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「かかりつけ医機能」持つ医療機関の情報を国民に分かりやすく提示し、地域で機能充実論議を進める—社保審・医療部会(1)

2022.12.26.(月)

「かかりつけ医機能」を持つ医療機関の情報を国民に分かりやすく提示するとともに、地域全体で「かかりつけ医機能の充実」に向けた論議が関係者間で進められるような制度設計を行う—。

12月23日の社会保障審議会・医療部会で、こういった内容を盛り込んだ「医療提供体制の改革に関する意見」を永井良三部会長(自治医科大学学長)一任で固めました。今後、厚生労働省で意見を踏まえた制度改正内容を詰め、法律改正(医療法改正)が必要な事項については来年(2023年)の通常国会提出を目指します。

医療法改正案には、かかりつけ医機能関連のほかに▼新たな地域医療連携推進法人の創設医療法人への経営情報提出義務化・データベースの創設—なども盛り込まれます。

なお、同日は、規制改革実施計画を踏まえた「オンライン診療の適切な実施に関する指針」見直しも議論されており、別稿で報じます。

12月23日に開催された「第95回 社会保障審議会 医療部会」

医療機能情報提供制度見直し、2024年度から「かかりつけ医機能」の報告を求める

厚労省医政局総務課の岡本利久課長は、これまでの医療部会や下部検討会などの議論を踏まえ、▼かかりつけ医機能を発揮するための制度整備を行う(関連記事はこちらこちら)▼医療法人に経営情報提出義務を課す(関連記事はこちら)▼新たな類型の地域医療連携推進法人を創設する(関連記事はこちら)▼認定医療法人制度の継続▼地域医療構想を推進する(関連記事はこちら)▼医療従事者を確保する(関連記事はこちらこちらこちら)—などを内容とする医療提供体制改革意見案を提示しました。

注目される【かかりつけ医機能を発揮するための制度整備】を見て見ましょう(関連記事はこちらこちら)。

まず、国民への「かかりつけ医機能」に関する情報提供を強化するために、「医療機能情報提供制度」を充実する方針が示されています。「かかりつけ医機能」の内容を分かりやすく整理して法律(医療法)に規定。全国の医療機関が、その機能を都道府県に報告し、その内容を都道府県が整理して公表することで、国民の医療機関選択を支援するものです。

医療機能情報提供制度は、2024年度に「全国統一フォーマット」に組み替えることとされており、その組み替えたフォーマットに、新たに「かかりつけ医機能」を掲載する見込みです。通常「診療報酬改定の内容を踏まえた報告制度見直しを行い、全国の医療機関は、翌年度から新たな報告様式で報告する」形ですが、厚生労働省医政局総務課の古川弘剛・医療政策企画官(政策統括官付情報化担当参事官室併任)は「2024年度改定と合わせ、翌年度(2025年度)から報告を求めるのでは遅すぎるかもしれない。現時点では『2024年度中に報告開始』を目指している」旨の考えを示しました。

具体的に「どういった項目とするのか」などは、改正法成立後に有識者・専門家等の参画する検討会などで詳細に検討・議論されます。

かかりつけ医発揮のため、医療機能情報提供制度での情報強化と、かかりつけ医機能報告制度の新設を行う(社保審・会医療部会(1)1 221205)

医療機能情報提供制度の「かかりつけ医機能」情報を強化(医療部会(2)2 221128)

新たな「かかりつけ医機能報告」制度を設け、2025年度からの運用目指す

また、地域単位でのかかりつけ医機能強化を行うため、新たに「かかりつけ医機能報告」制度を創設する考えを示しています。

入院医療に関する「病床機能報告」制度、外来医療に関する「外来機能報告」制度に次ぐ報告制度で、「どのような項目について報告を求めるのか」などは、改正法成立後に有識者・専門家等の参画する検討会などで詳細に検討・議論されますが、制度の大枠は次のようなものです。

▼医療機関(病院、クリニック)に対し、「かかりつけ医機能」(内容は検討)の保有状況を都道府県に報告する義務を課す

▼都道府県は報告内容を整備し、「かかりつけ医機能を持つ」医療機関を確認して、公表する

▼地域で報告内容をもとに「かかりつけ医機能」のどの部分が不足しているかを分析し、不足分を補う方策を地域の協議の場で議論し、実行する

かかりつけ医発揮のため、医療機能情報提供制度での情報強化と、かかりつけ医機能報告制度の新設を行う(社保審・会医療部会(1)1 221205)

かかりつけ医機能報告制度(案)を新設(医療部会(2)3 221128)



この「かかりつけ医機能報告制度」については、▼個々の医療機関の機能を向上させるため、一定の報告基準を国が統一的に定めるべき▼研修の受講を必須とすべき▼医療機関からの報告だけでは不十分であり公的な認定によって一定の質を担保する仕組みを設けるべき▼全人的な診療に対応できる総合力を有する医師は重要である▼大病院から患者を逆紹介させる仕組みを機能させるために必要である—といった意見に留意すべき旨が意見の中に明示されています。例えば、「全人的な医療提供を行う」といった報告項目が設けられた場合には、「全人的な医療とは何か」「どのような診療行為を提供し、どのような要件(専門医資格、研修受講など)をもてばよいのか」などの客観的指標を明示し、「医療機関間の報告内容のバラつきをなくす」ことが重要となります。

また、地域での「かかりつけ医機能の充実」論議においては、▼病院勤務医が地域で開業し地域医療を担うための研修や支援を企画・実施する(例えば在宅酸素療法、在宅緩和ケア、主治医意見書の書き方などの研修、研修先の斡旋や研修中の受け持ち患者の診療支援も考えられる)▼地域で不足する機能を担うことを既存・新設の医療機関に要請する(関連記事はこちら)▼医療機関同士の連携を強化する(グループ診療、遠隔医療やオンライン資格確認の活用等)▼在宅医療を積極的に担う医療機関や在宅医療の拠点を整備する(関連記事はこちら)▼多職種連携を推進する▼地域医療連携推進法人を設立・活用する(個人立を含めた医療機関の連携を可能とする新類型を設ける(関連記事はこちら)—といった具体策が早くも例示されました。さらに、厚労省には▼研修の標準的な基準の設定等を通じた研修等の量的・質的充実と受講の促進▼国民・患者の健康・医療情報の共有基盤等の整備(医療 DXの推進)▼かかりつけ医機能の診療報酬による適切な評価—などを要請しています。かかりつけ医機能が、他の医療提供体制施策と密接に関係していることが再確認できます。

書面交付制度、まずは「継続的な医学管理が必要な患者」対象にスタート

さらに、「慢性疾患を有する高齢者が在宅で医療を受ける場合」をはじめ、患者が継続的な管理を必要とし、患者が希望する場合に「医療機関がかかりつけ医機能として提供する医療の内容について、書面交付などを通じて説明する」仕組みの創設も提唱されました。

患者とかかりつけ医との合意により「提供する医療内容」に関する書面交付の仕組みを設ける(社保審・会医療部会(1)2 221205)



「慢性疾患などに罹患し、継続的な管理が必要な患者」と「当該患者の継続管理を行っている医師」とが、書面で「今後想定される病状の変化、その際に考えられる治療・医学的管理の方針や内容」などを確認するものです。現在でも多くの医師・患者が「口頭」でこうした内容を説明しています。それを「書面で行う」ことにより、患者がより安心して当該医療機関を受診できる環境を整えるものと言えます。入院においては、医師が「入院診療計画」を作成し、「どのような病状なのか、どのような治療を行うのか、入院期間はどの程度なのか」などを患者に説明・交付しています。これを「かかりつけの患者」に広げるイメージと言えそうです。

書面の具体的な内容や交付手続きなどは、改正法成立後に有識者・専門家等の参画する検討会などで詳細に検討・議論されます。

この点、医療部会では「対象者については、慢性疾患を有する高齢者のみならず、子どもを含め幅広く対象とすべき」「継続的な管理が必要と判断される患者に限定すべきではない」などの意見も出ています。

「すでにかかりつけ医を持っている患者」(上述した継続的な管理が必要な患者)にとどまらず、「かかりつけ医を探している患者」「かかりつけ医の必要性を感じていない住民」にも「かかりつけ医をもってほしい」との考えに基づく意見と言え、頷ける部分が大きい内容です。

ただし、今後の制度展開を考慮すると「書面交付を診療報酬で評価していく」ことなどが考えられます。その際、最初から「かかりつけ医の必要性感じていない住民」(=現在は慢性疾患を持っていない比較的健康な者)までをも含めた書面交付制度を設けてしまえば、診療報酬論議に馴染みにくくなる(「健康な人」への医療提供は診療報酬による評価の対象とはならない)ため、「導入時は対象を狭く設定する」→「制度の運用状況を見ながら対象拡大を検討していく」ことになったとも考えられるでしょう。

このほか、「情報の一元化やその調整窓口を想定し、患者と医師との関係は1対1にすべき」「書面情報を都道府県に登録し保険者が把握できるようにすべき」「複数の医療機関から書面の交付を可能とすべき」との声も出ています。上述の診療報酬設定論議も見据え「当初はどのような制度とし、どのように拡大していくのか」を今後、検討研究していくことになるでしょう。



なお、岡本総務課長は、▼有識者などの検討結果等を踏まえ、医療法に基づく「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図るための基本的な方針(告示)」(いわゆる医療計画を作成する際の基本方針で、今後、改正が行われる、関連記事はこちら)等の関係法令を改正する → ▼2025年度を目途に個々の医療機関からのかかりつけ医機能報告を受け、地域の協議の場における「かかりつけ医機能」に関する議論を開始する →▼具体的方針等が決定した段階で、適宜、医療計画に反映する(2026年度に予定される第8次医療計画の「中間見直し」を想定)—というスケジュールも示しています。



こうした内容はこれまでの議論で積み上げられたものであり、委員から反論は出ていません。ただし、今後の改正法案策定・運用に向けて、▼医療現場からは「さらに報告負担が増えるのか」との声も出ており、負担増へのは医療を行ってほしい(神野正博委員:全日本病院協会副会長)▼今回の制度改正がゴールではなく、第1歩である。将来は「かかりつけ医を持たない現役世代」もターゲットに据えた仕組みとすべき(河本滋史委員:健康保険組合連合会専務理事)▼国民の目線・視点に立った「かかりつけ医機能」を考える必要がある(島崎謙治委員:国際医療福祉大学大学院教授)▼情報提供して終わりではなく、かかりつけ医を探す国民への「手助け」の仕組みも考えていくべき(楠岡英雄部会長代理:国立病院機構理事長)▼総合診療のマインドを持つ医師の養成、地域住民が「かかりつけ医を持つ」ことへのマインド養成が重要である(相澤孝夫委員:日本病院会会長)▼日本の医療は微妙のバランスで成り立っており、かかりつけ医の制度化がこのバランスを崩さないように最大限留意すべき(永井部会長)—といった提言がなされています。



このほか、▼地域医療構想の実現はこのままでは進まない、フランスでは住民向けに「例えば乳がんについて、どこの施設で検診を受け、どこの施設で精密検査を受け、治療方法として手術・化学療法・放射線療法があり、それぞれどの医療機関で医療を受けられる」という流れを施設名付きで示している。そうした取り組みも参考にドライブをかけていくべき(松田晋哉委員:産業医科大学教授)▼医療法人の経営情報の公開においては「情報の読み方」をセットで示すべき(松原由美委員:早稲田大学人間科学学術院教授)▼各医療従事者の業務範囲見直し論議を早急に進めなければ、今後の少子化に対応できない。研修や養成カリキュラム見直しに時間がかかることも踏まえた早急な議論開始を求める(楠岡部会長代理)—といった医療提供体制改革に向けた注文もついています。



こうした意見を、永井部会長と厚労省とで「意見の中に反映させる」との条件付きで、意見案は概ね了承されています。今後、意見を踏まえ、厚労省で必要な制度改正内容を詰め、来年(2023年)の医療法改正案提出を目指すことになります。



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