような段階を設けています。この規定は「公布から1年以内」に施行されます。

▼都道府県知事など(知事のほか、保健所設置市長、特別区長)は、病院などの業務が法令などに違反している『疑い』、またはその運営が著しく適正を欠く『疑い』があると認めるときは、当該病院などの開設者の事務所などに立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査することができる【立入検査】

▼都道府県知事などは、病院などの業務が法令などに違反し、またはその運営が著しく適正を欠くと認めるときは、当該病院などの開設者に対し、期限を定めて、必要な措置をとるべきことを命ずることができる【改善命令】

▼病院などの開設者が【改善命令】に従わないときは、都道府県知事などは当該開設者に対し、期間を定めて、その開設する病院等の業務の全部または一部の停止を命ずることができる【業務停止命令】

医療法改正案(その1)、医療法人以外の医療機関に関する監督規定を整備する

医療法改正案(その1)、医療法人以外の医療機関に関する監督規定を整備する

 
 このほか、次のような見直しも行われます。

▼病院などが検体検査業務を行う場合には、一定の基準(厚生労働省令で定める)への適合を義務付け(この基準を満たせば、検体検査業務を受託可能)【基準に関しては、厚労省が検討会を設置し、そこでの議論を経る必要があるため、「公布から1年半以内」に施行】

▼出張のみの業務に従事する助産師に、妊婦などの異常に対応する病院・診療所を定めることの義務付け【今年(2017年)10月から施行】

▼検体検査の詳細は厚生労働省令に移譲(柔軟に新たな検査を追加できるようにする)【公布から1年半以内に施行】―などの改正内容が盛り込まれています。

 
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