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医業継続に係る相続などの納税猶予特例、2020年9月まで延長―2017年度税制改正

2016.12.26.(月)

 来年度(2017年度)の税制の姿が22日に明らかになりました。医療・介護に関係するものとしては、「高額な医療機器に係る特別生薬制度の適用期限延長」や「医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予などの特例措置の延長」などがあります(厚労省のサイトはこちら)。

高額医療機器購入における特別償却制度、2019年3月まで延長

 医療法人が高額な医療機器を購入した場合、投下資本の早期回収などを可能とするために、税制上の特別償却が認められますが、これについて対象機器を「取得価格500万円以上のもの」(高度な医療の提供に資するもの、医薬品医療機器方のなどの指定を受けてから2年以内のもの)と改めた上で、適用期限を2年間延長(2019年3月31日まで)することになりました。

 厚労省は対象機器について、▼汎用超音波画像診断装置▼汎用人工呼吸器▼放射線治療シミュレータ▼閉鎖循環式麻酔システム▼全身用X線CT診断装置(4列以上)▼体外式結石破砕装置―などを例示しています。

 

 また持分のある医療法人について、法人経営を子息などに承継する場合には、持分に応じた相続税や贈与税を収めなければなりません。しかしこれを徹底すると、閉院、ひいては地域の医療提供体制に穴を空けてしまう可能性もあります。そこで、一定の要件を満たす医療法人については税制上、相続税・贈与税の納税猶予措置が認められていますが、この仕組みを3年間延長(2020年9月まで)することになりました。具体的な猶予措置の内容は次のとおりです。

(1)認定を受けた医療法人の持分を有する個人が、その持分の全部・一部の放棄をしたことにより当該医療法人がその認定移行計画に記載された移行期限までに持分の定めのない医療法人への移行をした場合には、当該医療法人が当該放棄により受けた経済的利益については、贈与税を課さない 。

(2)(1)の適用を受けた医療法人について、持分の定めのない医療法人への移行をした日以後6年を経過する日までの間に移行計画の認定要件に該当しないこととなった場合には、(1)の経済的利益については、当該医療法人を個人とみなして、贈与税を課する。

医業承継の際に相続税などの納付を猶予する特例について、一部見直しを行った上で適用期限を3年間延長する

医業承継の際に相続税などの納付を猶予する特例について、一部見直しを行った上で適用期限を3年間延長する

 

 さらに試験研究を行った場合の税額公助制度について、▼総額型の税額控除率を試験研究費の増減割合に応じた率(6-14%)とする▼高水準型を2年延長し、増加型を廃止する▼試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合、高水準型の適用に代えて総額型の控除限度額(法人税額の25%)に上乗せする制度を選択できるようにする▼試験研究費の範囲について、ビックデータの収集分析等の試験研究費を追加する▼オープンイノベーション型について、手続きの見直しによる使い勝手の向上を図る―といった見直しが行われます。

試験研究を行った場合の法人税額等の特別控除を拡充する

試験研究を行った場合の法人税額等の特別控除を拡充する

 

 また国民健康保険税(国保では保険料ではなく、保険税を課している自治体も多い)について、低所得者には軽減が行われていますが、この軽減の対象となる所得の基準を▼5割軽減の対象となる世帯の軽減判定所得の算定において「保険者の数に乗ずべき金額」を26万5000円から27万円に引き上げる▼2割軽減の対象となる世帯の軽減判定所得の算定において、「被保険者の数に乗ずべき金額」を48万円から49万円に引き上げる―といった具合に見直します。社会保障審議会・医療保険部会でも議論されていたテーマです(関連記事はこちらこちら)。

国民健康保険税について、低所得者に対する軽減を行っているが、「低所得者」の判定基準を一部見直す

国民健康保険税について、低所得者に対する軽減を行っているが、「低所得者」の判定基準を一部見直す

 

 このほか、▼サービス付き高齢者向け住宅供給促進税制における固定資産税の減額措置・不動産取得税の特例措置を2年延長する(2019年3月31日まで)▼社会福祉法人などに現物寄附を行った場合の「みなし譲渡所得税などの非課税の特例措置」適用の手続きを簡素化する(申請から1か月以内に『承認しない』との決定がなければ、承認されたものと見なす)―といった改正が行われます。

 

 なお、▼医療に係る消費税課税のあり方(医療機関の設備投資に関する特例措置を含む)▼たばこ税の引き上げ▼社会保険診療報酬に係る非課税措置の存続▼医療法人の社会保険診療報酬以外部分に係る軽減措置の存続―については検討事項とされています。

来年1月からセルフメディケーション税制がスタート

 ところで今年度(2016年度)の税制改正では「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」が創設されており、これが来年(2017年)1月1日よりスタートします。

 健康の維持増進・疾病予防に向けた取り組みを行う個人(特定健診、予防接種など)が、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品・一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を購入した際に、その購入費用について所得控除を受けることができるものです。具体的にはその年中に当該医薬品を購入した額の合計が1万2000円を超える場合には、超過分が総所得金額から控除されるものです(厚労省のサイトはこちら)。

 
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