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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

医療法人からの事業報告書・経営情報等の届け出・報告に遅延等生じないよう、都道府県は管下法人の指導・管理徹底を—厚労省

2024.3.5.(火)

医療法人は「毎会計年度終了後3か月以内、外部監査対象の医療法人は同じく4か月以内」に事業報告書・経営情報等の届け出・報告を行わなければならないが、遅延等も生じている。都道府県は管下法人の指導・管理徹底を行い、遅延等が生じないように努めてほしい—。

厚生労働省は3月1日に事務連絡「医療法人の事業報告書等の届出及び経営情報等の報告の徹底について」を示し、都道府県や医療機関にこうした点を要請しました。

医療法人には会計年度終了後3か月以内に事業報告書・経営情報等の届け出・報告の義務

医療法人には、会計年度が終了するごとに次の書類を都道府県知事に届け出ることが義務付けられています(原則として「すべての医療法人」がG-MIS用いて毎年度の経営情報を都道府県・国に報告することとなった、関連記事はこちら)。保険診療が公的性格を色濃く帯びていること(財源の7―9割は国民の税金、医療保険加入者の保険料・税で賄われている)、健全な経営を確保する必要性のあること(経営が不安定になれば地域医療に多大な影響が出てしまう)などを踏まえた義務です(医療法人→都道府県→厚労省へと情報共有がなされる)。
▼事業報告書
▼財産目録
▼貸借対照表
▼損益計算書
▼監査報告書
▼関係事業者との取り引きの状況に関する報告書
▼その他の書類

(参考)
医療法第52条第1項
医療法人は、厚生労働省令で定めるところにより、毎会計年度終了後三月以内に、次に掲げる書類を都道府県知事に届け出なければならない。
一 事業報告書等
二 監事の監査報告書
三 第五十一条第二項の医療法人にあつては、公認会計士等の監査報告書

医療法人経営情報データベース等の大枠(社保審・医療部会(1)2 230707)

医療法人には事業報告書等などを都道府県に届け出る義務がある(医療部会(1)2 211102)



この事業報告書・経営情報等の届け出・報告は「毎会計年度終了後3か月以内、外部監査対象の医療法人は同じく4か月以内」とされていますが、医療法人からの届け出・報告に遅延などがあります。遅延によって、自治体や厚労省の事務手続きに支障が生じてしまいます。

そこで今般、厚労省は、都道府県に対し▼事業報告書等・経営情報等が、医療法人から都道府県に適切に届け出・報告がなされるよう、管下医療法人へ指導・監督を徹底する▼届け出・報告された事業報告書等・経営情報等について速やかに確認等し、遅滞なく厚労省へ提供する—ことを求めました。

具体的には、次のような取り組みが求められます。なお、年能登半島地震の影響で直ちに対応できない場合には、「可能になり次第、対応する」ことで良しとされています。

(1)事業報告書等の届け出・経営情報等の報告の状況確認
→各都道府県において届け出等の状況を更新する(厚労省への報告状況の更新)
→今後、定期的に状況を確認する

(2)未届法人等への指導・監督の徹底
→事業報告書等の届け出・経営情報等の報告に遅延等が確認される場合、まずは「書面での状況確認」など、適切な対応を行う
→書面での状況確認等ができていない都道府県では、下記「医療法人における事業報告書等の届出および経営情報等の報告の徹底について」を参考に、状況確認等を行う
→状況が改善されない場合、医療法第64条第1項等に基づく必要な措置を検討するなど、適切な対応を行う

医療法人の事業報告書等の届出及び経営情報等の報告について



(参考)
〇医療法 第64条第1項(編集部で一部改変)
都道府県知事は、医療法人の業務もしくは会計が法令、法令に基づく都道府県知事の処分、定款もしくは寄附行為に違反し、またはその運営が著しく適正を欠くと認めるときは、当該医療法人に対し、期限を定めて必要な措置をとるべき旨を命ずることができる



(3)休眠状態にある医療法人への対応
→長期間にわたり事業報告書等の届出がなく、連絡がとれない状況にある「いわゆる休眠医療法人」がある場合、医療法第65条により「都道府県知事は医療法人が病院等をすべて休止または廃止した後、正当な理由なく引き続き1年以上病院等を開設しないときは、設立認可を取り消すことができる」とされていることも踏まえた必要な対応を行う

(参考)
〇医療法 第65条(編集部で一部改変)
都道府県知事は、医療法人が、成立した後または全ての病院、診療所、介護老人保健施設および介護医療院を休止もしくは廃止した後1年以内に正当な理由がなく病院、診療所、介護老人保健施設または介護医療院を開設しないとき、または再開しないときは、設立の認可を取り消すことができる



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