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審査支払機関改革やデータヘルス改革の実現に向け、データヘルス改革推進本部の体制強化―塩崎厚労相

2017.7.31.(月)

 「データヘルス改革推進計画」と「支払基金業務効率化・高度化計画」の実現に向けて、厚生労働省内に設置しているデータヘルス改革推進本部の体制を強化するとともに、専門家で構成されるアドバイザリーグループを設ける。後者では支払基金改革にとどまらず、国民健康保険団体連合会も含めた「審査支払機関全体の改革」を実現する—。

28日に開催されたデータヘルス改革推進本部で、塩崎恭久厚生労働大臣からこのような考えが示されました。

7月28日に開催された、「第2回 データヘルス改革推進本部」

7月28日に開催された、「第2回 データヘルス改革推進本部」

鈴木医務技監が、データヘルス改革・審査支払機関改革の全体を統括

膨大な健康・医療・介護データを集積・分析し、健康・医療・介護施策のパラダイムシフトを行うために、塩崎厚労相は今年(2017年)1月にデータヘルス改革推進本部を設置。7月4日には、▼国民の健康確保のためのビッグデータ活用推進に関するデータヘルス改革推進計画▼支払基金業務効率化・高度化計画—の2つの重要計画が策定されました(関連記事はこちら)。

前者のデータヘルス改革推進計画では、▽医療的ケア児(者)などの救急時や予想外の災害、事故に遭遇した際に、医療関係者が迅速に必要な患者情報を共有できるサービス▽健康に関するデータを集約・分析し、個人(PHR)や事業主(健康スコアリング)に健康情報を提供するサービス—など、健康・医療・介護のデータを有機的に連結した7つのサービスを実現するために、2020年までに健康・医療・介護の総合的な保健医療データプラットフォームを構築することを打ち出しています。塩崎厚労相は「世界初の介護データベースを構築し、科学的に効果が裏付けられた介護予防、自立支援サービスを提供する」「認知症の予防や治療を目指す」など、国民が享受可能になると思われる「改革の果実」をより具体的に説明しています。

健康・医療・介護のビッグデータを連結し、分析可能とすることで、さまざまな新しいサービスを提供可能になると厚労省は強調する

健康・医療・介護のビッグデータを連結し、分析可能とすることで、さまざまな新しいサービスを提供可能になると厚労省は強調する

厚労省は、2020年度から連結した健康・医療・介護データを活用したサービスを順次展開する構え

厚労省は、2020年度から連結した健康・医療・介護データを活用したサービスを順次展開する構え

 
また後者の支払基金改革計画は、(1)審査支払新システムの構築(2)審査業務の効率化(3)支部間差異の解消(4)審査委員会のガバナンス強化(5)組織・体制の見直し基準―の実現を目指すもので、2020年度から新たなシステムを稼働させるとのスケジュールを描いています。この点について塩崎厚労相は、「国保連と一体的に改革を進め、支払基金改革にとどまらず、『審査支払業務全般の改革』を厚労省・支払基金・国保連が十分に意思疎通しながら実現する」考えを明確にしました。
支払基金の業務効率化・高度化計画(その1)、2020年度から新システムを稼働させ、コンピュータチェックルールを順次公開していく

支払基金の業務効率化・高度化計画(その1)、2020年度から新システムを稼働させ、コンピュータチェックルールを順次公開していく

支払基金の業務効率化・高度化計画(その2)、支部間の審査基準の差違解消に向けた取り組みをすぐに開始するとともに、医療機関における事前レセチェックを2020年度から稼働させる

支払基金の業務効率化・高度化計画(その2)、支部間の審査基準の差違解消に向けた取り組みをすぐに開始するとともに、医療機関における事前レセチェックを2020年度から稼働させる

支払基金の業務効率化・高度化計画(その3)、支払基金の支部については、業務の棚卸などを踏まえ、2020年度から順次集約化を図っていく

支払基金の業務効率化・高度化計画(その3)、支払基金の支部については、業務の棚卸などを踏まえ、2020年度から順次集約化を図っていく

 
さらに塩崎厚労相は、両計画が「未曾有の超高齢社会の中で、国民皆保険を維持する」ために必要不可欠であることを訴えるとともに、諸外国における大システム改革の状況を俯瞰すると「困難な状況も起こり得る」と分析。改革を確かなものとするために、データヘルス改革推進本部の体制を次のように強化する考えを示しています。

(1)両計画の推進・実現全体を、鈴木康裕医務技監(新設された事務次官級ポスト)が統括する
(2)専門家で構成されるアドバイザリーボード(アドバイザリーグループ)から進捗管理も含めて助言・指導を受ける
(3)両計画のスピーディな実施に向けて、省内に8つのプロジェクトチームを設置する

データヘルス改革の実現に向け、厚労省内の体制を強化することを説明する塩崎恭久厚生労働大臣

データヘルス改革の実現に向け、厚労省内の体制を強化することを説明する塩崎恭久厚生労働大臣

このうち(1)で全体を統括することとなった鈴木医務技監は、データヘルス改革推進本部の副本部長として各局の局長・審議官を統括するとともに、本部事務局のトップとして実務の統括も行います。例えれば、「社会保障審議会の会長」と「事務局」とを鈴木医務技監が兼務する格好で、厚労省保険局医療介護連携政策課の黒田秀郎課長は「異例の体制である」とコメント。両計画実現にまさに「省をあげて取り組む」姿勢が強くあらわれています。

また(2)のアドバイザリーボードには、ITの専門家や保健医療関係の専門家などが参画する見込みです。

さらに(3)のプロジェクトチームは次の8つ(データヘルス改革計画の7サービス+審査支払機関改革)で、2018年度予算の概算要求(8月末)に向けて、具体的な技術的な部分を含めた改革内容やと必要経費を詰めていくことになります。

▼保健医療記録共有:全国的な保健医療ネットワークを整備し、医療関係者などが円滑に患者情報を共有できるサービスの構築【チームリーダーは医政・精神保健・災害対策担当の審議官】

▼救急時医療情報共有:医療的ケア児(者)などの救急時や予想外の災害、事故に遭遇した際に、医療関係者が迅速に必要な患者情報を共有できるサービス【同、福祉連携・社会・障害保健福祉・児童福祉担当の審議官】

▼PHR(Personal Health Records、個人が自身の医療・健康情報を収集・保存、活用する仕組み)・健康スコアリング:健康に関するデータを集約・分析し、個人(PHR)や事業主(健康スコアリング)に健康情報を提供するサービス【同、医療介護連携担当の審議官】

▼データヘルス分析:健康・医療・介護のビッグデータを個人単位で連結し、解析できるようにするサービス【同、医療介護連携担当の審議官】

▼科学的介護データ提供:介護の科学的分析のためのデータを収集し、最適サービスを提供(世界に例のないデータベース構築)【同、老健担当の審議官】

▼がんゲノム:がんゲノム情報の収集、医療関係者などが利活用できるサービス【同、危機管理・科学技術・イノベーション・国際調整・がん対策担当の審議官】

▼人工治療(AI):AI開発基盤をクラウドで研究者や民間等に提供するサービス【同、危機管理・科学技術・イノベーション・国際調整・がん対策担当の審議官】

▼審査支払基金改革【同、医療保険担当の審議官】

 
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