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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

「ノイトロジン」「グラン」、新たにフルダラ併用による再発・難治の急性白血病治療に用いること認める―厚労省

2022.2.8.(火)

ノイトロジン(一般名:レノグラスチム)およびグラン(一般名:フィルグラスチム)について、新たにフルダラ(一般名::フルダラビンリン酸エステル)と併用して「再発・難治性の急性白血病」治療に用いることを保険診療の中で可能とする―。

厚生労働省は2月4日に通知「公知申請に係る事前評価が終了した医薬品の保険上の取扱いについて」を発出し、こうした点を明らかにしました。同日(2022年2月4日)から保険適用されています。

卵巣がんに対するアバスチンと他の抗悪性腫瘍薬との併用についてもルール見直し

欧米の先進諸国で使用できる医療用医薬品が我が国で保険診療において使用できないという「ドラッグ・ラグ」が、従前より問題視されています。日本国民が最新の医療技術にアクセスしにくい状況は改善しなければなりません。

厚労省も事態を放置しておらず、例えば「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、我が国では未承認・適応外となっているが医療上の必要性の高い医薬品について製薬メーカーに開発要請を行うなど、ドラッグ・ラグ解消に向けた取り組みを進めています。また、未承認・適応外薬の開発促進に向けて、2010年度の薬価制度改革で【新薬創出・未承認薬解消等促進加算】を創設し、2018年度の薬価制度抜本改革で制度化。その後の薬価制度改革でも加算の改善を続けています。

あわせて、医療保険制度からドラッグ・ラグ解消に強力にアプローチするために、2010年8月25日の中央社会保険医療協議会・総会では「医薬品の適応外使用について、薬事・食品衛生審議会の事前審査で『公知申請を行っても差し支えない』と判断された場合には、翌日から自動的に保険適用とする」という特別ルールが創設されました。

保険診療の中では、安全性・有効性を確保するために、医薬品は「効能・効果が認められた傷病の治療」以外に用いることはできません。仮にその他の治療に用いれば保険外診療(自由診療)となり、当該一連の治療全体が全額患者負担となるのが原則です。「この医薬品は異なる傷病の治療に効果があるのではないか」と考えられる場合には、治験などを実施してエビデンスを揃え、薬食審で効能・効果追加の承認を得ることが原則です。安全性・有効性が確認されていない治療を、限られた公的財源(保険料、税)で賄うことは好ましくないからです。

ただし治験等を実施してエビデンスを構築し、審査を受けるには相当の時間が必要です。このため、上記原則をあまりに厳格に適用すれば、「今まさに疾病と闘っている患者」が最新の医療技術(医薬品)にアクセスするチャンスが大きく阻害されてしまいます(事実上、我が国では最新医療技術(医薬品)にアクセスできなくなる)。

そこで中医協は、「医療保険の原則」と「最新の医療技術へのアクセス」とのバランスに配慮して上記の特別ルールを創設。▼適応外使用であれば、既に「人体への安全性」は他疾病に関して審査済である(未承認ではない)▼海外の論文など(公知)で一定の有効性・安全性が確保され、それをもとに薬食審の事前審査で「公知申請を認めて良い」と判断された場合には、必ず後に効能・効果追加が認められている―ことなどに鑑みた特例ルールです。本特例ルールにより「公知申請を認めてよいとの事前審査から、実際に効能・効果追加が行われるまでの期間」分(概ね6か月程度とされる)、保険収載を前倒しすることが可能となります(ドラッグ・ラグの短縮)。



今般、この特別ルールにより次の用法用量を保険診療の中で用いることが認められました。

●「ベバシズマブ(遺伝子組換え)」(販売名:アバスチン点滴静注用100mg/4 mL、同点滴静注用400mg/16 mL)

▽現在認められている効能・効果
▼治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん▼扁平上皮がんを除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん▼手術不能または再発の乳がん▼悪性神経膠腫▼卵巣がん▼進行または再発の子宮頸がん▼切除不能な肝細胞がん―

▽今般、新たに認められた効能・効果
卵巣がん(他の抗がん剤との併用を追加する)

▽追記される予定の用法・用量
卵巣がん治療に用いる場合

他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはベバシズマブ(遺伝子組換え)として 1回10mg/kg(体重)を2週間間隔、または1回15mg/kg(体重)を3週間間隔で点滴静脈内注射する。なお、患者の状態により投与間隔は適宜延長する

▽追記される予定の用法・用量に関連する注意
卵巣がん治療に用いる場合

▼(見直し前)本剤はカルボプラチンおよびパクリタキセルとの併用により開始すること → (見直し後)本剤と併用する他の抗悪性腫瘍剤は「臨床成績」の項の内容を熟知し国内外の最新のガイドライン等を参考にした上で選択すること
▼(見直し前)他の抗悪性腫瘍剤との併用投与終了後も本剤単独投与を継続すること(本剤を継続投与しない場合の有効性は確認されていない) → (見直し後)本剤とカルボプラチンおよびパクリタキセルを併用する場合は、併用投与終了後も本剤単独投与を継続すること(本剤を継続投与しない場合の有効性は確認されていない)。

▽「併用薬に関する留意事項」の見直し

ドキソルビシン塩酸塩(販売名:ドキシル注 20 mg)について、用法・用量に関連する使用上の注意から「本剤と他の抗悪性腫瘍剤を併用した場合の有効性および安全性は確立していない」旨を削除する



●「レノグラスチム(遺伝子組換え)」(販売名:ノイトロジン注50μg、同注100μg、同注250μg)および「フィルグラスチム(遺伝子組換え)」(販売名:グラン注射液75、同注射液150、同注射液M300、グランシリンジ75、同シリンジ150、同シリンジM300)

▽現在認められている効能・効果
「レノグラスチム」:▼造血幹細胞の末梢血中への動員▼造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進▼がん化学療法による好中球減少症▼骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症▼再生不良性貧血に伴う好中球減少症▼先天性・特発性好中球減少症▼ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療に支障を来す好中球減少症▼免疫抑制療法(腎移植)に伴う好中球減少症—
「フィルグラスチム」:▼造血幹細胞の末梢血中への動員▼造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進▼がん化学療法による好中球減少症▼ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療に支障を来す好中球減少症▼骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症▼再生不良性貧血に伴う好中球減少症▼先天性・特発性好中球減少症▼神経芽腫に対するジヌツキシマブ(遺伝子組換え)の抗腫瘍効果の増強—

▽今般、新たに認められた効能・効果
再発または難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法

▽追記される予定の用法・用量
▼「レノグラスチム」を再発・難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法に用いる場合

通常、レノグラスチム(遺伝子組換え)1日1回5μg/kg を、「フルダラビン」(フルダラ静注用)、「シタラビン」(キロサイド注、シタラビン点滴静注)等の抗悪性腫瘍剤併用化学療法の開始前日から併用化学療法終了日まで(通常5-6日間)連日皮下または静脈内投与(点滴静注を含む)する。状態に応じて適宜減量する

▼「フィルグラスチム」を再発・難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法に用いる場合

通常、フィルグラスチム(遺伝子組換え)1日1回300μg/平方メートルを、「フルダラビン」(フルダラ静注用)、「シタラビン」(キロサイド注、シタラビン点滴静注)等の抗悪性腫瘍剤併用化学療法の開始前日から併用化学療法終了日まで(通常5-6日間)連日皮下または静脈内投与(点滴静注を含む)する。状態に応じて適宜減量する

▽追記される予定の禁忌
骨髄中の芽球が十分減少していない骨髄性白血病の患者および末梢血液中に骨髄芽球の認められる骨髄性白血病の患者(再発・難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法として投与する場合を除く)[芽球が増加することがある]

▽追記される予定の使用上の注意
再発・難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法に用いる場合
芽球の増加を促進させることがあるので、定期的に血液検査・骨髄検査を行い、芽球の増加が認められた場合には本剤の投与を中止する



●「フルダラビンリン酸エステル」(販売名:フルダラ静注用50mg)

▽現在認められている効能・効果
▼貧血または血小板減少症を伴う慢性リンパ性白血病▼再発または難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫・マントル細胞リンパ腫▼急性骨髄性白血病などにおける同種造血幹細胞移植の前治療—。

▽今般、新たに認められた効能・効果
再発または難治性の急性骨髄性白血病

▽追記される予定の用法・用量
再発・難治性の急性骨髄性白血病治療に用いる場合

他の抗悪性腫瘍剤等との併用において、通常、フルダラビンリン酸エステルとして、1日量 30 mg/平方メートル(体表面積)を5日間連日点滴静注(約30分)する。患者の状態により、投与量・投与日数は適宜減ずる



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