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来年(2017年)4月から一定規模以上の社会福祉法人では、会計監査人による監査が義務化される

2016.8.23.(火)

 一定規模以上の社会福祉法人について、来年(2017年)4月から公認会計士あるいは監査法人による監査を受けることが義務付けられます。

 日本公認会計士協会はこの監査義務付けを受けて「社会保障部会」を設置。そこで研修を受けた専門性の高い会員(公認会計士・監査法人)を登録・公表するなどして、制度の透明化を行っています(社会福祉法人改革に関して厚労省が行った全国説明の資料はこちら)。

日本公認会計士協会が、専門性の高い監査人のリストを作成し、公表

 少子高齢化が進展する中で、高齢者福祉や児童福祉などの事業を行う社会福祉法人の重要性がますます高まっています。一方で、「地域社会への貢献を必ずしも十分に行っていない法人が見られる」「一部法人では同族経営が常態化しており、経営が不透明である」といった指摘もあります。

 このため厚生労働省は、社会福祉法人の透明性をより高め、地域貢献の充実を図るために、(1)経営組織のガバナンスの強化(2)事業運営の透明性の向上(3)財務規律の強化(適正かつ公正な支出管理・いわゆる内部留保の明確化・社会福祉充実残額の社会福祉事業等への計画的な再投資)(4)地域における公益的な取組を実施する責務(5)行政の関与の在り方の見直し―の6本を柱とする社会福祉法人制度の大改革を行うことを決断。これらを盛り込んだ「社会福祉法等の一部を改正する法律」が、順次施行されています(関連記事はこちらこちら)。

社会福祉法等の一部を改正する法律の概要、社会福祉法人のあり方について大改革を行っている

社会福祉法等の一部を改正する法律の概要、社会福祉法人のあり方について大改革を行っている

社会福祉法等の一部を改正する法律の概要(2)

社会福祉法等の一部を改正する法律の概要(2)

 柱の(1)「経営組織のガバナンス強化」では、▽理事会を業務執行に関する意思決定機関に位置づける▽評議員会の設置を義務化する▽監事の責任や義務を法律上明確化する―ことと合わせて、来年(2017年)4月から「一定規模以上の法人への会計監査人による監査を義務付ける」こととなっています。

経営組織のあり方については、評議員会の設置を義務づけるなどのほか、「一定規模以上の法人への会計監査人(公認会計士・監査法人)による監査の義務付け」を断行している

経営組織のあり方については、評議員会の設置を義務づけるなどのほか、「一定規模以上の法人への会計監査人(公認会計士・監査法人)による監査の義務付け」を断行している

 「一定規模以上」がどの程度なのかが気になります。この点、詳細は今後制定される政令に規定されることになりますが、これまでの検討の過程で厚労省は「収益(事業活動計算書におけるサービス活動収益)が7-10億円以上、もしくは負債(貸借対照表における負債)が20億円以上」の法人という目安を示しています。

 この基準は今後変更される可能性もありますが、現在(資産100億円以上も若しくは負債額50億円以上、または収支決算額10億円以上の法人は2年に1回、その他の法人は5年に1回の外部監査が望ましい)に比べて、非常に厳しい規定となると思われます。

 ところで、会計監査人(公認会計士・監査法人)による監査義務が来年(2017年)4月から義務化された場合、厚労省は「社会福祉法人は下図のようなスケジュールで準備を進めることが目安になる」との模式図を示しています。

会計監査人(公認会計士・監査法人)による監査を受けるためには、社会福祉法人側にも一定の準備が必要である

会計監査人(公認会計士・監査法人)による監査を受けるためには、社会福祉法人側にも一定の準備が必要である

 また日本公認会計士協会も、「法人自らによる体制の整備」などのために一定程度の準備期間が必要であると指摘しています。

 

 このように比較的規模の大きな社会福祉法人では、会計監査の義務化に早急に備える必要があることから、日本公認会計士協会は「社会保障部会」を設置し、会員の専門知識向上に向けた研修などを実施。部会に所属している社会福祉法人制度に関する専門性の高い会員(公認会計士・監査法人)を登録し、webサイトで公表しています。

 
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