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診療報酬改定セミナー2024 看護モニタリング

病床機能報告制度、2016年度からは「診療内容」も病棟単位で報告を―厚労省

2016.9.6.(火)

 今年度(2016年度)の病床機能報告制度から、「機能」と「人員配置・構造設備」だけでなく、「診療内容」も『病棟単位』での報告となる。その際、電子レセプトで診療報酬請求を行っている医療機関では、レセプトに病棟コードを入力しているか否かで報告方法が異なるので留意してほしい―。

 厚生労働省は1日に発出した通知「平成28年度 病床機能報告制度の実施について」の中でこのように注意喚起しました(2016年度の病床機能報告マニュアルはこちら)。

電子レセプトの「病棟コード」記載の有無で、報告方法が異なる

 いわゆる団塊の世代(1947-51年の第1次ベビーブームに生まれた方)がすべて75歳以上の後期高齢者となる2025年に向けて、医療(とくに慢性期医療)・介護ニーズが飛躍的に高まります。そのため、より効率的で質の高い医療提供体制を構築するため、厚労省は「病院・病床の機能分化・連携」を推進しています。

 具体的には、各都道府県で「2025年において高度急性期、急性期、回復期、慢性期の機能ごとに地域でどれだけの病床数が必要になるのか」を軸とする地域医療構想を定めます。一方で、病院・有床診療所が自院の各病棟について「どのような機能を持たせたいと考えているか」を毎年報告してもらいます。「地域医療構想」と「病床機能報告の結果」とのギャップを、調整会議で議論しながら埋めていくことで、機能分化・連携を進めていく考えです。

病床機能報告制度と地域医療構想(ビジョン)との関係

病床機能報告制度と地域医療構想(ビジョン)との関係

 病床機能報告制度は2014年度からスタートしており、(1)自院の各病棟の機能(2)人員配置・構造設備の状況(3)具体的な診療内容―を、一般病床・療養病床をもつすべての医療機関が報告する仕組みです。

 このうち(3)の診療内容は、「どのような診療報酬を算定しているのか」をレセプト情報から抽出して把握します(厚労省が集計し、それを病院側がチェックする)。しかし、従前はレセプトと病棟の突合ができなかったため、この部分については「病院単位」での把握にとどまっていました。この点、2016年度の診療報酬改定に合わせて電子レセプトの様式が一部修正され「病棟コード」を入力する欄が設けられたため、2016年度の今回報告から、(1)(2)(3)すべてのデータを「病棟単位」で把握することが可能になりました(関連記事はこちら)。

2016年4月からレセプトに「病棟コード」を記載することになり、病床機能報告制度では対応表(どの病棟を指しているかが明確になるように)の提出も求められる

2016年4月からレセプトに「病棟コード」を記載することになり、病床機能報告制度では対応表(どの病棟を指しているかが明確になるように)の提出も求められる

 これにより、例えばA病院では3階東病棟について現在・将来ともに「急性期」と報告しているが、診療内容を見ると、他の「急性期」と報告されている病棟に比べて「総手術件数」や「脳血管内手術件数」、「急性期らしい診療報酬項目(例えば救急搬送診療料、救急医療管理加算など)の算定回数」が著しく少ない、といったことが分かれば、自ら別の機能への転換を検討するきっかけにもなります。厚労省が判断材料となるデータの提供が今後、これまで以上に積極的に行われることが期待できます。

 ところで、医療機関によっては「病棟コードの入力」をしているところと、していないところがあります。厚労省は今般の通知で、両者では報告方法が次のように異なるとして、注意を呼びかけています。

【病床コードをすべて、あるいは一部入力している医療機関】

 厚労省から『病棟ごと』に集計した確認用データが送付される(12月下旬)ので、その内容を各医療機関で確認して報告する。病棟コードが未入力分のデータは、医療機関で病棟ごとに集計(報告様式2Bで集計、近く厚労省サイトに準備される)した上で報告することが必要である。

【病棟コードをまったく入力していない医療機関】

 厚労省から『医療機関ごと』に集計した確認用データが送付される(12月下旬)ので、その内容を各医療機関で確認し、『病棟ごとに集計』(報告様式2Bで集計、近く厚労省サイトに準備される)した上で報告する。

一部の特定入院料と病棟機能とを紐付けして例示

 なお、「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」での議論を踏まえて、「一部特定入院料と各機能との紐付け」が行われました。例えば「救命救急入院料や特定集中治療室管理料を算定する病棟」は、その施設基準に照らして高度急性期として報告することが好ましく、「特定疾患入院医療管理料や特殊疾患病棟入院料を算定する病院」は慢性期機能での報告が好ましいとされています。もちろん、これらの特定入院料を算定していない病棟であっても、「高度急性期の機能である」と判断することは可能です(関連記事はこちら)。

4つの医療機能の概要、従前に比べて、一部の特定入院料を算定する病床がどの機能に該当するのかが例示されている

4つの医療機能の概要、従前に比べて、一部の特定入院料を算定する病床がどの機能に該当するのかが例示されている

厚労省が示した「一般的な取扱い」案。ここでは地域包括ケアを「急性期」と「回復期」に結びつけているが、構成員の意見を踏まえて見直される模様

厚労省が示した「一般的な取扱い」案。ここでは地域包括ケアを「急性期」と「回復期」に結びつけているが、構成員の意見を踏まえて見直される模様

 

 2016年度は、10月1-31日に各機能などの報告を行うことが必要です。すでに地域医療構想が公表されている地域もあり、その内容も踏まえ、将来を見据えた報告が求められます。

2016年度における病床機能報告制度のスケジュール、例年どおり10月1-31日の間に報告を行うことが必要である

2016年度における病床機能報告制度のスケジュール、例年どおり10月1-31日の間に報告を行うことが必要である

 
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